2007年09月28日

東京・自然農園物語




最初から、話の展開が読めるといえば読める。
また、登場人物の設定にも
著者の「ワザ」がわざとらしく感じられもする。

しかし、面白い。
文句なし、癒し系エンターテイメント作品。
週末、仕事に疲れた体と頭で読むには適した一冊。

状況設定は、バブル真っ盛りの東京
都心の安アパート(なんと家賃が3万円)の
所有者の老人が亡くなる。

アパートに住んでいるのは、コピーライターのヤマケン、
浪人6年留年4年という学生の直也、
ヤクザの渡辺さん、
スナック「毒」のママ、マサミさん。

この個性的な4人に、老人はアパートを含む土地4000坪を
相続させるという。

ただし、条件がある。

それは、4人が欠けることなく5年間、有機農業を営むこと。

アパートの周りには、畑と池、雑木林があるのだった。

都心の土地4000坪に目がくらんで、
その条件を承諾する4人だが、誰も農業の経験などない。

それぞれが持ち味を活かしながら、
でこぼこ試行錯誤をしていくというお話。

思ったより畑仕事は辛い。
タネを撒いてみるが、土壌がやせているために
虫に食い散らかされてしまう。

農薬を使ってはいけないという条件なので、
自分たちの排泄物から堆肥を作ろうとする。

近所の人たちにはエンガチョ扱いされ、
子どもたちにはバカにされる。

しかし、辛いことばかりではなかった。
老人は生前に、彼らにたくさんの贈り物を用意してくれていた。

ただの林だと思ったものは、実は豊かな果実をもたらしてくれ、
竹林からはたけのこがとれる。
山芋、きのこ、そういった豊かな実りが、
この土地には隠されていた。

とれた作物の無人販売をはじめ、
そこはコピーライターのヤマケンが大活躍。

万引きなどのトラブルも織り込みつつ、
次第に周りの住人たちの理解、共感もひきだしていく。

自然の描写がいい。
夏の夜のカエルたちの交尾。
とれたてのたけのこの味。
排泄物が堆肥として生まれ変わる過程。
実りをもたらす雑木林。

最初、約束の5年が終わったら
土地を切り売りしようと考えていた4人が、
いつのまにか「自然農園」の共同経営者として
連帯を深めていく過程もよい。

予定調和ではあるが、
予想通りに終わってくれてよかったと思える。

県庁の星」のような作品が好きな方には絶対におすすめ。



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兄帰る




失踪して3年、野田功一の消息は、
事故死したことで家族に知れることになった。

彼に関った人間、母、妹、弟、婚約者。
彼らはいまだに過去から解放されていない。

彼が何を考えていたか、どうして失踪したか、
そして自分は彼の死にどう対峙するのか。

空白の3年間の、功一の足跡をたどることでその答えを探そうとする。

功一は、一定の場所にはとどまらず、
風来坊のように日本を旅していた。

婚約者は丹沢にやってくる。
まじめで、仕事熱心だった功一。映画がきらいと言っていたはず
なのに、そこで彼は、映画が好きだと話していた。

和歌山温泉には妹が訪れる。
功一たちの父は、借金保証人になって失踪していた。
父の代わりに大学をやめ、働いてくれた兄、。
そんな兄は、この温泉の人たちの記憶に、
やはり優しい人として残っていた。

弟は、兄がしばらく滞在していた老姉妹の家を訪れる。
映画監督になりたい夢を持っていた兄を、
否定した自分のせいだと彼女らに告白する。

母は、功一が最後に会った人物、夫の元を訪れる。
もう他の女性と暮らしている父に、功一は言った。
「おれはあんたを許さない。でも、今のあんたは認める。」

周りの人間は、父親のせいで夢をあきらめた功一に
同情と負い目に似た感情を持っている。

だが、功一はそう思われることを是としていたのか。

あとがきがいい。少し長いですが抜粋してみます。

「世の中に、どれほどの人が、
思い通りの満足いく人生を過ごすことができるのだろう。

人生の収支は死んでみないとわからないが、
赤字でも黒字でも、他人が決算するものではない。

さまざまな事情で人生の計算を狂わされ、
不本意な道を歩む人につい同情するのは自然な感情だが、
それ以上の憐憫を抱くのは傲慢だ。

しあわせ、ふしあわせの収支は、
その人の心の中でつけるしかないのだ。」

最後、皆それぞれに功一の死を昇華し、未来に向かう。

夢をあきらめたとはいえ、それなりに平穏な生活を送る功一の
失踪を描くことで、不本意な人生そのものと、
それを歩まざるを得なかった人間の苦悩を描いた作品。

絵はシンプルと言えばシンプルだが、雑ともいえる。
ですが、それなりに人生を経てきた大人であれば、
きっと胸に響く何かがある一冊。





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富裕層の財布




年収15万円で過ごす人もいれば、
一月の小遣いが100万円という人もいるのである。
この日本。すごい話である。

さて、著者は「下流社会」という本を書いた三浦展。
今度は富裕層に切り込んでいきます。

基本的に、富裕層の定義、富裕層のお金の使い方
世代ごとにことなる消費傾向、
資産の中身など、データが中心の本です。

富裕層向けのマーケティングなどを行っていて、
どんな人たちがいるのか知りたいという方には
大変お手軽、おすすめな一冊。

分析、論評などを読みたい方にはやや物足りないといえます。

本書は、株式会社イー・マーケティングが発行している
富裕層向けの雑誌、「SEVEN HILLS」に
アンケート用紙を折り込むという方式で調査された
結果を基にしている。

富裕層とは、一般的には年収が3000万円以上、
金融資産が1億円以上の人たちをさす。

富裕層の年齢分布は、30代以下が12.4%、40代が34.2%、
50代が30.9%、60代が15.8%、70代以上が6.7%。

職業は医師、会社起業者、経営者が多い。

収入源は、若い年齢のものが給与、報酬所得であるのに対し、
年齢を重ねるにつれ不動産からの地代、賃料が多くなる。
不動産資産は、ビル、店舗、山林など、自宅以外のものが多い。

気になるお小遣いは、年収1億円以上の人は毎月平均172万円。
年収5億円以上の人は228万円。もう言葉が出ません。

その中で、消費を引っ張っているのは若い女性である。
働く女性、高給をとる女性が増え、ファッション、
家事サービスなど、彼女らは旺盛に消費をする。

富裕層の娯楽は、高級レストラン、ホームパーティが主で、
海外旅行などには行かない。

仕事が忙しいので、行けないのである。
しかし、彼らは基本的に勤勉な人間が多く、
仕事を休んで娯楽に興じることにそれほど興味がない。

彼らのアンケートの結果、
富裕層になるために必要なものとして選んだ、
第一位は「努力」であった。

やっぱり皆さん、努力されてるのね。

大型テレビを欲しがるのは若い男性。
車をステイタスと考える人間は意外に少ない。
団塊の世代の富裕層は、家事サービスなど利用したがらない。
主婦がするもの、無料のものと考えている。
若い女性は、安全と安心を求める。

ふう。読んでるだけでおなかいっぱい。

ぜんぜん違う世界というのを、本で知るのもなかなか面白い。



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まんねん貧乏




わーい。こんな楽しい本、久しぶり。
読んでて楽しい。うらやましい。いっそすがすがしい。

帯に書いてある。
「年収15万円。なんとかしのいでいます。」

36歳、女性。独身生活を謳歌したいがために、
結婚をせずに過ごしてきたが、
とうとうニュージーランド人の男性と結婚。

お金を使わない遊びと妄想、昼寝が大好き。
へたくそだけど家具カーテンも作ってしまう。

貯金はする。月々貯めたお金でやりくりし、
キャッシュカードはあまり使わない。
何のためにお金を貯めるかというと、無職になるためだ。

バイトをして、無職になって、
絵を描こうと思いつつ昼寝をして。
そんな生活。

それでも、気が弱いのでNHKの集金が来るとお金を支払ってしまう。
買物に行こうとしていたところに出くわして、
今夜のおかずがなくなってしまうこともある。

ヨーグルトの空き箱に貯金をして、美容院に行こうとする。
意気揚々と、普段はかないスカートをはいて自転車に乗ったところ、
後輪にスカートが巻きついてぼろ布みたいになってしまう。

情けなさ満載である。

バイトもする。

マニュアルだらけのファーストフード店では撃沈。
常連さんには何か一言話しかけたいと思っても、
マニュアル以外のことは話してはいけない。

水商売を始めてみると、ママが気を使って、
「娘に買ったんだけど」と
さりげなく洋服をプレゼントしてくれる。

本は文庫本しか買わない。
増えてきたので整理しようと古本屋に行くと300円で買い取られる。
後日、もったいなくなって再び買いに行き、
450円の値段で買い戻してしまう。

友達から遊びの電話がかかってきても、お金がないので行けない。
おごりときいても、電車代がないから行けない。

お金を使わない遊びだったらできるのである。

靴下を丸めてカーリングをしてみたり、
エアギターに興じてみたり、
派手目のメイクをして踊ったりする。

20代の頃は、こういう遊びにつきあってくれる友達がいた。

でも、大人になると、がんばった分贅沢がしたいものなのかな、
とふと思う。
自分は大人になってはいけない人間だったのだろうか。

いいよなあ。こういうのも。
笑えるけど、まねはできないけど。
お金から自由というのはこういうことかも、と思ったりもする。



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一瞬で心をつかむ 売れる色の使い方




ビジネス書ではありますが、
普段の生活にも十分応用できそうな本。
フルカラーなのがいい。

一応、難しい色の理論なども説明されていますが、
私のような素人には、目ではっきりわかるのが面白い。

デザインはともかく色って、
商品の売れ行きにどの程度影響があるんだろう。

私はなるべく、なんでも性能重視で選んでいるつもりなんだけど、
やっぱりそれなりに、色にはイメージがあることに気が付く。

たとえば、本屋さんで、
女性向けの恋愛本のコーナーに行ってみる。

そういった本は、たいていピンク色の装丁であることが多い。
女性が好む色は、ピンクや紫といった
パステルカラーなどの明るい色だからだ。

化粧品や、車のボディカラー、
女性をターゲットにしたたばこは、
たいていこういうパステル調のやさしい色をしている。

男性向けには「シャープ」「力強さ」を感じさせる
配色がされることが多い。
黒、濃紺、シルバーなどだ。

面白いのは髭剃りと女性用脱毛器の対比。
言ってみれば同じ機能を持つ商品なのですが、
髭剃りはたいてい黒。
しかし、脱毛器は白にピンクや水色をあしらったものが多い。

黒い脱毛器とか、確かに買いたくないもんな。

意外に人間の購買活動に影響する色。
店舗を構えるにしても、色は大変重要です。

たとえば、コンビニのような、日常的に使われる店には、
暖色系の明るい色がいい。
それらは「にぎわい」を感じさせ、人をひきつけるからです。

車の中から目に留まるのは、やはり明るいオレンジなどの色。
ドライブインの看板を緑にすると、
まわりに溶け込んで目立たなくなる恐れがあります。

面白かったのは、商品陳列の際の「捨て色」の使い方。

基本的に客は、服などを買うとき、
無難な茶色や黒という基本的な色のものを買っていく。

だが、それだけをそろえるのではなく、
ピンクや赤、紫という目立つ色の商品を一緒に陳列する。

そうすることで客の目が商品に留まりやすくなるという
効果があるのだそうだ。
そして、そういう色を「捨て色」と言う。

巻末には自分に似合うパーソナルカラー、
ビジネスの場面で応用できるスーツの選び方なども載っている。

何気なく接している色。
そろそろ衣替えの時期ですが、これをきっかけに
ご自分の色を探してみてはいかがでしょうか。



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2007年09月20日

安倍晋三の本性




びっくりしましたね。
いや、まさかこのタイミングで辞任されるとは。

そして私も、いささかタイミングをはずしたところで
こちらの本をご紹介。

安倍晋三とはどんな人間なのか。
バックグラウンドから思想まで、資料をもとに書かれた本です。

表紙は安倍氏の人形の写真ですが、
のっぺりとした紙人形が不気味です。
基本的に安倍氏には否定的な立場で書かれた本です。

安倍氏はなぜ、
議員になってわずか13年で総理大臣になることができたのか。

それは彼の血筋のよさだとこの本では言っています。

父親は自民党幹事長や官房長官、通産大臣、
外務大臣を歴任した安倍晋太郎氏。
母親は岸信介元首相の娘です。

まえがきでおもしろいエピソードがあります。

中国の資料館を訪ねた安倍氏。
ガイドが、「この人は中国を支配した一番悪い人」
と説明したのが祖父である岸信介。

同行した荒井氏が、
「この人(安倍氏)はその人(岸氏)の孫ですよ」と言って、
ガイドが息を呑む場面があったそう。
荒井氏こそまさに、「空気読め」である。

さて、そんな岸氏のDNAを受け継ぐ安倍氏は、
ソフトな面持ちからは想像もつかない極右翼的思想の持ち主である。

先の戦争においてのアジア諸国への加害を認めない
「新しい歴史教科書をつくる会」、
改憲・翼賛の右翼団体「日本会議」、
天皇中心の日本を標榜する「神道政治連盟」。
阿部氏はそれらの組織とつながりがある。

また、新興宗教団体である統一教会との関連も指摘されている。

日本を戦争のできる国にするために、
安倍氏は教育改革にも取り組もうとしている。

イギリスで、教育改革を行った際に
自虐史観に当たると思われる記述を教科書からなくした、
日本もそれにならいたいとと安倍氏は主張しているそうだ。

だが、確かにそのような教科書はできたが、
やはり、自国の侵略の歴史を教える教科書も存在するので、
多様性が増しただけだと本書では反論している。

ソフトなイメージの安倍氏が、長く首相の座にあり続け、
本性をむきだしたときが恐ろしい、と警告している本。

これ、発行されたの、2006年10月30日です。
まだ時代遅れになるには早すぎるはずなんだけど。

警告が無駄になって、著者の方たちは安心しているのか、
拍子抜けしているのか。
それが気になる。



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コミック鏡の法則




ご存知、鏡の法則のコミック版。
女性向けの絵ですが、
きれいな絵なのでどなたでも読んでいただけます。

また、鏡の法則をより深く解説した
18のポイントが載っていて、この厚みで1000円は安いと思う。

まあ、それだけ売れると踏んでるんでしょう。

一応、鏡の法則のあらすじをご紹介。

秋山栄子は、トラック運転手の夫と息子、
三人の家族で暮らしている。
ある日、息子がいじめられていることを知って悩む栄子。

夫の紹介でコンサルタントの矢口に相談すると、
まず、栄子自身の問題を解決しましょうと言われる。

身近な人に感謝しているかと問われた栄子は、
父親とのわだかまりがあることを矢口に話す。

建設会社で働いていた父とは
うまくコミュニケーションがとれておらず、
ことあるごとに反発していた栄子。

矢口に言われたとおり、父への不満と感謝を紙に書き出し、
感謝の言葉を父に伝える。

父と和解し、実は父の姿を夫に投影して夫に不満を持っていたこと、父が栄子にしたように、
自分が息子を信頼していないことを栄子は知る。

それを知ったことから、少しずつ家族は変わり始める。

信頼していることを息子に伝えると、
息子に起こっていた問題(いじめ)が解決した。
夫にも愛情を伝えることができた。

こんな感じのお話。

許す、ということがテーマになっています。

解説はQ&A形式で書かれています。
きっと著者に寄せられた疑問のお手紙なんだろうな。

中に、「早速同じことを実行したのにだめでした」
というものがある。

著者は答える。
感謝の言葉や謝る言葉を伝えること自体を目的にし、
見返りは求めないでください。
相手がそれだけ傷ついている可能性があるのですから、
その弱さを受け止めてあげてください、と。

また、「どうしても親を許すことができない」という問いには、
許せない自分を許すことで、
親からの呪縛を解き放ってください、と言う。

自分の中にあるいやな感情を認め、吐き出し、
そして許すことで楽になろう、ということなのかな。

確かに、自省だけで何もかもうまくいくというの
はありえない理想論かも。

しかし、結局他人を変えることなんてできないのである。
少しでも自分から変わっていくことができれば、
環境も変わるのかもしれない。

鏡の法則、教えてあげたいけど、活字は苦手だしな。
そんなあの方にプレゼントされてみてはいかがでしょうか。



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みんな力




Web2.0を、広告、マーケティングの観点から述べた本。
大学教授の方の本ですが、そう難しくない文章なので、
「興味はあるけど論文みたいなのは勘弁」という方におすすめ。

まず最初に、Web2.0関連の本に
必ず出てくるキーワードを説明してくれている。

従来の広告は、企業が消費者に向けて
一方的に投下するだけのものであった。

消費者の実際の声は、
その周辺の数人の人たちに世間話として伝わる程度で、
たいした影響力を持つものではなかった。

だが、インターネットの発達により、
消費者の感想はたくさんの人たちに伝わっていく。

ネットにつながる人たちは、
同じ立場で情報を発信することができる。
これがネットのもたらしたフラット化である。

また、従来は「死に筋商品」として
それほど売れなかった商品が細々とであるが売れ続けることがある。ロングテールといわれる現象だ。

消費者が情報を発信する場所はたくさんある。
たとえば、化粧品口コミ情報を集めた@コスメというサイト。

ここでは、化粧品を実際に使った人がその感想を書き込んでいき、
たくさんの人たちがそこの情報を参考にしている。

ブログでも消費者の声は発信される。
昨年、「時をかける少女」というアニメ映画が、
公開後評判を呼び、上映する映画館が増え、
上映期間が延長されたということがあった。

映画を観た人たちがブログで感想を発信し、
それを観たいという人が増えたのが理由だ。

同じ時期に上映された「ブレイブストーリー」に比べて、
広告量も上映館も少なかった。

が、それがかえって、自分たちが応援してやろうという気持ちを
消費者がもったのではないかと著者は分析している。

今まで、企業にとって消費者は攻略するべき敵であった。
マーケティングは敵の動向を探るものであった。

しかし、ネットの発達により消費者は変貌しつつある。
その現実を受け入れなければならない。

敵ではなく友達、仲間、共同開発者として
消費者を捉える試みが必要であるという。

たとえば、ブラザーという会社は、
ミシンの開発者の日記をブログで公開している。

普段は接することのない開発者の本音を知ることで、
消費者はいつの間にかブラザーの商品に
「開発段階からよく知っている」という愛着を持つようになる。

また、消費者の意見をダイレクトに取り入れて、
新商品の開発のヒントにすることができる。

ネット上ではうそや仕掛けは見破られることが多く、
また見破られたらその悪評が広がるのは早い。
下手な隠ぺい工作は致命傷になる可能性がある。

これからの企業は「リスペクト」されることが大切である。
信頼され、仲間意識を持つことが出来るような企業、商品。

本を買うとき、アマゾンのレビューを
参考にすることが多い私には大変興味深い一冊でした。



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2007年09月14日

シンプル整理で仕事は3倍速くなる




サラリーマンの平均年収
440万円とすると、その1分間のサラリーは約40円。

40円の価値のある1分間を無駄にせず活用することで、
仕事の効率をあげよう、という本。

時間、書類、仕事の整理術が説明されていて、
どんな仕事にも応用できそうです。

「忙しくて時間がない」。
誰だって、一度は言ったことのある台詞だと思います。

しかし、うまくやりくりして使えば
時間はけっこうたくさんあるもの。

たとえば、カップラーメンを作っているとき、
通勤時間喫茶店での待ち時間、
そういう少しの時間を「攻め」て過ごす。

資料に目を通す、次の仕事のイメージングをするなど、
活用する方法はたくさんあります。

しかし、どこでも仕事をするといっても、
普段からその用意がなければ簡単にはできません。

処理が必要な書類は仮置きファイルに入れる。

著者はこれを、赤のクリアファイルを使っているそうですが、
普段は机の上に、外出のときはこれをかばんに入れるだけなので、
常に処理しなければいけない書類が
手元にある状態を作ることができます。

これいいなあ。ちょっとまねしてみようかな。

また、B6サイズのメモを活用し、
前日から仕事の重要度などをメモして整理しておく。

前日のうちに仕事の段取りを決めておくのは
非常に大切なことのようです。

ほんの5分程度で済むことですが、
これをするのとしないのではずいぶんと違いが出てくるそうです。

この本の著者は、
いつも仕事が始まったときには
スタートダッシュの用意が出来ている。

会社に着いてまずコーヒー、という
(私のような)人間とは少し違うようです。

本を読むのも、赤ペンやふせんを用意して
自分の欲しい情報のキーワードをチェックしていく。
ざっと、情報を拾い読みするというやり方をすすめている。

この人、ビジネス書しか読んでないんだろうなというのが
よくわかる思考回路である。

さて、しかし、整理整頓ができていると
何でもスムーズにすすむというのは事実である。

整理する時間が無駄、なんて思わずに、
この週末は部屋の掃除でもしようかと思う私です。



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道路の決着




先日読んだ、
「絶望に効くクスリ」に登場した猪瀬直樹さんの本。
興味があったので読んでみました。

読んでいて非常にいらいらする。
文章がおかしいとか、まわりくどいとかそういうのではない。

猪瀬氏の奮闘が空回り、空回りで、
なぜこんなに前に進まないのかと怒りが沸いてくる。

2002年に猪瀬氏は道路公団の民営化委員会の委員として就任した。

猪瀬氏は摘発する。
道路公団が発注する工事は、
予定価格の97%という高い価格で落札される。

まあ、道路なんだから、
安かろう悪かろうではいけないかとは思うが、
実際には、安すぎると調査が入るという仕組みがあるらしい。

だから、入札するほうはどんどん安い価格で入札してもいいのだ。
きちんとした工事であれば、安いほうがいいのである。

しかし、道路公団にはコストを削減しようと意識はない。

税金を使う工事なのに、公団OBのいる会社に落札させている
談合の証拠を、猪瀬氏は突き止めようとする。

しかし、公団から出されるOBの名簿は
墨が塗られているものだった。
信じられます、いまどき手作業で墨塗りって…。

この本を読むと、高速道路の料金がどんな風に無駄遣いされて
たかたよくわかる。

道路わきにある非常電話の料金が一台250万円。
植木、電気などの設備も
公団OBが天下りするファミリー企業に受注している。
(高コストである。)
めちゃくちゃである。

猪瀬氏は、それをひとつずつ立証していき、
民営化することでコストを意識する団体に変えていこうとする。

しかし、利権に寄生する人たちには面白くないのはたしか。

役人は猪瀬氏に資料を会議の前日夜にやっと提出するし、
JR出身の委員は、ライバルである高速道路の値下げに反対する。
みな、自分の利益のために奔走し、
猪瀬氏の孤立無援の戦いぶりが痛々しい。

記者が入れ替わりばかりで、
深いところまで理解せずに報道するマスコミにも
苦言がなされている。

確かに、私も当時の報道を見ている限り
「ふうん、結局骨抜きのカイカクだな。」という印象を持った。

猪瀬氏は言う。
「なんとか及第点というところにこぎつけた。」

この本を読んでいると、確かに、満点の結果ではないだろうが、
それでも非常にぎりぎりのところで
民営化、分社化をとりつけたのがよくわかる。

高速料金無料化にこだわり続ける管直人氏。
談合を知っていながら知らないとしらを切るが、
狼狽する様子テレビに映し出される内田氏。
常にぶれずに改革を進め、決断も力強い小泉純一郎氏。

道路公団民営化という大事業にかかわる人間像も、
非常に臨場感を持って描かれている。

もちろんノンフィクションなんだけど、サスペンスドラマ
ようにも読める、非常にスリリングな一冊。




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金融屋




著者は元アイフルの社員さんらしい。消費者金融の内側をリアルに書いているので、
興味のある方はぜひどうぞ。
文章は平易、実例が多いので、読みやすいです。

こんなことを言うとあれだが、読んでいて、
借金漬けになる人のだらしなさには驚いてしまう。

もちろん、貸す側の視点で書いたものなので、
多少は割り引いて見なければいけないとは思うが。

いや、それにしても、著者は決して
消費者金融を一方的に善としてはいない。

むしろ、新人の頃には取り立てに罪悪感すら覚えたことを
正直に書いている。

先輩社員が関西弁で暴言ともとれるような
恐ろしい電話をしているのを見て、
つい意見してしまう著者。

すると先輩は、「そしたらお前が取り立ててみろ。」と
リストを渡してくれた。

丁寧な口調で電話をして、明日には入金するという約束を
リストの全員からとりつける。
ほら、きちんと話せばわかってくれる。

しかし、翌日の入金はゼロ。その日また電話すると、
皆、明日には支払う、と言う。
が、翌々日も入金はゼロ。

先輩が例の口調で電話して、やっと返済分を入金させた。

「どうせ他からも借金してるのだから、
なめられたらうちへの入金は最後にまわされる。
彼らは怖いところから返していくんだ。」

借りた金は返す。その当たり前のことができていない。
そのため、「いい大人を教育している気分」になることもある。

貸す側だってリスクを負っているのだ。
貸す資金を調達しなければいけないのだが、
同業者から金を借りることはない。

手の内を知っているものに借りると、取立ての際が不安である。
そのため、あるスポンサー筋から資金を引っ張っているが、
利息は18%と高い。

借り手が逃げてしまえば
それはそっくりサラ金の損になるのだから、
取り立ても必死だ。

また、担保にしやすいのは農地や山林なんかより、
ごくごく普通の一戸建て
理由は、買い手が多いから。

他で借金はないと言っても簡単に見破られる。
金融業界で共通するデータベースがある。

そんな内側もよくわかる。

借金、安易に手を出さないためにも一読の価値あり。



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假屋崎省吾の食卓にあふれる愛




テレビなどにもよく出ている華道家、假屋崎省吾氏の料理本。

なんだよ、華道家だろ?
有名人だからって適当な本出しやがって。

そんな声が(私の心の中から)聞こえてきますが、
読んでみるとなかなかよかったです。

何がよかったかというとこの二点。

・家庭でも作れそうな、地味で堅実で普通の食材を使っていて、
なおかつそれほど難しくない料理。

・母への思いを切々とつづった文章が載せられているのだが、
その個性的な文章によってつくられる假屋崎ワールド。

假屋崎氏はお母様を69歳で亡くしておられます。
ちょうどお母様と住むために新築した家が建ったばかりで、

「新築の家にひとりぽつねんと取り残されたわたくしは、
夜の闇に飲み込まれた小鳥のようでした。」

小鳥?小鳥ぃ?!
もうこの一文が脳天直撃。
假屋崎氏の世界にどーんとひきずりこまれてしまいました。

公務員のご家庭に生まれた假屋崎氏。
ご両親が園芸が好きで、
庭にはたくさんの花があふれていたそうです。

少年の頃の假屋崎氏が好きなテレビは、
NHKの「婦人百科」、「趣味の園芸」、「きょうの料理」。
少し変わった少年だったようです。

花は好きだったものの、それでは食っていけないだろうと
二浪して大学へ。
卒業後もアパレル関係で仕事をしていたそうです。

ですが、花への思いを断ち切れず、それを認め、支え、
背中を押してくれたのが母だったと假屋崎氏は言います。

そんなお母様はお亡くなりになりましたが、

「母の姿は見えなくても、
わたくしは心のなかにいる母と一緒にどこへでも出かけます。
母は今でもわたくしと一緒に歩み続けてくれている。

喜びごとがあるたびに、心配事を乗り越えるたびに、
そう感じるわたくしでございます。」

そう、この本は、料理本の形をした東京タワー
(BYリリー・フランキー)なのだ!

とはいえ、写真も多く、料理もとてもおいしそうである。

豆のサラダ黒ごま豆腐和え、節約てんぷら、鶏すきやき、
さばの甘酢漬けなど、今日の夕飯の参考になるおかずが豊富。

ひじきに高野豆腐とするめ、昆布茶を入れるレシピがあって、
試してみたのですがなかなかおいしかったです。




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書店ポップ術




梅原潤一さんは、
有隣堂書店という本屋さんの社員さん。
その梅原さんが今まで書いてきた本のポップを集めた本。

読んでみると、本当に本が好きなんだということがわかる。
通り一遍等の説明書きではなく、
まして売らんかな主義の適当なあおり文句でもない。

きちんと本を読んだ上で書かれたもので、
そのポップを見ているだけで梅原さんの興奮が伝わってくる。

レイアウトも素敵。
思わず手に取りたくなる、衝動買いを誘われそうなポップが多数。

たとえば、紺色のふちどりに同じく紺色の、
「CRAZZZY!」の文字が踊る、小川勝己の彼岸の奴隷。
コピーは、「クライムノベルはこいつで臨界点を突破する!」

ポップに影響されて買っていかれる本は、
やはり文庫が多いそうだ。
値段の関係があるという。衝動買いできる値段ということだろう。

それを逆手にとって、宮部みゆきのR・P・G 文庫版にはこうだ。
「模倣犯より軽くて安い! 
あの量と値段にマイった宮部ファンも今回は気楽にどうぞ。」

そうかそうか、と手に取ること間違いなし。

梅原さんは、それほど売れていなくても、
自分が読んで面白いと思う本には積極的にポップをたてる。

彼のおすすめの作家さんは萩原浩だ。

コールドゲームという本のポップは、
黄色の目を引くテープがふちに貼られている。

そして、「昔いじめたあいつが復讐に来る。」
本の内容も書いていて、そうやって小出しにされると
読みたくなる人のサガに訴えかけている。

面白いのは、ウラがあるポップ。
別に意味を深読みしろというものではないですよ。

文字通り、ぱらりとめくると別のポップがあると言う仕掛けだ。

雫井脩介の火の粉は、表のポップに、
「隣人は殺人犯?ズブズブ嵌まる犯罪小説!」とあおっておいて、
めくると、
「最凶最悪!モンスター級の犯人像があなたの心臓を鷲掴みする!」

このポップでもはや私の心臓は鷲掴みされてしまってあせる。

ポップを出した時期と売上の関係もグラフ化されており、
セールス術としてもおもしろい。

それ以上に、ここにも本が大好きな人がいた、と読書好きなら
思わずにんまりしてしまう愛情あふれる一冊。
おすすめ。



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捨てるな!うまいタネ


 

この人、タネのセールスマンやー!
思わず彦麻呂さん風に叫びながら、少し古い本ですがご紹介。
おもしろいんです、本当に。

皆さん、タネってどうされてます?
スイカを食べるときに、ピーマンを、かぼちゃを、
ゴーヤを、調理されるときに。

捨ててしまう方がほとんどだと思います。

それを、「捨てるな!」育ててみよう「うまいタネ」。
そういう本です。

タネというのはああ見えて(?)
とても強い生命力を持っているものらしい。

難しいことを考えなくても、適当な容器、
たとえばイチゴの箱、ペットボトルを半分に切ったもの、
そんなものに土を入れてタネを撒く。

あとはまた適当に水をあげて、
芽を出すのを待てばいいとこの本では言っています。

タネはその小さな体の中で、いろんなことを実は考えている。

手も足もないので、鳥やリスに運ばせたり、
人間の交易に便乗して遠くへ遠くへ旅をする。

植えられた(落とされた)場所を吟味し、
あせって芽を出すタネ、
考えすぎて発芽できないタネ、そういうものもあるらしい。

タネが発芽し、成長し、
実をつけるまでは奇跡みたいなものなんだそうだ。

だから、しょっぱなから
肥料だの植え替えだのをあせる必要はない。

それは、「生まれたばかりの赤ちゃんに、
どの会社に入れようかと心配するようなもの」。
タネを信頼し、一緒に一喜一憂していくのが
このロマンなのだ。

ただ、タネをとった野菜や果物と、
同じものができるかと言えばそうではない。

今、たいていの野菜や果物は
品種改良の末に出来たF1品種というもの。
いくつかの品種が混じっているので、
次世代に同じ特徴を伝えることが難しいらしい。

それでも、何世代か根気よく育てることで
オリジナル野菜を食べることができるかもしれない。
これはかなり壮大なアドベンチャーと言えるかもしれません。

タネ撒きの時期の一覧を見ていると、
今の時期に適したものはないようだ。

そんなときは、タネを採取して保存しておこう。
ぬるぬるした果肉を水洗いしてとって、乾燥させておく。
保存は冷蔵庫を利用するといいらしい。

タネの寿命は中には千年というものもあるらしいが、
二年くらいで撒いたほうがいい、とのこと。
それでも二年もつんだ。生きてるんだ。

ペットボトルに撒いて、発芽したら
プランターなどに植え替えてやって成長を日々楽しみにする。

そして、できた実は、市販のものより味が落ちるかもしれない
が、形はいびつかもしれないが、
世界にひとつしかない自分だけの実なのである。

イギリスではかつて、世界中でタネを採取する
プラントハンターという職業があったこと。

砂漠の緑化には植樹よりもタネを撒く方が適していること。

日本の植物は、タネすらほとんどが輸入であること。

そんなタネに関する知識も盛りだくさんである。

とにかくタネが好き、という感じの著者。
文章も大変こなれていて読みやすい。

週末、子どもさんとの会話のネタにいかがでしょうか。
夏休み中にご紹介できなかったことを反省しております。
ごめんなさい。



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2007年09月06日

再婚生活




再婚生活というタイトルではあるが、結婚生活をつづったエッセイというよりは、
うつ病の闘病記であるといったほうが正しい。

一部と二部に分かれていて、
もしこれが一部だけだったら私は
決して人にすすめたり紹介したりはしない。

著者の日記なのだが、
一部ではうつのまさに闘病中に書かれたものであり、
読んでいて「あ、おかしい。」と思う瞬間や、
つらくなることが多い。

二部になって、病状がよくなった著者の
冷静に過去の自分を見る目線でやっと癒されるという感じが
私はした。

マンションを買って、小金を持って、優しい夫もいる。」

それなのに、一日平均18時間眠り、
パン一枚食べて必死で原稿を書き、
「死にたい、消えてしまいたい。」と思いつめてしまう。

文緒さんの夫は優しい。
ごはんを作ってくれ、彼女の病気を気づかってくれる。
夫婦はお互いにマンションを持ち、
週一回夫が通ってくるという形態で暮らしている。

優しい夫のはずなのに、
「一人がいい。一人が平静である。」と著者は言う。

この人の作品を、私は以前好きでよく読んでいたが、
人間の直視したくない本音のところをあぶりだすという
小説が多かったように記憶している。

人の心の動きに敏感な人は、誰かといると、
それが配偶者であっても落ち着かないものなのだろうか。

リタリンという精神がハイになる薬で
ドーピングして日常生活をやりくりし、
入院してはそこの患者たちとの人間関係に頭を悩ませる。
非常に繊細な、うつ病患者の日記である。

私が印象に残っている、病的だなと感じた一節。

退院まで一ヶ月という日に、見舞いに来た編集者がこう言う。
「まだ一ヶ月あるじゃないですか。」
対して山本文緒は言う。
「もう一ヶ月しかないじゃん。」

こうやって自分を追いつめていくものなのか。

二部では、その二年後の生活が日記につづられている。
体の調子を整えるためにたばこをやめ、お酒も減らし、
整体に通っている。脂っこい食事もやめた。

病気だった自分を振り返って、夫に辛い思いをさせていたこと、
もっと自分の体を大切にしてあげたいと思っていることを
切々と書いている様子が、なんというか、
雪解けの春を思わせるようで、
読んでいるこちらまでほっとしてくるのが
この本のいいところだと思う。

もうひとつ、山本さんは日々食べたものを細かく書いている。
高級レストランの食事だったり、
オリジン弁当のお惣菜だったり、
夫が作ってくれる玉子スープだったりする。
生活感があって、私は好きだ。

私的な話で申し訳ないが、私は今、なぜかあせっている。
目標とか理想とか、
そういうものと現実が離れているのがあせりの原因だ。

だけどこれを読んで、まず日々の暮らしを大事にしようと思った。
どうしてだかうまく言えないけど、そう思わせられる本だった。



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細木数子―魔女の履歴書




こういう人、いるなあ。
自分の欲望に忠実で、それがあからさますぎて
えぐい印象すら与える人。

戦後の混乱期を、したたかに、欲にまみれて生きてきた
悪漢の一代記として読めばおもしろい。

細木数子は1938年4月4日、
民生党員外団の細木之伴の子として生まれ、
本妻と妾が同居する家で育った。

家は、いわゆる「青線地帯」にあった。
街娼が立つような町である。

数子は売春の斡旋で金をため、
次々と喫茶店、スナックなどの店を出し、
商売に目覚めていく。

夜の仕事の関係で、
暴力団関連の人間とつながりを持つようになる数子。

滝沢組組長、滝沢良次郎と関係を結び、
その後に生涯連れそうことになる堀尾昌志と出会った。
堀尾は小金井一家総長という人間である。

やがて、
「政界、芸能界、暴力団にパイプを持つミニフィクサー」とされる
安部正明氏の家に出入りし始めた数子は、
蓄財の原点になる島倉千代子との出会いを果たす。

島倉千代子の興行権を握り、そのギャラをほぼ掠め取り、
なおかつマンションまで奪い取ったそうだ。

島倉にも非があるだろうとは思うが、
カモを見つけると徹底的に利用する、
その暴力団的な手法にはため息しか出ない。

やがて、歴代首相の指南役だったという安岡正篤氏と結婚をする。
(これは痴呆の始まった安岡氏をだましたものに近いという。)

安岡氏が四柱推命という占いに詳しかったことから、
数子は彼を宣伝材料に使うことができた。

こうやって読んでみると、細木数子はその生涯で
まともに占いの勉強をしたことがないのがわかる。
有名人の名前を挙げているが、
皆、細木を弟子にしたことはないと言っている。

ちなみに、彼女の占いは、
「的中率34%、はずれ率64%」なのだそうだ。

占いは彼女にとっては商売への入り口だ。
講演会を開き、10万円もする個人鑑定へ客を誘導し、
墓石を買わせる。
彼女の年収は24億円になると本書では推定している。

テレビ芸能人に暴言を吐いても、
暴力団の人脈が怖くて反論できないのが実情なのだそうだ。

著者も、暴力団から執筆を控えるよう圧力を受けたと書いている。

細木数子の出ているテレビ番組は視聴率も高く、
彼女を支持する声も多い。
いいことを言う、と考えている人もいる。

そのことを本書も認めている。
客観的な視点であるよう努めて書かれた本であり、
興味本位のスキャンダラスな内容ではない。

今年もそろそろ、例の細木氏の占いの本が
本屋さんに並び始めますね。
ナントカ星人の運命というやつです。

それを手に取る前に、ぜひこちらをどうぞ。



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田舎者と都会人




人間、何かと自分や他人を分類したくなることがあるもの。
こちらの本は田舎者の度合いでもって人を分類してみようという
試みで書かれた一冊です。

田舎者の私としては、ヒガミと反発いっぱいで読み始めたのですが、
これが意外におもしろい。
著者の方が生粋の都会人ではなく、
大分県の田舎の出身の方だったのもなんとなく救いである。

さて、田舎度を基準にして人間を分類すると、
5つのタイプに分かれると著者は言います。

・混じりけなしの田舎者

このタイプは義理人情に厚く、仲間意識が強烈に強い。
人の話を鵜呑みにし、疑うことを知らない。
とりあえず「一番」と評判のものを買おうとする。

また、仕事とプライベートの区別がつかないのもこのタイプだ。
仕事を休むときは、
「祭りに参加しないといけないので。」などの言い訳が有効。

・都会人気取りの田舎者

上昇志向が強く、ブランドに弱い。
影で努力をして、その姿を見せるのを嫌がる。
仕事は安請け合いし、回りの迷惑を考えない。

が、結局は田舎に頼り、案外ともろい面を持っています。
「○○さんってセンスいいですね。」とほめておこう。

・田舎に戻れない都会人

転職願望が強く、かといって真剣に考えているわけではない。
マイホーム庭付き一戸建てにこだわる。
同郷人が好きで、出身地のニュースが大好き。

説教したがるくせがあるので、だまって聞いておくのがよい。

・都会生まれの田舎者

派閥意識が強く、都会生まれであることを強調する。
残業している姿をアピールしがちで、人の出世をうらやむ。

本心では、男尊女卑の古い考え方をがっちり持っていて、
「うちの課の女の子」なんて言い方をフツウにしてしまう。

・どこから見ても都会人

他人に干渉せず、また干渉されるのも嫌う。
空気を読むのがうまく、どこでもその場になじんでしまう。
結果のみを意識し、役職にはこだわらない。
結婚の必要性も感じていない。

ドライな面を持っているので、チームワークが苦手である。
このタイプは韓流ドラマがきらいである。

どうでしょう?
周りの人を思い浮かべると、
ああ、なるほどね、と納得するところがあるのではないでしょうか。

職場での人間関係にお悩みの方、
こういう切り口で見てみると案外と
解決のヒントがあるかもしれません。




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2007年09月03日

天使の軍隊




や、やったー!
脳みそがひっくり返る、これこそ小説の醍醐味。

2020年、金正日が亡くなり、日本にあてた遺書が公開される。
日本人拉致事件を遺書の中で詫びる金正日。
日本を褒め称え、日本海の名称を認め、
竹島を日本の領土と明言する。

日本と北朝鮮は同盟国であるのだ。

北朝鮮は、中国と戦争を経験しており、
かつての国境地域だった鴨緑江の西側は
「西岸ベルト」と言われる国連の管轄下にある。

その世界では、戦争はWAR3.xというレベルに到達しようとしている。

第一次世界大戦までの戦争はWAR1.x。
それ以降の大量殺戮型の戦争がWAR2.x。
WAR3.xでは、従軍するのはロボットであり、
にんげんの犠牲が出ない。
そういう戦争である。

ちなみに、その世界では
にんげんがロボットに乗り込んで戦闘を行う
ガンダムのようなアニメは子どもたちに敬遠されている。
リアリティがないというのだ。

しかし実際にWAR3.xを決行しようとすると莫大な資金が必要だ。
だから、それを行えるのはアメリカくらいしかない。

主人公たちが所属する天海堂は、その不公正を正すために、
ロボットで戦闘を行う
民間軍事会社としての仕事を秘密裏に行っている。

人が死なない軍隊。それが天使の軍隊というだ。

中国は、北朝鮮に戦争をしかけるためにテロリストを雇って
西岸ベルトを制圧し、北朝鮮を挑発する。
その挑発に乗るわけにいかない北朝鮮は、天海堂に助けを求めた。

これがだいたいのストーリーです。

登場人物のキャラクターがいまいち際立っていない。
人間ドラマとしてはまったく面白くない。
無駄な会話も多いので、読んでいてツライのも事実だ。

が、この本の主役はロボットです。その知識、技術です。
著者の方も、この本は
現実のロボット工学の知識が十分に活かされていると言っている。

遠隔操作で操られるロボット。
それを操るものはダンサーと呼ばれ、
体に何十本もの細いベルトをつけられている。

人間工学に基づいて作られたロボットと
動きをシンクロさせることができるのだ。

センサーなどは胴体部分にある。
頭につけることは重心が頭になってしまうのでバランスが悪い。

首の取れたにんげん型ロボットが
バイクを乗り回す描写はぞっとする。

理系の方向けの小説と言えるかも。
これを面白く思えるかどうかで、
この小説の評価は真っ二つに分かれそうです。



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posted by momo at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする