2007年07月31日

アサッテの人




第137回芥川賞作品。

なーんかなあ。
好きな人とそうじゃないひとがはっきり分かれそう。

ストーリーはそうたいして複雑ではない。

失踪した叔父の住んでいた部屋を片付ける主人公。

叔父は主人公の家で育ち、兄弟のようにして暮らしてきた。
昔から吃音に悩まされていた叔父は、
時々、「ポンパ!」「タポンテュー!」などの奇声を発していた。

片付けをするうちに彼の日記を見つけ、
彼の人生を小説にしようと格闘する。

こんな話です。

叔父が結婚していた女性の日記から垣間見られる生活、
叔父がエレベーター管理の仕事をしていたときの、
エレベーターの中でズボンと下着を脱いでしまう
不思議な男性の姿など、
おもしろい描写はいくつかある。

だが、この小説の一番の売りは、
ストーリーそのものではないような気がする。

主人公が、叔父の人生を小説にしようという小説、
という一種独特な書き方、
また言葉に徹底的にこだわった文章にあると思う。

少し長いけど、書き出しの文章を引用してみよう。

「あちらこちらに未だ田畑を残す町並を、
バスはのろのろと寝ぼけたように進んでいった。
と、書いたところで不意にポンパときた。

虚を浸かれた拍子に続く言葉を眼前からとり落とし、
無様にうろたえる今の自分の面の皮などまだ捨ておけるにしても…」

中略

「幾十枚かの草稿を経て、
結果やむなく折合いをつけることになりそうな
『アサッテの人』最終稿の書き出しがすなわちこれである。
 
最終稿、ここはより正しく最終草稿としておくべきか、
現段階での作者のジレンマ
もっとも忠実になぞる書き出しであるにはせよ、
これを晴れて決定稿として捉えるのには、
私にもいささか躊躇がないわけではない。」

どうだろう?

私は最初、正直に言うと、
「ぶっ殺したろか。」という恐ろしい感想を抱いた。
いまどきこんな前衛的というか、
小難しいことを売りにするような文章を書きやがって、と思った。

エンターテイメントに慣れた頭にはややきつい。

読み終わって、それなりに、不思議な方向、
すなわちアサッテの方向を向いている人を描写したのだな、
というのは理解できた。

感動はしなかったが、ああ、こういう人、いるな、と思った。
そして、そういう人たちの抱える孤独や、焦燥感たいなもの、
現実のほうがぼやけて見える、世界がひっくりかえる感じを
書きたいのはなんとなくわかった。

どちらかというと、読み終わった自分に感動したというところです。

いまいちしまらない感想で申し訳ないですが、
ほんと、そんな感じ。

最後に名古屋トリビアを。

叔父が住んでいるのは「団地」と書かれている。
が、よく読んでみると、
二階建て家が並ぶの長屋であることがわかる。

こういう、一見一戸建ての建物を団地というのは
この地方だけだと思うのですが、どうなんでしょうか?

著者は名古屋在住の方です。




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ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する




島田紳助の書いた本。新書です。

読みやすくておもしろかったですよ。

本業は芸人、という島田氏ですが、
いろいろな事業を手がけているようです。
あくまでサイドビジネスであり、
ある種のゲーム感覚があるという。

しかし、ゲームだからこそ負けるのは絶対にいやなのだそうだ。

喫茶店、ラーメン屋、フォークソングバー、お好み焼き屋など、
いろんな店を手がけているが、
どうやって成功させているのか。

それにしても、この人、かなり明確な意思と問題意識を持って
日々暮らしているんだなあと改めて感心させられてしまう。

遊びで食事に行っても、客単価や売上を聞いてみたり、
面白いと思ったことを次々と試してみたり。

島田氏が事業を行う上で大事にしているのは、
常識にとらわれないということ。

といって、むやみに非常識な振る舞いをするのではなく、
業界にとっては常識でも素人にとっては非合理的、
ということを改めるのがビジネスチャンスになるのだという。

また、顧客満足度はもちろんだが、
従業員満足度というものを大切にしている。

従業員が目的意識を持って働いてくれていると、
その分客にも充実したサービスを提供することができる。

そして、自分はあくまでサイドビジネスだということを
忘れないこと。

自分がほれ込んで、「こいつは幸せにならなあかん。」という
人間に店を任せる。
その人にとっては本業なのだということを
明確にしておかなければいけない。

パリダカの創始者、サビーヌ氏の言葉を引用して、
「冒険の扉まで皆を連れて行くのが自分の仕事。」だと言う。

東京で鍋セットの店をやってみたい島田氏。
なぜ持ち帰りの鍋セットにするのか、
店は狭くしようと思っている理由は、
など書いてあるのを読んでいると、
この人、ほんとにまじめに飲食店経営してるんだな、と思う。

着眼点、実行力、とにかくパワフルな島田氏の生き方が
おもしろい。
それほど時間をかけずに読めますし、
通勤のお供にいかがでしょうか。



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2007年07月27日

まんまこと




今、江戸時代モノを書いて
売れている作家さんといえば、
この畠中恵氏の名前があがるんじゃないだろうか。

日本ファンタジーノベル大賞の出身で、
江戸の大店の若旦那を主人公とした
「しゃばけ」シリーズがヒットしています。

こちらもやっぱり江戸時代のお話。
主人公は神田の古名主のせがれ、高橋麻之助。

麻之助は16の年まではそれは
生真面目で勤勉な評判の息子であった。

だが、22の今ではお気楽三昧で、
あちこちで遊んでは親の頭を痛くするばかりである。

麻之助には幼馴染がいて、その一人が八木清十郎。
女を追いかけることに熱をあげている。
もう一人は武家の吉五郎。これはまじめな堅物で今は同心だ。

清十郎の母は、やはり彼らの幼馴染でお由有という。
父の後添えとして嫁に入り、
清十郎とは腹違いの幸太という子供を産んだ。
その幸太を、麻之助はたいそうかわいがっている。

麻之助の家は名主をしてるのだが、
この名主には町内のいろいろなもめごとが持ち込まれてくる。

町人の自治は町人にまかせていた幕府は、
町内のもめごとに奉行を介入させることをせず、
調停に当たるのは名主の役目なのだ。

そんな人間関係の中、持ち込まれてくる事件を
麻之助が解決していく、という短編が集められた本です。

おもしろいです。
人情味あふれていて、ちょっとした謎解きの風があり、
ここぞというときにはしっかり決める麻之助の働きもいい。

表題作のまんまこととは、真実という意味。

いきなり清十郎に念者になってくれと頼まれる麻之助。
念者というのは、
男性同士で恋愛関係にある人間ということですね。

女好きの彼がどうして、と聞いてみると、
おのぶという女の子供の父親にされそうなのだという。

会ったこともないその女が、
どうして清十郎をお腹の子の父だというのか。

いざ、対面してみると、おのぶは清十郎の顔さえ知らなかった。
事情を調べてみると、おのぶには他に恋しい人が…。

他に、孤独な初老の男性の隠し子事件、
持ち主のいない万年青の所有者を探すお話、
幸太が武家の跡取りにされそうになる騒動などが納められている。

どれも後味よく、きれいにまとまっているので安心して読める。
上手な作家さんの、上手な短編。これは貴重。

ラストが切ないのも大変よい。
麻之助の秘めた得ない恋、触れそうで触れられない手の描写など、
うまい!うますぎる。

藤沢周平が好きな方には一度読んでいただきたいが、
どうだろう。



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タグバナ。




有名人のブログなんて、
たいして面白くもないのになんでも出版しやがって。

そんなうがった考えで読み始めましたが、
もう、最初のページから苦笑、爆笑、そしてホロリという
黄金パターンにはまってしまいました。

守れる打てる書ける田口、なんて帯に書いてあるけど、
ほんと、壮さん、読ませますね!

生まれが関西であるせいか、オチがきちんとついている。

試合前、アメリカでは
メディアがクラブハウスに入っていいことになっています。

あれこれ質問されて、通訳なしで答えていると
昼ごはんが食べられないくらい時間がかかってしまった。

しかも、質問の内容はダブル松井について。とほほほほ、だと。

また、チームオーナーのお宅にお邪魔してみると、
ヘリポートがあり、家の前がマイ海、なんだだそう。

そこにグランドピアノがあり、
奥様が「何か弾いて!」とリクエストされたそうです。

豪邸、部屋に差し込むフロリダの夕日、手にはワイングラス
ときて、奥様が弾いたのは「六甲おろし」というオチ。

下手な芸人さんよりうまい!

チームメイトや監督、コーチについても
実に生き生きと描写している。

ホワンという選手がスランプのとき、
同じ「打てない仲間」の田口に愚痴る。

ある日、ホワンが「今日は2本打つぞ。」と言うと、
田口はこう返す。

「何言うとんねん。5本打ってくれよ。」
(もちろん英語ですよね…。)

そして、自分は4タコというオチつき。これもとほほだ。

広島カープにいたペレス選手は、日本語が上手で、
日本からきたぺれすさん、という感じで
違和感なく日本語で話し込んでしまう。

トニー・ラルース監督は、奇妙な癖があって、
ベンチの中に捨てられている紙コップを足で集めるのが好きだ。

ひとつも落ちていない日、わざわざ飲んで捨ててあげると
満足そうにそれを足で片付けた。

そんな楽しいエピソードから、苦しいマイナー時代のこと、
そして、スタメンではなく、控え選手であることの誇りなど、
正直な心境も語られている。

私は冒頭の文章がとても好きだ。

「地球は目立つ奴ばかりで回ってるんじゃない!
もっと俺の働きを認めて欲しいと、
日々主役の影で泣いている、真の功労者の皆さんに、
心からこの本を捧げます。」

壮さん、大丈夫。あんた、主役だよ!




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2007年07月26日

累犯障害者




著者、山本譲司氏は菅直人氏の秘書を経て
都会議員、衆議院議員を務めるという経歴を持つ。

その彼が、政策秘書給与の流用事件を起こしたのが2000年
2001年に実刑判決を受け、400日あまりの獄中生活を送る。

本書で何度も繰り返されるのが、
「議員であった当時、福祉政策に取り組んでいたと
自分では言っていたが、
国会で論じられている福祉政策は
実に皮相なものでしかなかった。」

「セイフティネットなどと言っているが、
実のところずさんな網でしかない。」などということ。

実際にその目で刑務所での生活を見て、
現実と政治の落差を実感したというところであろう。

その彼が、もっとも今関心を寄せ、社会的にも運動を行っている
のが障害者の犯罪者に関する問題である。

読んでいてやりきれない。

刑務所には障害者で刑に服している人がたくさんいる。
そして、その大半が帰るところがなく、
刑務所にいるほうがよほどましだといって再犯を繰り返す。

人に言われたことを否定できず、
おうむ返しにするしかない知的障害者の人たちは、
警察の取調べで警察の思い通りの調書をとられてしまう。

また、それを食い物にするような暴力団の姿も描かれている。

彼らを養子にすることで、障害者年金を取り上げる
「父親」がいるのだという。

日本の福祉では、日常生活ができるかどうかということで
障害のランクを分けている。

よって、日常生活はできるが、
その他の援助が必要な人たちが福祉の網からもれることが多い。

障害を抱えながら、誰からも助けてもらえず、
パンや自転車を盗むという軽微な犯罪で
刑務所に送られる障害者たち。

そして、刑期を終えたとしても受け入れる施設はない。
その現状に寒々としたものを感じざるを得ない。

刑務所にいる障害者には、国の予算
一人当たり270万円ふりわけられているそうだが、
その更正プログラムもまともに機能していないそうだ。

自分が犯罪被害者の立場であったらやりきれないだろう。
しかし、犯罪を犯さざるを得ない人たちが生み出される現状にも
やはりなんともいえない思いがある。

実例や著者の体験談が多いので、読みやすい文章になっている。
あまり知りたくない世界でもあるが、
日本のひとつの現状としてできれば
たくさんの人に読んでもらいたいとも思う。

この本の著者が言いたいこととは少し違うと思うが、
こういう人がもう一度政治家になってくれれば、と思う私である。

週末の選挙、まじめに考えよう。



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2007年07月25日

泣ける2ちゃんねる III




読んでいて、最初から最後まで
涙が止まらなかった。

2ちゃんねると言えば、
ニュースなどでもおなじみの巨大掲示板です。

この本は、その巨大掲示板のあちこちに
投げられた書き込みの中から、
特に感動的なものをテーマにそって編集している本です。

2ちゃんねるにはあんまりよくないイメージもありますが、
アクセスしている人の大半は、ごくごく一般の人。

その普通の、名もなき人たちが、
名前を明かさないことを頼りにするようにぽつりともらす
人生の機微。

まるで、旅先の見知らぬ酒場で、隣り合って座った
明日は会うことのない人の身の上話を聞いているような、
演歌みたいな、映画みたいな感動がある。

母への想いというテーマでは、

血がつながっていないのに必死で働いて一人で育ててくれた母、
ひとり立ちした息子に、好きなお菓子やら野菜やらを送ってきて、
「お母さんはいつもあなたの味方よ。」という母の姿が語られる。

父だってがんばっている。

母を亡くした子供のために、大きいアルミの弁当箱に皮付のままで
みかんをいれ、品数だけは多い弁当を作った父。
男は誰かを守って死ね。悪いが、おれはここまでだ。と
言い残して逝った父。
歌手のDVDが欲しいといった娘に、
テレビから録画した画像を送ってくれた父。

両親が亡くなった後、引き取ってくれた祖父は
いつもかまぼこを食卓に出した。

祖父がかまぼこが好きだと思っていたら、
祖父は、「女の子だからピンクのかまぼこを喜ぶだろう」と
思っていたのだと死後に聞かされる話。

睡眠時間が1時間しかないほど働いていて、
死にたいと思っていた男性が、
皆の書き込みのおかげで会社をやめて「生き直したい」という話。

どの彼女も汚いといったお好み焼き屋に連れて行った女性が、
「おいしいおいしい」と喜んでいるので、
もっとたくさん食わしてやりたいという話。

車椅子の男の子が乗っている電車の中。
中年のサラリーマンとOLと茶髪のにーちゃんがいるが、
皆興味なさそうだ。

その子が降りるとき、車椅子が大きく傾いた。

「私」も、サラリーマンも、OLも、茶髪のにーちゃんも、
みんなが車椅子に飛びつくようにしてそれを支えた話。

どうだどうだ!

世の中、まだまだどうして捨てたもんじゃない。
けっこういい人ばっかりなんだよな、なんて思えます。



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集中力




集中力。
これがあるとずいぶんといろんなことがうまくいくような気が、
注意散漫な私としては思う。

ということで、期待をしながら読みましたが、
点数をつけると60点というところでしょうか。

ただ、内容としてはそれほど悪書というわけではありません。

ジェームス・アレンの本と同じような感じのもので、
私は以前にそちらを読んでいましたので、ああ、またか、
という感がぬぐえなかったのが評価が低くなった原因です。

1世紀にわたって読みつがれてきた本、とありますので、
書かれた時期も同じくらいなのかもしれません。

さて、内容は。

成功するためには意思の力が必要で、
それは誰にでも備わっているものである。

どんな年齢であっても関係はない。

成功を信じること、始めたことはやりとおすこと、
そうすると、正しい信念には必ず助けの手が差し伸べられる。

よい習慣を身につけることが大切である。

こんな感じです。

私が本書に期待したのは、どうやって集中力を身につけるか、
という点です。

それに関して、いくつかの具体的な方法が書かれていましたので、
拾い上げてみましょう。

だらだら過ごさず、何かをしているときはそのことに集中する。

起床時間を決め、必ず起きる。
決めたことはその時間に、もしくはその時間までにやる。
先延ばしをしないことで、決断の力を身につける。

新しい習慣が身につくまで、一度の例外も認めてはならない。

小さなことに集中するエクササイズをし、それを記録する。
たとえば、ドアノブを10分間見つめるエクササイズをし、

「私は足を動かさず、集中して見つめることができた。」
などの記録を残していく。

なるほど。

とにかく、やると決めたことは躊躇せず実行し、
ささいなことから始めてみるというのが大事であるようです。

このあたり、思考するだけで全てがかなうという
ナポレオン・ヒル型の自己啓発書とは違うといえば違います。

悪くはない。
かといって、人にこれいいよ!と言ってまわるほどではない、
というところでしょうか。




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2007年07月21日

人間の芯をつくる本気の子育て




私自身子供だった経験から言うと、
子供っていうのはきちんと大人のうそを見抜いているものだ。

うちの親も、自分でも信じていないようなことを平気で子供に要求したりしていた。

自分の子供なんだから、程度は知れているというのに、
勉強しろとかね。
まあ、大きくなるにつれて、現実を悟ったようでしたが。

本日ご紹介の本は、格闘家、須田達史氏が
子育てについて書いた本です。

母子家庭で育ち、小さい頃からけんかが強くて、
より強くなりたいと格闘技にのめりこんだ彼。

常に厳しい道を求め、日本を飛び出して
海外でも修行を積みます。

蚊とんぼと言われたこともある細い体を鍛えるために、
スクワット、腕立て伏せ腹筋
1日2000回もこなしたというからその精神力はたいていではない。

現在は、子供たちに空手を教える道場を開いて、
たくさんの子供たちを指導している。

その須藤氏のいう本気の子育てとはどんなものか。

ジムに来る親が、危なくないですか、怪我はしませんか、
と聞くのに、
須藤氏は「危ないです、怪我もします。」と答える。

子供を過剰に助けずに、痛いことも辛いことも経験させ、
遠くから見守ってほしいと、彼は張する。

また、女の子も、体格の小さな子も一緒にリングに上げ、
不利なところで勝負させることで、
あきらめない気持ちを育てようとする。

そして、親には、子供に本気で話すこと、
夫婦がチームを組んで子供に接して欲しいという。

今の時代、運動会でも手をつないでゴールさせたり、
夫の悪口を子供にいう母親が多い中、確かに、
と納得させられることが多い。

その氏の子育て観をはぐくんだのは、彼を育てた母親である。

女で一人で彼を育てた母は、別れた夫の悪口は一切言わず、
おかげで自分のルーツを疑わずに成長できたと言う。

また、悪いことをすると
木刀が折れるまで殴りつける母であった。

そうすることで、体全体で自分にぶつかってくれたことを、
氏は感謝している。

原爆の被爆者手帳を持っていた母は、
自分がいなくなっても
生きていける力を子供に与えたかったのではないか、
というくだりがあって、
そのエピソードだけでも、読んでよかった、
と思える本でした。

アツく生きよう!なんて、
この暑い盛りに思ってしまった私。



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プレイボーイの人生相談




週刊プレイボーイの
人生相談コーナーに寄せられた質問と回答集。
その中でも傑作と思われるものを編集した本です。

これは。
文句なしに手元に一冊置いておきたいおすすめ本。

回答者がいい。
柴田錬三郎、松本人志、岡本太郎、アントニオ猪木
リリーフランキー、開高健、赤塚不二夫、吉本隆明、
遠藤周作、松山千春…。

こんな豪華な顔ぶれで、面白くないわけがない。

みんな、常識を軽く飛び越えていて、
フツウの人生相談では聞かれないような回答が
たくさんある。

若者の悩みに、人生経験豊かな大人の男性が答えていて、
時には叱り飛ばし、時には共感し、時には笑い、
時には切々と諭す。

せっかくなので、いくつかの質問と回答を。

人生は賭けだと思います。
僕はまだ若いのでそんな瞬間はないのですが、
という悩みに、岡本太郎はこう答える。

「二者択一をするとき、いつも危険なほう、
破滅へつながるほうへ賭けてきた。」

ブサイクで、整形手術を考えている若者に、
リリーフランキーは。

整形してもいいと思う。カツラをかぶっている人が、
カツラをかぶることで安心しているのと同じだから。

でも、ブサイクで得をすることもある。
きれいな子が歌を歌っても、アイドルね、ですんじゃうけど、
ブサイクだと音楽性を高く評価されるよ。」

リリー氏の回答にはもっと、
彼らしいエロ爆発のものもあるんですが、
とりあえずこちらでは割愛いたしますね。
ご了承ください。

アントニオ猪木に、猪木さんは誰かに悩みを相談しますか、
と聞くと、

ストレスよりおれのほうが早い」。

開高先生、男性はなぜにスケベなんでしょうか、
という質問には一言。

「女がいるからです。」

野坂昭如に、友人に彼女をとられた、と相談してみると、

「もと友人を殺し、旧恋人に首を届け、
『俺たちの分まであわせてシアワセになってくれ』
と言うしかない。」

みんなふざけているようでいて、
その中にきらりと光る名言があり、
その洒脱、達観、諦念、楽観にはなんともいえない味がある。

自分の悩みもたいしたことがないみたいに思える。
これ、自分に10代後半の男の子がいたらぜひ読ませてあげたいなあ。



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世界一受けたい占い師になる授業




またユニークな本を見つけてしまいましたよ。

占い師になる。
そんなことできるの?
何か特別な、たとえば霊感みたいなものがいるんじゃないの?

そう考えていたのですが、読んでみると非常にビジネスライク。

占いで副業・起業を、というだけあって、
占い師としてお金を儲けるためのノウハウが満載でした。

と言って、うさんくさいナントカ商法みたいなのとは違います。
きちんと開業して、
仕事としてやっていくための非常にまじめな本でした。

占い師になるには霊感などは必要ありません。
占いは、書店に並ぶ本を購入することで学ぶことができます。

現在は、ホームページ、メール、電話、チャットなどで
占う人が多いらしく、開業資金もそれほどかからない。

そして、大体の料金設定が、電話などの場合は1分200円、
メール占いでは一件3000円から5000円なので、
時給にすると、最低でも6000円くらいにはなるのだそう。

他にも、雑誌のコーナーを担当したり、占い教室を開いたり、
なかなか活躍の場も多そうです。

では、開業してからの宣伝活動はどのようにしたらいいか。

やはり基本はタウンページ。
これにはきちんと料金を載せておきましょう。
お客さんが気になるのは占いの手法と料金だからです。

また、ブログ、メルマガで顧客と
コミュニケーションをはかるのも大事。

おもしろかったのは、実際に依頼者に対したときの
占い師の心構えみたいなもの。

占い師は、語るより聞くのが仕事。
きちんと話のツボをおさえた質問をする能力が必要です。

ある程度、客観的な視点を持ち、
愚痴にはキレずに付き合うくらいのことは
できるようになりましょう。

恋人がいない人には出会いの時期を、
仕事の相談には依頼者の適性を、
子供の受験の結果を聞かれたら、
その子のここ半年ばかりの運気を、
それぞれ占ってあげる。

なかなか具体的なアドバイスも興味深いです。

占い師という仕事がよくわかる。

年をとってからでもできて、
自宅でも開業が可能とのことなで、私もひとつ…、
なんて思える一冊です。



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東京R不動産




先日、四露死苦現代詩のときに
TOKYO STYLEという本について触れました。

今日ご紹介する本は、2006年版TOKYO STYLEといっても
いいのではないかとワタクシ勝手に思っています。

A5サイズの薄い本で、写真集ではありませんが、
ここに出ている部屋と住人の魅力的なことは
TOKYO STYLEに決してひけをとるものではありません。

「改装してもいい物件はありませんか、と相談すると
怪訝な顔をされる。
こんなところしかないよ、と言って示された物件が
すばらしいものだった。
僕たちがグッとくる物件と、
不動産屋のイイ物件はどうも違うらしい。」

冒頭、東京R不動産の馬場氏がこう書いている。

確かに、普通の不動産屋さんでは見つからない物件ばかりだ。

普通、不動産を探すときは、最寄の駅だとか、賃料だとか、
間取りだとか、そういうもので検索をするのではないだろうか。

東京R不動産は違う。

レトロな物件、屋上あり、倉庫っぽい、お得なワケあり、
水辺・緑、天井が高い、改装OK。
こんな条件で検索することができるのだ。

たとえば岩本町駅から徒歩5分の物件。

屋上が自由に使えるという条件で借りられた。
現在そこには人工芝がひかれ、バーベキューコンロがあり、
なんとバスタブまである。
他の部屋はオフィスなので、
夜や土日はどれだけ騒いでも苦情がでない。

並木ハウスという部屋は、玄関から入ってすぐに
4.5畳の和室になっている。

ここは手塚治虫が住んでいた部屋だ。
目白駅から徒歩10分。
入ると鉄腕アトムのシルクスクリーンが目に入る。

また、清澄白河駅から徒歩3分の物件は、
見た目は普通のアパート

だが、入ると南国のホテルみたいな内装になっていて、
その奥に砂利が敷きつめられ、庭木が茂る日本庭園がある。
ベランダを改造しているのだ。

他にも、一番広いところが1.70メートルという「ちびっこの家」、

建築学科のOBと学生が改装を続けているリノベーションの家、

何もない空間を海外のロフトみたいに改造したオフィスなど、

住んでいる人がうらやましい空間がたくさん紹介されている。

賃貸なのにここまで自由に住めるなんて本当にうらやましい。
しつこいですが、ほんと、いいなと思いますよ。



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300kcal以下のま夜中ごはん




最近、ひまがあったらこの本を眺めています。

この頃、ごはんが遅くなることが多いんです。
夜食といってもいい時間帯に食事を始めることが多い。

そろそろ翌朝の胃の調子も気になる年だし、
もちろん体脂肪も気になるし、という私には
うってつけの本です。

料理の本なんですが、コンセプトがいい。
夜中に食べても体の負担にならず、300kcal以下で、
簡単に作ることができる。

話題のカフェ飯といった、無国籍風の料理が並んでいます。

実際に私がトライしてみたのがこれ。

・マヨネンカレートースト

イギリスパン(私は食パンで作りました。)の表と裏に
マヨネーズを塗り、
カレー粉を茶こしで表だけにふる。

フライパンに、最初はマヨネーズだけを塗った方を下にして焼き、
裏返して焼き色をつける。

カレー粉を粉チーズにしてもいいみたいです。

作ってみたいのはこちら。

・豚肉とキャベツのみそ煮込みきしめん

きしめんは固めにゆでておく。

鍋にごま油、にんにくを入れて炒め、
香りがたったらねぎを加える。

だし汁、片栗粉をふった豚肉を加えて煮立てる。

味噌としょうゆを入れて味を調え、きしめん、キャベツを加えて
好みの固さになるまで煮る。

これだとそこそこ満足感も味わえそうです。

ゴーヤトマトピーナッツの炒め物

ゴーヤは4センチの短冊に、トマトは一口大に、ピーナッツは
半分に切る。

鍋にごま油を入れてよく溶いた卵を半熟のスクランブルにして
いったん取り出す。

にんにくとごま油でゴーヤを炒め、砂糖を加える。
照りが出たら先ほどの卵、トマト、ピーナッツを入れ、
塩コショウで味を調える。

週末のブランチや、ダイエットにも
なかなかお役立ちのメニューがそろっています。



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posted by momo at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 生活、ほっこり系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

超・格差社会アメリカの真実




よくできたミステリーを読むようなスリルがある。

「アメリカ人は四種類しかいない。
超金持ちと、仕事のプロと、貧乏人と、社会的落ちこぼれだ。」

と、本の冒頭からばっさりアメリカを伐ってみせる。

投資で生活ができる超金持ち、
そのまわりでコンサルタントなどをする仕事のプロ、
かつては中産階級だった貧乏人、
そして、社会保障に頼って生きるしかない落ちこぼれ。

アメリカ人はこれらに分類できるのだという。

アメリカ人は、メイキング・マネー・イズ・グッド、
つまり、お金儲けはいいことだと信じている。

逆に言えば、お金を儲けられないのは怠け者だから、
ということになるのだ。

そして、当の貧乏人や落ちこぼれは、
「自分が怠け者だから」
お金がないのだと思っている。

はたしてそれは真実なのだろうか。

比較的歴史の浅いアメリカで、
どのようにして特権階級が成立したのか、
著者は丁寧に述べている。

レーガン大統領の時代、軍備拡大を掲げながら
所得税は大幅に税率を引き下げた。

その代わり、社会保障税を上げ、
これによって投資でお金を儲ける富裕層の税負担が減り、
労働収入でお金を得る一般市民の税負担があがった。

クリントン大統領の時は、株価、不動産価格の上昇で
やはり富裕層の資産の積み上げを加速させた。

そしてブッシュ大統領は、イラク戦争をやってのけ、
石油・軍需関連企業の利益を膨大なものにした。

こうやって、富裕層とそれ以外の人たちの差は広がるばかりである。

しかし、アメリカでは成功者は、
いわゆる下克上がこのまれるので、
成功した人たちはその出自を明かそうとはしない。

結果、少数の本当に
下層階級から成り上がった人たちが有名になり、
それは誰でも努力すれば成功できるという、
アメリカ人の楽観的思想に影響を与えている。

ハリケーンカトリーナで被害を受けた黒人たちは、
南部の綿花産業が衰退する折に、
産業の交代ではなく、戦争によって開放されてしまった。

そのまま、何の対策も出来なかったせいで
(社会問題にならなかったため)、今でも放置されたままだ。

日本の格差は労働報酬の格差、アメリカの格差は資産の格差、
とまったく違う格差社会を見せつけられる。

知的好奇心をしっかり満足させてくれる。
現在のアメリカを知ろうと思う方には必読の一冊です。



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posted by momo at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 硬派!社会派系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大使が書いた日本人とユダヤ人




日本人とユダヤ人と聞くと、
やっぱり山本七平の書いた同名の本を思い出してしまう。

豊かな自然に恵まれ、外国に征服されたことのない日本人は、
艱難辛苦を乗り越えてきたユダヤ人に比べると、
あまっちょろい子供みたいなもんだ、という内容の本です。

高校生のときに読んで、ほお、と感心し、
その後本多勝一とぐだぐだの論争を繰り広げているのを見て
幻滅した記憶がある。

「また日本人がボロボロに言われてるのかな」なんて、
少し自虐的なヨロコビにひたりながら開いてみた本書、
思っていたものとぜんぜん違いました。

著者のエリ・コーヘン氏は駐日イスラエル大使で、
空手の達人でもある。

そのコーヘン氏が、日本人とイスラエル人は
多くの素晴らしい共通点を持っていると主張している。

日本人は宗教的な民族ではないと思われがちだが、
実は大変宗教が日常に溶け込んだ民族である。

家に神棚を作ったり、子供の成長に合わせて神社に参ったり、
神道の教えが浸透している(ちょっとかけてみました)という。

それは、ユダヤ教の教えが日常生活に大きな影響を与えている
ユダヤ人の生活様式に似ているものである。

また、ユダヤ教には報いを求めない献身がある。
それは、日本の武士道に通じるものである。

コーヘン氏が属する空手の流派は
松涛館というところらしいのですが、
そこでは4日間昼夜問わず集中的に練習する
「集中稽古」なるものがある。

それは、ユダヤ人にとっての
大贖罪日の概念と合致するものである。

大贖罪日にはただ神への祈りを行い、
食べることも飲むこともしてはならない。
そのストイックさこそが空手の教えにつながるという。

他にも、ユダヤ今日の教えの中の英雄たちが、
時には壮絶な自決を遂げたことも、
日本のカミカゼ、切腹の精神との共通点としてあげている。

伊勢神宮に参っては、灯籠にダビデの星を見つけ、
男系男子が継ぐ祭祀の家系と皇室の共通点を見つけ、
四国では神社の紋が、
ユダヤのろうそくを立てる燭台に似ていると感嘆する。

外国人が好きそうな日本がたくさん出てくる。

なかなか興味深い一冊でした。



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posted by momo at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 世間話、時事ネタ系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

パリジェンヌのパリ20区散歩




昨日は日本の田舎町を旅してみましたが、
今日はパリを歩いてみようと思います。

著者は、NHKのフランス語講座に出演されている方。
パリ生まれ、パリ育ちの彼女が、
パリの街を区という視点から案内してくれます。

パリは面積105.4平方キロメートルの小さな街。

それなのに、セーヌ川の右岸、左岸でまず大きく区切られ、
(当然人々の意識にも区切りが生まれ)、
反対の岸には絶対に渡らないという人もいるらしいです。

そして、20に分かれた区にもそれぞれの雰囲気、イメージがある。

単なる住所分けの記号ではなく、パリに住む人にとっては、
ステイタス、生活様式、歴史そのものであるのだそうです。

まず、代表的な1区。

ルーヴル美術館があり、パレ・ロワイヤルがある、
パリの観光地が集まっている。

地元の人たちにとっては、レ・アル地区にできた、
フォーラム・デ・アルに出来たショッピングセンターが
よく利用する場所のようです。

bobos(ボボと発音する)という、
ブルジョア階級の人たちに人気があるのは4区。

日曜日にはしまってしまうお店が多いパリですが、
ここのお店は開いているので、ショッピングが楽しめる。

フラン・ブルジョア通りからヴォージュ広場へぶらぶら歩くのが
パリジャンのお気に入りコース。

エレガントでありながら、気取っている雰囲気がない9区は、
かつて芸術家たちが集まった地区です。

ロートレックやユゴーが暮らし、
ゴッホやセザンヌ、ルノワール、ゴーギャンが
無名時代に絵の具を買ったお店がある街。

いまはオペラ座クリスマスデコレーションが楽しめる区。

うーん。恐るべき一冊。
行ったこともないパリの、
隅っこまで知っている気分になってしまった。

パリへ行く予定のある方、かつて行って、
その風景が懐かしいとお思いの方、ぜひどうぞ。



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posted by momo at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 生活、ほっこり系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北へ郷愁列車の旅




ずいぶんと暑くなってきましたが、
みなさんお変わりありませんか?

あちー、あちーとわめきながら、本屋で見つけた一冊。
見ているだけでひんやりするので、
時々眺めてはにやにやしています。

写真家の方が、北国の鈍行列車に乗って写真を撮り、
文章をつけた本。

大きな駅ばかりではないので、
そこはかとない寂しさがまた寒さを感じさせ、
タイトルどおり郷愁あふれる仕上がりになっています。

たとえば、秋田青森間を走る五能線。

東能代から川部まで、147.2キロの旅。

東能代の駅を7:52に出て、能代、向能代、北能代、と電車が進む。

ここは吹雪や強風、高波で運休することが
年に何回かあるのだそうだ。

岩館の駅では、腰ほどの高さに積もった雪を
シャベルでかいている駅員さんが写真に撮られている。

窓から見える民家の屋根には雪が積もり、遠景に日本海が見える。

車内では、向き合った座席に座り、元気に話している女性たち、
もたれあって座っている男子高校生たちがいる。

先頭の車両には、雪がこびりついていて、
駅員さんがスプレーをかけて除雪作業をしている。

自分自身が鉄道に乗っているみたいな気分になってくるから
不思議だ。

しかし、この旅には予定外の時間がかかってしまう。

途中、大雪のために列車が運休してしまうのだ。

そのときの駅の写真が出ているけど、
誰もいないホームの屋根に分厚い雪が積もり、
真っ白になっていて、
これがまた寂しくていい。演歌が聞こえてきそうだ。

運行が再開された早朝、駅務室にいた駅員さんに、

「ぬぐだまっていかねが?」と声をかけられて、
外国語のように感じる。

他にも、只見線、根室本線、釧網本線の様子が書かれている。

よく考えたら、鈍行列車の旅ってかなり贅沢だなあ。

当分、そんな贅沢を味わうこともできそうにないので、
とりあえずこの本で堪能してみました。



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posted by momo at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 生活、ほっこり系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

年金無血革命




多分、私の頭が悪いせいだと思うんだけど、
いまいちおもしろく感じられなかった。

新書には何度か、こうやってタイトルにだまされたことがあるが、
今回もその感をぬぐえない。

無血革命って、そんなこと言われたら
幕末の江戸城無血開城を連想させて、
こりゃまたすごい
ドラマチックな提言がされてるように思いません?

それはいい!
ぜひこの年金が不透明な今に求められる本ではないか!

そう思ったのに。

と、ながながと前置きを書いているのも、
あんまり紹介すべきところをピックアップできないからなんです。

この本、私がタイトルをつけるとしたら、
年金の歴史及び豆知識」ってとこだな。
ね、売れそうにないでしょ。

では、本書に納められている年金トリビアをご案内。

もともと年金とは、
貴族が妾や芸術家に対して与えるものであった。

産業が発展するにつれ、
労働者を確保するためのインセンティブとしての
役割を果たすようになる。

米英で初めて年金制度を導入したのは
アメリカンエクスプレス社である。

日本では、明治維新後、
武士たちに対する生活保障として始まった。

現在、日本で年金といえば、
企業が従業員のために支払う厚生年金、
公務員のための共済年金、
主に自営業者が加入する国民年金がある。

年金積み立ての問題点は、
加入者がどれだけ支払ったのかが明確にわからない。
改革を先送りにしたので、
問題が大きくなっている。など。

あと、欧米各国の年金制度に関しても
くわしく説明がされています。

著者は生命保険会社に勤務されていて、
年金の仕組みや歴史に関しては
とても深い知識をお持ちのようです。

なので、そういったことに興味のある方にはとても
役に立つ本ではないでしょうか。

ただなあ、無血革命というほどの明るい提言が、
いまひとつ読み取れなかったのは私の読解力不足でしょうか。

せっかく、
シンクタンクを立ち上げよという提言がなされているが、
読んでみると戦前の「満鉄調査部」の歴史が延々と
書かれていていささかがっくり。

これじゃあやっぱり不安だよ、年金。



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カワサキカオリの結婚の種




著者の方はパチスロ漫画家さんだそうです。
すみません、パチンコ系はぜんぜんやらないので、
知りませんでした。

さて、その漫画家さんが、あらゆる出会い
結婚サービスに突撃取材している漫画エッセイ。

過去にDV男との結婚未遂事件があり、
ストーカーに追いかけられたことがあり、
口説かれる男性はほぼ妻帯者という男運のない著者。

企画が持ちこまれたとき、最初は断ったものの、
担当者の、
「いい出会いがあればそのままつきあっちゃてください」
という一言で引き受けることに。

切羽詰ってますから、ということで、
「全力モードで」取材しています。

最初はNOZZE。(ノッツェ

会員登録制の、巨大結婚サイト。
支店で入会登録をして、写真や動画をアップ。
あとはパソコンや携帯で自分に合った相手を探す。

基本的には自分で連絡して会うんだって。
身元のしっかりしてる人がたくさん集まる、
というのが利点みたい。

PURE-iというサイトは、
理想の相手が見つかる日本最大のコミュニティーサイト。

自分の情報を登録して、メッセージを待ったり、送ったりします。

最初、趣味は読書とゲーム
相手にのぞむことはお互い支えあうこと、と
まじめに書いたときはメールが1通しかこなかった。

次に、趣味はお菓子作り、自己PRは人見知りする性格ですと
プロフィールを改める。
(詐欺だよ!)

「その人」には合計22通のメールが来て、
厳しい現実を思い知らされる。

ともあれ、出会いを真剣に求める人が多くて、
安心のサイトだと結論しています。

それからどんどん方向がずれて、
メイド喫茶でメイドさんの一日体験。

かわいい服を着て、
奉仕の精神でお仕事するのは案外と楽しいものみたいだ。

もちろん、ここでの収穫はなし。

ネットゲームでやっぱりストーカーに追いかけられたり、
出張ホストのやさしさに思わず
すがってしまいそうになったりするけど、
結婚の種はどうなった…?

会社、サービスの実名が挙がってるので、
気になる方はチェックしてみてください。



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posted by momo at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 世間話、時事ネタ系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜露死苦現代詩




都築響一という名前には見覚えがある。
誰だったかな、と思ってネットで調べてみると、
TOKYO STYLEという写真集を出した人だということがわかった。

TOKYO STYLEは、東京で暮らす個人の部屋を撮影したもの。
きれいでもおしゃれでもないの部屋ばかりで、
他人の暮らしを覗き見しているような
不思議な気持ちになる本でした。

さて、その都築響一が、今度は現代詩を語っている。

前書きでこう書く。

「現代詩は行き詰って、
難しくすることで生き残ろうとしている。
でもね、芸術は落ちこぼれに救いの手を差し伸べる
命綱だったはずだ。」

そして、子どもたちが夢中になっている
エミネムのヒップホップや、
神社に吊り下げられる素人の俳句や、
痴呆老人のつぶやきにこそ、
リアルな詩がある、と言う。

いいなあ!こういう感性。

著者は、死刑囚の俳句、エロメディアのコピー、
餓死した老女の日記、
パソコン携帯の変換ミスなどにも「詩」を見出す。

たとえば、暴走族の特攻服。
あれ、いろんな言葉が書かれてますが、
彼らのルールでは「他人のフレーズをパクること」が
最大のタブーなのだそうです。

申し訳ないけど、漢字の勉強をまじめにしたとは思えない
(ごめんなさい)子どもたちが、懸命にオリジナルで、
心をつかむ言葉を考えて苦悩してるなんて、
これはすごいことじゃないか。

そうやって考えた「詩」を、刺繍するんだけど、
一文字100円、大きい文字になると1000円という、
けっこうなお金がかかる。

しかも、警察の取り締まりも厳しくて、
刺繍をする業者には指導が入ることもあるのだという。

15やそこらの人生を賭けて必死で考え、
なけなしのお金を握りしめて作った晴れ着も、
卒業式に着て行けば教師に取り押さえられる。

そのくだらなさに、著者は芸術を見出している。

天からもらったこの命
咲いて散るのが我人生
一生一度の青春を
地獄で咲かせて天で散る

シュールだ。

感情を動かす言葉。
崩れる心をつなぎとめる言葉。
それを探すものが詩だとすれば、現代詩は死んではいない。

いいです。この本。
私は好き。



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2007年07月05日

患者漂流―もうあなたは病気になれない




夕張の総合病院が財政破綻した。
その病院では、准看護婦、検査技師、事務職員の給与水準は
全国のそれよりも高かった。

また、医師よりも給料の高い准看護婦もいたという。

別に、能力によるものならなんの問題もない。
問題なのは、公務員だからという理由で
平均以上の給与を与えていたことだ。経営は赤字である。

このように、日本の医療の問題点をつぎつぎと告発し、
解決策を提示している本です。

入院はできればしないほうがいいと著者は言います。

病院にはたくさんの菌がいて、
中には抗生物質が効かないような進化を遂げた菌もいる。

病院に長く滞在するのは、
病気になる可能性を高めるだけだそうです。

また、医療ミスも頻発している。

中には、患者が吸引している加湿器
アルコールを入れて中毒死させるという
単純でおそろしい事件もおきている。

日本の医師たちは、学閥などの身内意識で
お互いにミスを公表しようとしない。
患者としては泣き寝入りするしかない現状もあるという。

薬の飲みすぎもだめ。
基本的には人間の体に備わっている自然治癒力を信じて、
たばこをやめ、運動をすることで治癒する症状も多い。

少子化の日本で、産婦人科と小児科の医師が
減っているということも書いてありました。

医師の数が少なくなると、
必然的に一人の医師にかかる負担が大きくなる。

休みもなく、お産は安全なのが当然と思われている現代に、
ミスをすると訴訟沙汰になる。
リスクだけが大きく感じられて、
産婦人科の医師が地域の病院から姿を消しているのだそうだ。

妊婦さんも、地域の病院ではなく総合病院に通う傾向があって、
いざ、総合病院の施設が必要な難しい症状の患者さんを
受け入れることができなくなることもあるという。

患者の側にも問題はあるってことだな。

医療費も高騰し、今まで受けられたサービスが削られる現代、
貧乏人のとれる対策として、

・プライベートな付き合いができる医師を見つけておく
・普段から予防摂生を心がける
・自分の病気や医療に関する情報を集めておく

などの事柄が挙げられています。

貧乏ならば情報で勝負、と書いてあったので、
素直に情報を集めてみようかと思う私です。



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