2008年02月27日

日本語を書く作法・読む作法




新聞や雑誌に発表したエッセイをまとめた一冊。
阿刀田氏は、日本語の現状に危機感を抱いておいでだそうで、
日本語を書く、読むことをテーマにしたものが多くなっています。

阿刀田氏の原稿はすべて手書きなのだそうだ。
必ず、原稿用紙に鉛筆で書く。

鉛筆で書くというのは案外辛い仕事である。
寒い時期には紙の冷たさで軽いしもやけを起こすことすらある。

だからこそ、簡単に書くわけにはいかず、
頭の中で練りに練ったものだけを書いていくことになる。
氏は文章はなるべく短くしたいと思っているそうだが、
紙に書く作業が大変なことが関係しているともいえる。

ワープロ、パソコンなどで文字を書いていると、
どうしても文章が甘くなるような気がする。

また、手書き原稿では推敲のあとを見ることができる。
作家の思考がのようなものかを知る資料になるのに、
キーボードで書かれがものにはそれがないのが残念だ。

手書きの効能として、氏は漢字についても述べている。

山と石で「岩」、木が二つで「林」など、
漢字の成り立ちには意味がある。
手で書くことでこそ愛着がわくのではないだろうか。
そうかもしれないなあ。

今、日本では英語の早期教育が叫ばれている。
しかし、氏は小学校で英語を教えることには反対だ。

日本語は特殊な言語である。英語とは構造が違う。
その論理構造が違う言葉を、
幼い頃から叩き込む必要などないと氏は言う。

日本語は豊かな言語なのである。
そのいい例として、言葉遊びが多彩なことが挙げられる。

能登地方に伝わる遊びで、段駄羅というものがあるが、
氏は最近これを知って大いに気にいっているそうだ。

甘党は ようかんが得手 よう考えて 置く碁石

俳句と同じ五・七・五のリズムで、七のところが
同じ読みの言葉になる。

ようかんが得意(得手)というのと、
よく考えてというのを同じ言葉でかけてしゃれているというわけだ。

後半では、美しい日本語を書く作家を数名あげて
その代表作を解説してくれている。

夏目漱石、芥川龍之介、志賀直哉、半村良、松本清張、
井上ひさしなどの作家たちだ。
中でも、中島敦に関しては
その早世を惜しむ言葉を述べているが、
僭越ながら私も大賛成させていただきたい。
34歳か。早すぎるよ。

面白い本だった。
ただ、やはり、私の未熟な感覚には少し、
いや、失礼なのは重々承知なんだけど、
お年を召した方の文章だな、という印象が。

高村薫という作家がいるが、彼女は、
キーボードがなければ小説など書かなかったと言っている。
手書きとは違うリズムに、
彼女は創作意欲を維持することができたのだそうだ。
といって、彼女の作品が、
文章の甘い雑なものだとは私は思わない。

言葉は進化する。それは乱れであるかもしれないが、
現実である。

と、言いつつ自分にも思い当たることがあった。
私がケータイ小説で目が滑ってしまうのは、
老化の始まりなのかもしれないな。




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2008年02月22日

迷子の自由・星野 博美




エッセイ1篇に写真が一枚という構成。
著者が歩いた場所を写真に撮り、感じたことを書いている。
本当に普通の風景なんだけど、
この人が書いて撮ると不思議に癒される光景になる。

インドや中国の重慶にも行っているが、目線は変わらない。
特別に異質なものや奇妙なものを探すことはしない。

いつもと同じ、近所を歩いているかのような
気負いのなさがあって、
読んでいるこちらの肩からも力が抜けていく。
心地よい。

著者は団地が好きだ。団地を一日見ていても飽きない。
昔香港にいたことがあって、
そこでは団地は生活のすべてがそろう場所である。

スーパー、食堂、託児所、図書館。
なんでもあって、人間関係もそこで終結する。
香港人にとって、団地は故郷とも言える場所である。

だけど、武蔵野の団地はまるで神隠しにあったように
人の気配がない。
人が住んでいるのに人がいない、なぞなぞみたいな風景…。

インドでは牛の自由に目を見張る。

ガンジス川の川辺、階段になったところで夕涼みをしていると、
川沿いに牛が歩いてくるのが見えた。

家に帰る途中のようだが、それには階段をあがらなくてはいけない。
階段には人がぎっしり座っている。

牛は意を決したように、階段を登り始めた。人々は逃げまどう。

牛には牛の道を行く自由がある。インドでは、
人も牛もどちらかが絶対的に上という観念がない。

この本には自由という言葉がよく出てくるのだが、
表題にもなっている「迷子の自由」というエッセイがある。

何の変哲もないよく晴れた朝。温度は高すぎず低すぎず、
湿度は低く、風がいい具合にふいている。

そんな朝に著者は思う。今日は迷子になるには最適な日だ。

当てずっぽうに歩いて迷子になろうとする著者。
引っ越してきたときのわくわくした感じを取り戻そうとするが、
慣れた町で迷うのは難しい。

知っている道をたどり、少しの回り道を嫌がり、
結局日暮れにはアパートが恋しくなって戻ってしまった。
私にはもう、迷子になる自由もない…。

写真もとてもきれい。
週末に、ほっと一息つきながら読みたい一冊。



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会社を黒字に甦らせる儲けの法則




中小企業向けのコンサルタントが書いた本。

著者は、中小企業の社長に怒っている。

「優秀な人材がいない」「売り場がない」「資金がない」
経営者がこんな愚痴ばかり言って、事業を縮小したり、
倒産を選んだりすることに怒っている。

中小企業の経営者は孤独だ。誰も助けてはくれない。

だからこそ、自分でビジョンを描き
目標の数字を定めてがむしゃらにやっていく。
きちんとした目標があれば、必ず売上は達成できる…。

こんな風に書くと、また安っぽい自己啓発書を探してきたもんだ
と思われるかもしれない。

でも、この本を読はそんな本ではない。現場を歩き、
実際に企業を立て直してきた実例が豊富で説得力がある。

だめだだめだと思ってても案外とまだまだ工夫の余地があり、
起死回生のチャンスはある。そんなことが書かれている。

では、業績が傾いてきたとき、社長は何をすべきか。

それはマーケットを歩くことである。
「靴底をすり減らして歩いて、脳みそから血が出るほど考えろ!」
そう著者は言う。

ある紙器メーカーの社長が泣きついてきた。
打開点を見出すために話し合っても、
品質、高級感、デザインというありきたりの答えしか返ってこない。

違う、業界の常識は必要ない。顧客目線で考えてみよう。

その観点から、社長は「得意先は売れるパッケージを求めている」
という結論に達する。

それから社長は、外部のデザイナーを組織し、
彼らから出てくるデザインを顧客がニーズに合わせて
選べる仕組みを作り上げた。
依頼後、72時間でデザインを制作するという取り組みも始めた。

これが好評を博し、新規の受注先が増えた。
また、休眠顧客からもオーダーが入り始めた。

冷ややかな目で見ていた社員もいつしか協力的になり、
会社には活気が戻ってきた。

銀行からカネは借りるな、データだけを見るな。
とことん歩いて頭を使え、知恵を出せ。
社長が変われば会社は変わる。
これが著者の主張である。

資金繰りの重要性、
資金返済のためのリスケジュールの上手なやり方、
社員との付き合い方などについても述べられている。

経営に関することももちろんそうだけど、
全編に通して書かれている、
「あきらめるな!工夫せよ!」という主張は、読んでいて心地よい。
ビジネスマンの方、ぜひどうぞ。




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引き寄せの法則




チャネリングというのか?
妻、エスターが、エイブラハムという存在と
宇宙の法則について対話をするという形式。

最初にエイブラハムにアクセスするまでが書かれていて、
あとはほとんどエイブラハムとの質疑応答形式になっている。

この本、訳がいまいちである。読むのがしんどいので、
面倒くさい人は最初をすっとばして、
この対話だけを読めば十分だと思う。

エイブラハムは語る。
宇宙で一番強力な法則は引き寄せの法則である、と。

人は自分が考えているもの、似ているものを引き寄せる。
似た考えの人、同じような性格の人が近寄ってくる。

お金のことを考える人は富み、病気のことを考える人は病む。

だから、自分の望むものを考えることができれば、
望むとおりの生活を送ることができる。

これを実現するには、毎日15分から20分程度の
ワークショップを行うことができればよい。

このワークショップで大切なことは、楽しい気分で行うこと。
楽しい気分で、望むものを頭に浮かべてみる時間を作るのだ。

ネガティブなことが頭に浮かんでしまうのは
とめようのないことだ。
また、世界には私たちが知りたくもない情報があふれている。

しかし、考えたらすぐに悪い事態が起こるというわけではない。
ものごとが現実になるまでに時間がかかる。
思考の方向性を変えるチャンスはいくらでもある。

自分が望む姿が分からない、
やりたいことがわからないという人は、
心地よいという感情を追求してみよう。
自分が心地よいことを考え、その思考を続けていると、
望むことが引き寄せられる。

望むことを引き寄せることは、他人を蹴落とすことではない。
宇宙では成功は無限である。争う必要はない。

人と比べたり、人を貶めたりする必要はない。
なぜなら、自分の思考は人を変えることはできないからだ。
だから私たちが誰かのためにできることは、
その人が望む姿でその人を見てあげることだ。

他人の望むものを認め、寛容であることも重要だ。

このようなことが書かれた本。
やや哲学的というか、観念的な対話が繰り広げられている。
じっくり読みたい人にはいいかも。

同じ引き寄せの法則というタイトルで、
石井裕之氏の書いた本もある。
ビジネスライクな成功哲学を求める方にはこちらの方がおすすめ。





引き寄せの法則・石井バージョン





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強気な小心者ちゃん




どうして本を読むんだろう。
私の場合、もちろん知識を得るために読むこともあるけど、
共感できる言葉を探しているということがあると思う。

感情をぴたっと表現してくれる本を見つけると、
「そうそう、そうなのよ」と無性にうれしくなってしまう。

まあそんなわけでこちら。
小心者の日常を描いた本。漫画。誰だって、
「あるある!」とうなずいてしまうことがたくさんありすぎ。

小心者ちゃんがハンバーグを作る。
200グラムでいいお肉なんだけど、なんとなくお得な気になって
特売の500グラムのものを買ってしまう。

牛乳を冷蔵庫から取り出して、賞味期限が切れていることで悩む。
(でも使う。このへんの適当さが「あるある!」)

いざ、形を整えて焼いてみると、中まで火が通っているか
心配で切って中を見ているうちにぼろぼろになってしまう。

やっと完成したら、ハンバーグに気をとられすぎて
他のおかずは一切なし。しかも味はビミョー。あるある!

休日にゆっくり寝ようと思っていたところにかかってきた電話。
出ないのも悪いが、出るもの面倒。
間に合わないことを期待しながらゆっくり受話器に向かって歩く。

そうなの、居留守をする強さはないのよ。

友達の長電話に付き合って、その後はだらだら
テレビを見ながら過ごす。
のんびりテレビを見ればいいのに、後ろめたくなって
ダンベル体操やストレッチをして生産的な気分にひたる。

そうじを始めたものの、アルバムなどを見始めるとやめられない。

そんな小心者ちゃんが焦り始めるのは、
テレビで笑点が始まる時間。
この音楽が流れ始めると焦らされ率30パーセント。

ちびまる子ちゃんで50パーセントになり、
サザエさんが始まると70パーセント、焦らされ率がアップ。

鼻パックをすればのこりカスが顔についたまま、
マニキュアを塗ると指紋がついてあせってしまう。
女性なら誰でも身に覚えがあるはず。

おしゃれなカフェに入ると緊張し、
店で店員さんに顔を覚えられると次に行きづらい。
水をやりすぎて植物を枯らしてしまう。
メールが来ていないと寂しくて、何度もチェックしてしまう。

巻頭にある小心者診断チャートがおもしろい。
ちなみに私は「強気な小心者ちゃん」でした。




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サビない体のつくりかた




この本では、人の体が酸化し、
老化していくことを「サビる」と表現している。

呼吸のたびに出る活性酸素などの「フリーラジカル」。
これがサビの原因となる物質だ。
このフリーラジカルは、量が多くないうちは害にはならない。

むしろ、ウイルスなどを攻撃する有益な面もあるが、
過剰に発生すると細胞を攻撃する物質になってしまう。

フリーラジカルの攻撃を受けた細胞は、老化が加速され、
DNAの配列に異変が生じてしまう。
がんやリューマチ、アルツハイマーの原因になることもあるそうだ。

それでは、体をサビさせないためには
どのようにしたらいいのだろうか。

サビを進行させるのは、たばこ、ストレス、飲みすぎ。
これらは体内にフリーラジカルを発生させる原因となる。
紫外線、食品添加物、残留農薬にも注意したい。

体を健康に戻す、若いままで保つには、
上であげた原因を取り除いていけばいい。

○○がいいからとる、ではなく、××は悪いからやめる、
という考え方で、意識をしてサビの原因を遠ざける。
結局「病は気から」、「老化(防止)は気から」なのである。

まず、たばこはやめよう。
たばこをやめるとストレスが増えるという人は、
長期休みで仕事のストレスがないときに
禁煙に取り組んではどうか?

次に睡眠を大切にする。
睡眠時間の少なさは自慢にはならない。夜しっかり眠ると、
成長ホルモンが分泌されるのだ。

成長ホルモン?大人になってもいるのかな、と私は思ったんだけど、
肌を修復したり、骨を丈夫にしたり、
人の体には一生必要なものらしい。そうか、肌か…。

また、運動をするのもいいことだ。
運動をすると、フリーラジカルに対する抵抗力があがる。

ダイエットというと、食事療法だけで行う人がいるが、
痩せやすい体を作るという観点からも
ぜひ運動を取り入れてもらいたい。

といって、過激な運動は考えものである。
にこにこ笑って行える程度、
ウォーキングが老化防止の運動としては一番いい。

ストレスをためず、運動を適当にして、
あとはやはり食べ物である。

インスタント、レトルト、輸入果物はなるべく避ける。
国産の、農薬が少ないものを口に入れることを心がけたい。

輸入物というのは、収穫時はそれほどでないにしても、
輸出するときに大量の農薬をかける。
これは一応留意しておきたいものです。

また、フルーツジュースよりも果物を(食物繊維も取れる)、
マーガリンよりもバターを
(トランス型脂肪酸がバターには入っていない)、など、
普段の食事を改善できる点もあげられている。

帯に、「老化は、治療可能な病気です」とある。

いつまでも元気で、美しくというのは
心がけひとつで可能なのかもしれません。




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世界を変える人たち




「社会起業家」という言葉が近年注目されている。
アメリカの有名大学では、
社会起業家精神のコースが設けられているそうだ。

しかし、社会起業家は単なるビジネスパーソンではない。
不屈の精神を持って、
新しいアイディアで世界を変えていく人間だ。

文字通り、まわりの人たちの考えを変え、政府を動かし、
ビジョンを実現していく改革者である。

本書では十人の社会起業家と
彼らを支援する組織のことが書かれている。

そのうちの一人、ファビオ・ロサについて少しご紹介。

1982年、大学を卒業したばかりのロサは
ブラジルのパルマレスという村を訪れる。

その村の主な収入源は米作りだったが、
パルマレスは水に乏しい土地だった。
井戸を掘ろうと思うが、動力になる電気が通っていない。

ロサはある日、格安の材料でできる発電設備があることを知った。
農民を説得し、市に新しい部門を設け、
国立経済社会開発銀行(BNDES)の
融資を受けられる約束を取り付ける。

電力会社の妨害を受けながらも、2年後には一世帯辺り
400ドルで電気が引けるようになった。
400世帯が電気を引き、その75パーセントが送水ポンプを購入した。

発電施設を導入した農家は、
月の収入が50ドルから200ドルにはねあがった。

仕事を求めて都市部に出て行った人も戻ってくることができた。

順調に見えた事業だが、91年にはブラジル経済が混乱し、
BNDESからの融資がストップしてしまう。

政府に頼ることをやめたロサは、
STAアグロエレトロという営利企業を立ち上げ、
ソーラーシステムを販売することに決めた。

さまざまな困難をものともせず、
ロサは現在でも貧しい地域の人々に電気を届ける仕事をしている。

他にも、低収入の家庭の子供を大学に行かせるプロジェクト
(アメリカ)、
障害者が人間らしく生きられる施設を作った女性(ハンガリー)、
エイズ患者をケアする運動(南アフリカ)など、
社会的に意義のある活動をしている人たちがいる。

それらの社会起業家を支援する組織に、
アショカというものがある。

アメリカの環境保護庁出身の、
ビル・ドレイトンという人が作った組織だ。

アショカはフェローと認定された人たちに
固定給としてお金を援助する。
支給期間は3年ほど。
人に融資するのでその使い道は問わない。

それだけに、選考は慎重を極めたものだ。
創造性、起業家にふさわしい性格、アイディアの中身、
倫理観が基準となる。

一番高いハードルは、
二番目の起業家にふさわしい性格という項目だそうで、
たいていはこれで振り落とされてしまう。

情熱、物事を成し遂げる力はもちろん、
彼らがふさわしいと認定する条件は、
「世界を変えることができる人」というものだ。

営利ももちろん追求しながら、
世界を変える仕事をしている人が世の中にはこんなにもいる。
いいもんですな。
週末に読むのにふさわしい、希望とパワーをもらえる一冊。





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2008年02月20日

受けてみたフィンランドの教育




著者が二人になっているが、
これはフィンランドに留学された娘さんと
そのお母さんが書いているから。

実際に留学された真由さんの話も面白いが、
その娘の変化を驚きを交えて書いている
お母さんの視点もすごくいい。

真由さんはAFSという団体の留学制度を利用して、
フィンランドに一年留学します。

フィンランドは、OECDが世界各国で調べる学習到達度調査で
上位にランクインする国。一方日本のランクは下がるばかり。
では、フィンランドの教育とはどんなものなのか。

フィンランドでは、勉強をするという言葉を使わない。
その代わりに「読む」という言葉を使う。

テスト前にすることは「読む」。勉強する、ではない。

フィンランドのテストは記述式のものばかりだ。
課題について述べよ、というものであり、
自分の考えも書かなければいけない。
暗記してカッコを埋めていく日本のテストとはかなり違う。

真由さんはこの記述式のテストにはかなり苦労したみたいだ。
そりゃそうだろう。
だけど、この本を読んでいると文章がとてもしっかりしていて、
そのご苦労はしっかり身になっているようだ。

失礼な言い方だけど、
20代のお嬢さんの書いた本なんかはまさに日記、
自分にしか語りかけていないものが多いと思うんだけど、
真由さんの文章は他人に読ませることを
意識していることがよくわかる。

学校は単位式で、生徒は自分の興味のある授業、
必要な授業を選択して受けるのが普通だ。
授業中に寝る子供はいない。
授業中に集中しているので、塾に通う子供もいない。

日本では、学校というのはもちろん勉強をする場所だけど、
生活そのものであるともいえる。
友達を作り、学校での生活が中心になる。

しかし、フィンランドでは
学校は純粋に勉強をする場所としてとらえられている。
子供たちは授業は真剣に受けるが、
休み時間には喫煙をしたりして自由に過ごす。
もちろん制服も校則もない。

また、フィンランドでは教育費は無料である。
そのせいもあるだろうが、留年することを恥じる人はいない。
むしろ、わからないことをそのままにして
進級することの方を問題と考えている人が多いようだ。

フィンランドがなぜ、そこまで教育に熱心になるか。

それは、フィンランドが資源小国だという
危機感を持っているからだと著者は言う。

資源小国であり、人が少なく、
近隣にはスウェーデン、ロシアといった大国がある。

そんな国では教育こそが資源だと人々は考えているようだ。

だから、国籍、民族、もちろん性別に関わりなく、
皆が自分の個性と才能を生かす教育を受けられるシステムを、
国を挙げて作っているというわけだ。

日本の教育についても、思わず考え込んでしまう一冊。




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橋下徹「まっとう勝負」




大阪府知事になった橋下徹氏。
物議をかもしているけれど、私は応援している。
いろいろな障害はあると思うけど、
今の志を忘れずに改革を進めてほしいと思っている。

週間ポストに連載していたコラムをまとめたもの。
そのせいか、男性向け、下ネタっぽい表現が多い。

ある事件をテーマにして、橋下流法律的解釈を施すという本書。
さて、橋下氏はどんな事件をとりあげているんでしょうか。

オウム真理教の教祖、麻原彰光の死刑確定までは
およそ8年の月日がかかっている。

弁護側の引き伸ばしに思えたその裁判だが、
橋下氏はそれなりの理由があった、という。

麻原の弁護士は国選弁護士である。報酬はよくない。
事務所を構えている弁護士にとっては
赤字になる金額なのだそうだ。

長くなれば損をする裁判。
しかし、弁護団はあえて細かい反対尋問を行った。

麻原は直接手を下していない。はっきりした命令もない。
これを簡単に死刑にしてしまうと、
無罪の人間が死刑判決を受ける前例となってしまう。
それを弁護士は恐れたのだ。

しかし、橋下氏の奥様はそんな理屈を
「麻原は別でしょ!」と一喝。

橋下氏は「パンツを洗ってもらえなくなると困るから、
反論はしなかった」そうだ。世の中をわかってらっしゃる。

世間を震撼させた酒鬼薔薇聖斗の事件では、
犯罪を犯した少年の更正について述べている。

少年を更生させることはひいては社会の利益のためである。
世の中には、事業を興した人たちの中には
「昔ちょっとやんちゃだった」人もたくさんいる。

しかし、橋下氏は言う。
殺人と強姦に関しては更正させる必要はない、と。

被害者は復讐権を持っている。
しかし、実際に復讐を個々で行うと社会秩序が乱れてしまう。
だから、国家が代理でそれを代行する。
裁判官にはその使命感を持ってもらいたい。

そう考える橋下氏は、死刑に対しては肯定的な考えを持っている。

くだけた言葉で書かれているし、ちょっと下品な表現も多いが、
「そうだよなあ」と共感してしまうことも私は多かった。

それにしても、なんでこの人こんなに下ネタが好きなんだ?
優等生が笑いを取ろうとすると、やたらと暴走して
お寒い結果になることがよくあるけど、
そのぎりぎりのラインかなあ。
まあ、笑ったけど。

それに、金にならない弁護はしない、
政治家と弁護士はうそをついてナンボ、みたいな
偽悪的な表現があるのも今となっては気になるんです、知事。
こんなことで足元をすくわれないでよ。

橋下さん、がんばってや!




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余命1ヶ月の花嫁




乳がんの女性を取材したドキュメンタリーの書籍化。
TBSのイブニング・ファイブという番組だそうだ。

長島千恵さん。享年24歳。
カラーコーディネーターになりたかった女性。
その資金を貯めるためにコンパニオンのアルバイトをしていた。
その仕事で、彼女は太郎さんという男性と知り合います。

デートをして、太郎さんは知恵さんに告白をします。
千恵さんの答えは、「待って。」
彼女はそのとき、
胸にできたしこりの検査結果を待っていたのです。

3週間後、太郎さんが答えを聞こうとすると、
千恵さんは泣き出してしまう。「実は私…乳がんなの」

予期せぬ答えでしたが、太郎さんは励まします。
「病気を治そう。俺も協力するから」

国立がんセンターに入院し、抗がん剤、放射線治療、手術など、
治療は進んでいく。
彼女も、副作用に泣いたりしながらも、
持ち前の明るさでがんばっている。

髪が抜けた夜は恋人のそばで泣き、
でも次の日はカツラを買いに行って、
おしゃれなものを3つも買ってくる。

将来は結婚することを夢見ている普通の娘さんというのが、
もうなんというか、残酷すぎて重い。

約半年後、肺がんが見つかる。再入院。
若いため、がんの進行が早く
肺に転移してしまったのだ。

辛い治療の日々を送るが、回復の見込みはない。
千恵さんの父と叔母は、
千恵さんの余命を「月単位で考えてください」という告知を受ける。
一年でも、半年でもなく一月の長さで考えてくれ、
ということだ。

千恵さんには誰もそのことを告げなかった。
でも、千恵さんはうすうす気がついていたようだ。
その当時、千恵さんが太郎さんにこんなメールを送っている。

「たろちゃん、ちえ生きたいよ…。助けて、怖いよ」

医療が施せることがなくなって、千恵さんは自宅療養となる。

その頃、友人の桃子さんはあることの計画をたてていた。

千恵さんの夢、ウエディングドレスを
着せてあげたいと思ったのだ。

時間がない。そのため、対応してくれる式場も少なかったが、
なんとか見つけた教会で
とうとう千恵さんはウエディングドレスを着ることができた。

その日、親戚や友人が集まり、
恋人の太郎さんはタキシードを着て千恵さんの横に立った。
千恵さんが欲しいと以前言っていた、
シャネルの指輪を贈ることもできた。

表紙のきれいな花嫁の写真は、その日の千恵さんの姿だ。

千恵さんは言う。「明日が来ることは奇跡」だと。

ああ。自分の生活を見直してしまう。
この世の中からこんな病気が消えてしまえばいいと心から思う。




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2008年02月15日

約束の地で・馳 星周




惜しくも受賞を逃したが、
前回の直木賞の候補作品だったそうだ。

北海道を舞台にした短編小説5編。それぞれ独立した作品だけど、
主人公が前の小説の登場人物と関わりがあるという設定なので、
最初の作品から読んでいくことをおすすめします。

・ちりちりと…

堀口誠はもう帰るまいと決めていたはずの故郷に戻って来た。
函館で事業を営んでいたが、共同経営者の友人に裏切られ、
破産しての帰郷だった。

自殺を思うが、父親が5千万近くの金を持っていることを
知人に聞かされる。

母と妹を亡くして以来、父は山奥の小屋で隠遁生活を送っている。
留守中に忍び込み、母と妹の墓に隠していた金を見つけるが、
戻ってきた父親に銃で撃たれてしまう。

・みゃあ、みゃあ、みゃあ

母親と二人暮しの美恵子。彼女は以前、堀口の父の愛人だった。
母は痴呆が始まっており、口汚く美恵子をののしる。

居酒屋で働く美恵子は、
以前から土屋という男に言い寄られていた。
笑顔が爽やかな土屋に惹かれた美恵子は、
ある日彼に体を預ける。

しかし、母の存在を知った土屋は、
美恵子と交際することはできないと言う。

交際を断られ、施設に入ることを拒否する母に疲れた美恵子は、
飼っていた猫を箱に入れて川に流す。

・世界の終わり

土屋智也。父の女癖が原因で、母と妹は出て行った。
犬のレオだけが心の支えである。

雅史という男に、半ば脅されて買わされたスクーターに乗って、
智也は町外れの開発予定地に出た。
そこでレオが骨を見つける。

骨を探すことに熱中する智也。夜中まで探していたところ、
警官に尋問され、ナイフで刺し殺してしまう。

智也は、骨を集めることで、世界の終わりがくると信じていた。

・雪は降る

知恵遅れの少年、智也にスクーターを売りつけたことを、
雅史は後ろめたく感じている。

しかしそのおかげで手に入れた車で、
憧れの先輩、美穂を函館まで送っていくチャンスに恵まれた。

どこか憂鬱そうな美穂。バッグに赤い色の何かがついている。

途中で入ったコンビニで、
雅史は美穂の弟が何者かに刺殺されたことを知る。

・青柳町こそかなしけれ

安衣子の夫、保はギャンブルが好きで
たびたび安衣子に暴力をふるう。

親友の恵理も同じような境遇で、
恵理は交換殺人を言い出すまでに追い詰められていた。

ある日、恵理の大事にしていた犬を、恵理の夫が殺してしまう。
彼を殺して、代わりに保を殺すから。
そう泣く恵理の言葉を聞いて、保は心を入れ替える。

犬の葬式の日、来なかった夫に激怒した保は、
彼をなぐって入院させてしまった。

犬を殺したことも、暴力をふるわれていることも、
恵理は警察には言わなかった…。

主人公たちは皆、人生に絶望している。
その苦しみとか、やるせなさとか、
作者はそういうことが書きたかったようだ。

どれを読んでもため息が出る作品ばかり。





ここからは勝手な感想です。馳ファンは回れ右?!


正直に言うと、人間の絶望と焦り、
あがきを描いた短編集というなら
鷺澤萌の「F」の方をおすすめしたい。

破産(ちりちりと)、老人介護(みゃあ、みゃあ、みゃあ)、
近親相姦(雪は降る)と、ありがちなんだよなあ。

おまけに、雅史と美穂の会話。違和感があるんだよなあ。
若い子は携帯の電源のことを「バッテリー」とは
言わないと思うのよこれまた…。

同じ、年老いた母を背負う娘の話にしても、
車で京都まで墓参りに連れて行ったらすべてうそだった、
という話が鷺澤Fにはある。
最後のどんでん返しが、あちらの方が鮮やかな気がする。
すみません。生意気で。

ただ、不夜城以来、多分だけど馳氏に寄せられてる期待、
暴力とアンダーグラウンド満載の作品をどうぞ!ってなところから、
別の境地に行こうとしている感じはする。




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佐藤可士和の超整理術




アマゾンの書評では賛否両論あるみたいだけど、
私は面白かった。
ただ、整理方法の本としては弱いかもしれない。

佐藤可士和という人の経歴をちょっとご紹介。

広告会社の大手、博報堂から独立、
現在は「サムライ」という事務所を開いて活躍中。

キリンの発泡酒、極生の商品開発から広告、
TSUTAYA TOKYOの空間デザイン、ファーストリテイリング、
楽天グループなどで広告やロゴデザインのお仕事をされている。

この本では、これらの仕事が
どのような発想で行われたかが書かれていて、
広告をしかける裏側の様子がわかる。それが面白かった。

佐藤可士和は整理好きである。
彼のオフィスも、来た人がびっくりするくらい
シンプルでモノがない。

モノを整理する時間がもったいないという人がいるが、
整理されていないと余計に無駄な時間がかかることが多いと
著者は考えている。

彼が物事を整理する視点は3つ。空間、情報、思考だ。

彼はかばんを持ち歩かない。
持って歩くのは携帯電話、鍵、カードケース、小銭。これだけ。

メモやペンは必要なときに借りればいい。
クレジットカード二枚と札が数枚あればお金は十分。
もちろんかばんがないと仕事ができないという人もいるだろうが、
不要なモノを思い切って切り捨てることも重要である。

捨てるためには優先順位をつけることが大切。

この本の中では、本質を捉えるということが
繰り返しか書かれています。

一番重要なものをまず決めることで、
モノも情報も仕事も、整理ができると著者は考えているようです。

情報を整理するときも同じ。

彼の仕事は広告、アートデザインだが、
最初にすることはクライアントが
何を本当に望んでいるかを理解することだ。

要望の本質が理解できるとビジョンが見えてくる。

発泡酒の極生のコンセプトは、「安いビール」ではなく、
「新しいお酒」という発泡酒独自の価値を確立すること。

そう決まったときにシンプルなデザインで、
「現代的なライトな飲み物」というイメージを
打ち出すことができたそうです。

思考はまず、言語化することから整理が始まる。

ユニクロのNY店のデザインを決めたとき、
社長が日本のブランドであることを強調したいと言ったのが
印象的だったそうだ。

他にも、ユニクロは服を完成品として提供するのではなく、
部品にしたい。
組み合わせは買った人が決めればいい、というコンセプトがあった。

これも本質を捉えるということにつながるけど、
社長と時間をかけて話をして、
NY店にはカタカナを配したデザインを施した。

モノの整理術というよりは、私たちが触れるロゴやデザインが、
どんな思考の元に作られているのか。
一流のデザイナーの頭の中をのぞいてみると思えば興味深く読める。

時間があれば読んでみてもいいかも。




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自分の体で実験したい




これは!久々の大ヒット。人間ってすごい!
好奇心と謎の解明への情熱にひたすら圧倒され続ける。

科学の進歩には実験が不可欠。
その実験を、自分の健康をものともせず
自分自身の体で試してきた科学者たちの記録。人体実験の記録だ。

ジョージ・フォーダイス博士は
人の体がどれだけの熱に耐えられるのかということに関心があった。

1770年代、体温計はあったもののおもちゃのような代物だった。
体温は通常36.7度くらいが平均だと知られていたが、
なぜその温度なのかはわからない。

博士は自分の体を使って、人体と熱の関係を解明しようとした。

蒸気のたちこめる部屋にこもり、まず摂氏32度で5分間過ごす。
次は43度、49度と温度をあげてみた。

心拍数が1分間で145回、普段の倍である。

実験終了後、自分の足で歩くことができず、
家までイスに座ったまま運んでもらったというから、
消耗の度合いが知れようというもの。

さらに実験はエスカレートし、
今度は四人の紳士が仲間に加わった。

服を着たまま65度と72度の部屋に入った。
身に着けた金属製品は触れないくらい熱くなっている。
なのに、人体は36.7度、平熱のままだ!

そのとき、自分の体に触れた一人が
「横腹が死体のようにつめたかった」と記述している。

そりゃあそうだろうよ!

最終的に、彼らは92度の高温にまで耐える。
ここまで来るとおかしいとしか言いようがない。

それでも好奇心は止まらない。また4人加えて合計9人。
今度は127度まで挑戦した。
卵はゆで卵になり、肉はステーキになるほどの高温なのに
人の体は平熱から変わらない。

人の体の熱が平熱と変わらないのは、汗のおかげなのだそうだ。
体内に水分があるうちは、人体は一定の温度に保たれる。
(もし彼らが十分に水分を摂っていなかったらと
考えると恐ろしい)

とにかく、身を挺した実験のおかげで
医者たちは病人の体温に気を配るようになった。
私たちが体温計を使って体調を知ることができるのも、
ひとえに彼らのおかげなのである。

他にも、消化のしくみを知るために
食べ物を木の筒に入れて飲み込んだ男、
自分の体に麻酔をかけまくった男、
炭鉱夫のために一酸化炭素を13回も吸い込んだ男の話などが
書かれている。

ちなみに、一酸化炭素を吸った男の家の家訓は
「耐えろ」というものだったそうだ。

それぞれ独立している話なので、どこから読んでもかまわない。
笑いながら、顔をしかめながらゆっくり堪能できる一冊。

感動はする。スゴイと心から思う。だけど理解はできない。
奇人変人列伝としても大変おもしろい、とにかく最高の一冊。




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中国に生きる




今年はオリンピックが開かれる中国。
その実態を、14の章に分けてレポートしている。

日本の100円ショップで売られている商品は、
ほとんどが中国で製造されている。
働く人の月収は、1万8千円程度。

大量に買う100円ショップとしては、
1円の価格差が大きな意味を持つ。

日本からのバイヤーは、商品の仕入れ価格を1円下げるために
3日粘ったこともある。

2万円弱の月収でミシンを踏み続ける青年がいる一方、
経済発展を遂げる中国には巨額の富を手にする人間もいる。

不動産の投資によって数百億円の金を手に入れた人。
広告会社を立ち上げて、ナスダックに上場させた元詩人。

中国のパソコンメーカーで、レノボという会社があるが、
この会社が昨年IBMを買収した。
中国では評価はされていないが、世界に向けて
着実に歩を進めている。

経済発展の恩恵から取り残されているのは農民たちだ。

四川省では、「開発区建設計画」の名の下に、
土地を強制的に取り上げられた農民がいる。

農民の一人がその窮状を訴え続け、
ついに最高裁で「適切に処理するように」との紹介状を手に入れた。
が、四川省の裁判所職員はそれを紙くず扱いして
取り合ってくれなかった。

そんな中国では、キリスト教がその信者を増やしている。
中国では非公認の宗教であるが、
地下教会に通う信者は年々その数が増している。

日本と中国。靖国問題で揺れる。
中国では今でも反日教育が行われている。
テレビドラマでは残虐な振る舞いをする日本軍人の姿が
いまだに描かれている。

その役を演じるのは日本人の俳優。
日本では無名だが中国ドラマへの出演は多い。

だが、市井の人々の間には意識の変化が生じている。

谷村新司のコンサートには大勢の中国人が集まる。

また、タクシーの運転手がこう言ったという。
「これは政治体制の問題。民主主義がなく、世論が誘導されている。
反日になる中国人を責めないで欲しい」

本や民間の交流で、一般の人々の間には
中国政府の行う愛国教育に違和感を感じている人たちが増えている。

追いつめられるのは子供たちだ。
格差の激しい中国で、親は子供が裕福に暮らせることを必死で祈る。

勉強しかさせてもらえず、友達との交流もなく、
自殺をはかるまでに神経を病む子供。
母親にカッターナイフで切りつけることが
日常化している子供もいる。

事実を、これでもかと列挙する。中国の実情がわかる良書。

受験ノイローゼ、建築ラッシュや新興事業によるバブル、
開発に伴う環境破壊。
かつて見た風景を思い起こさせる。



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新人賞を狙える小説プロット実戦講座




昨日ご紹介した万城目学さんは、
鹿男あをによしがデビュー二作目なんだそうだ。

書けもしないのにえらそうに言うのもなんだけど、
デビュー作だけで消えていく作家さんの多いこと多いこと。

そう考えると、万城目さんの今後がとても楽しみというものです。
楽しい小説、いっぱい書いてくださいな!

まあでも、チャンスをつかまなければ二作目も何もないのである。

小説指南の著作が多い若桜木氏の本。
とりあえず新人賞を受賞しようではないか、というもの。

若桜木氏の通信講座を受講している生徒さんとの対談方式。

この方の書く本はけっこうシビアで、小説を書かない私でも、
どんな風に作家さんが小説を組み立てているのかがわかるようで
とてもおもしろい。

新人賞を受賞するのに必要なことは、何をおいてもまず斬新さ。

作品は、選考委員の目に留まるまでに
下読みと言われる人たちにまず選別される。
その際に、ありふれた作品だとまず、
次の段階に進むことができないのだそうだ。

下読みの段階では、一作にそれほど時間をかけることができない。
いきおい、最初の数ページで落とされることもあるそうなので、
とにかく最初から目を引く設定、書き方をしなければいけない。

しかしがら、ストーリーの展開は
凝ったものを目指さない方がいい。
まずは時系列で書いていくこと。

うんちくを織り交ぜるのもよい。
確かに、知らないことが書かれていると
気になるのが人の性ですねえ。

これ、それ、彼、彼女などの代名詞を多用しない。

主人公が苦労するようにする。
(主人公に都合のいい展開にしない)

さらに、直接的というか即物的ですが、
主人公に走らせることも
お話に動きを持たせるテクニックのようです。

また、気をつけたいのがタイトル。

宮部みゆきの「理由」、東野圭吾の「手紙」。
それぞれ有名な作家さんの本だからこそ評価されるものの、
新人賞の応募でこれではインパクトがなさすぎる。

確かに、山崎ナオコーラの「人のセックスを笑うな」。
これはおもしろいのはタイトルだけという
体たらくでしたしねえ。
タイトルで目立つというのは有効なテクニックみたい。

小説、読むのが好きな方にもおすすめ。
こんな風にお話は作られていくのだという
舞台裏を見る思いになります。




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2008年02月14日

鹿男あをによし




いいじゃないか、いいじゃないか!
描写よし、不思議あり、多少展開が読めるものの、
ストーリーよし、文句なし!

新進気鋭の若手作家、万城目学の「鹿男あをによし」。
ドラマになっているそうですね。

理系の大学院生の主人公は、同僚の昇進を阻むミスをしてしまった。
教授の命令により、奈良の女子高で教員として働くことになる。
期間は9月から12月まで、二学期の間だけだ。

就任一日目、堀田という女子生徒が遅刻をしてくる。
「鹿に乗って通学しているが、駅で駐禁をとられてしまった」
と言われ、真に受けてしまう。

からかわれたことに気がついた主人公は、
生活指導の教諭に訴えるが、
それを堀田は密告だとばかりに反抗を始める。

クラスの生徒が皆敵に回る中、ある日主人公は
鹿が自分に話しかけてくるという体験をする。

鹿は言う。
お前は鹿の「運び番」に選ばれた。
サンカクを手に入れろ。
サンカクは狐の「使い番」が持ってくる。

何がなにやらわからず、悩む主人公に
学校では新しい仕事が与えられた。
剣道部の顧問をやれというのだ。

断ることもできず、顧問として参加した会議で、
次の大会の優勝者に送られるプレートが三角であることに驚く。
しかもその会議の場所は「狐のは」という名前の料亭。

三角の優勝プレートを手に入れるべく、
剣道の達人であった掘田を部に迎え、大会へ臨む主人公。

剣道大会の描写は秀逸。立派なアクションシーンといって
差し支えない、と私は思う。

躍動感あり、お決まりのピンチもあり、
はらはらどきどき、最後はスカッという文句なしの展開。

そうして手に入れた三角のプレートだが、鹿は違うと言う。
そしてその日から、主人公の顔が鹿に変化していく。

鹿の言うサンカクとは、
卑弥呼が持っていた三角縁神獣鏡という宝物だった。
それを手に入れなければ、富士山が大地震を起こし日本は壊滅する。

邪魔をする鼠の使い、謎の狐の使者。
堀田まで鹿に変わってしまったこのピンチを、
主人公はどうするのか…。

かりんとうが好きな同僚の教師、
奈良の町の風景、
ポッキーが好きという鹿。
全体的にユーモラスなのもいい。

万城目ワールドにひたっているのが楽しい。愛すべき小説。




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ゆうちょ銀行




朝日新聞の記者が書いた本。
ゆうちょ銀行の誕生までとその問題点が詳細に書かれている。

ゆうちょ銀行は、世界で最大の銀行である。
総資産222兆円、従業員数24万人。
これはメガバンクが束になってもかなわない数字だ。

郵便貯金は最初、民業を圧迫しないという方針の下、
預金額を減らす方向ですすんでいた。
当時の生田総裁は、預金獲得をしないよう
営業担当者に指導していた。

だが、民営化が決定してから竹中平蔵が選んだ新総裁は、
三井住友銀行で頭取を務めていた西川という人物である。

西川は豪腕で知られ、銀行時代は強引な売込みで
金融庁の指導を受けたこともあるほどの人物だ。

西川が総裁になって、郵便貯金の方向性は変わった。
預金獲得を強化し、投資信託などの金融商品を売り出すことに
力を入れるようになった。

海運業出身の生田と違い、金融機関出身の西川には、
ゆうちょ銀行を普通の銀行にしたいという考えがあるようだ。

郵便貯金の持つ資産は、他のメガバンクの追随を許さない
巨大なものである。

しかし、その運用方法には多くの問題点がある。

もともと、郵便貯金には運用を「考える必要」がなかった。

大蔵省に財政投融資として丸投げし、
その代わりに上乗せした金利を支払ってもらっていたのだ。
それが、郵便貯金の利益であった。

だが、現在では財政投融資に使われることはない。

代わりに自らで運用先を選ぶことができるのだが、
巨額を運用できる商品は日本にはない。

郵便貯金が主に買い入れているのは国債だが、
上乗せ金利がもらえない現状では十分な利益を得ることができない。

また、郵便貯金の定期は6ヶ月で解約できるのが特徴。
低金利の現在、客が短期で解約したら、現金を作るために
国債を売らざるを得ないが、
国債の金利では赤字になることが簡単に予想される。

普通の銀行を目指す西川としては、
国際市場での運用を目指しているが、
そのノウハウは郵便局にはない。人材もいない。

そして、普通の銀行を目指すということ自体、
民業を大きく圧迫することになる…。

郵政民営化。一言で言うのは簡単だが、
たくさんの問題をなお抱えていることがよくわかる。
問題解決への提言、示唆がなかったのがやや残念。





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なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?




椎名誠が昔、京都の八橋のことを
窓際族のおっさんに手渡す京土産としては最高に無難、
というようなことを書いていた。

そうかなあ、八橋おいしいんだけどなあ、と思いつつ。

こちらの本はまさにそんな感じ。可も不可もなく、
読みやすくくせがない。
しかしそれなりにビジネスで必要なことを書いてあり、
わかりやすい。
まさに京都の八橋のような本。

13の短いエピソードと
ビジネスの教訓みたいなことが書かれている。

・沼の中にいた亀が、皆を集めて話をする。
ここの水は年々減っている。
少しずつ陸で暮らすことに慣れておいたほうがいい。

皆はだんだん陸地に上がる時間を増やしていったが、
年老いたバルビーヨは言うことを聞かなかった。

数年後、干上がった沼でバルビーヨは苦しんで死んでいく。

ビジネスにおいても同じだ。ずっと変わらないものはない。
進化し続けるしか生き残る道はないのだ。

・エクゼクティブはなぜゴルフをするのか。
それは、ゴルフがビジネスに共通することが多いからだ。

ゴールを定め、行く先に障害がないかどうかを確認する。
適切な道具を選び、まわりの状態を配慮した上でショットを打つ。

勝負のできはすべて最初の計算にかかっているのだ。

勝利と運は関係がない。全てのステップが正しく実行されれば、
最後にはありがたい結果が得られる。

・ぼろぼろの船で荷物を運ぶ三人の船長の話。

一人は見栄えをよくすることに金をかけ、
もう一人はすべてのものを少しずつ修理した。
最後の一人は、航海にどうしても必要なオールだけに
予算をつぎこみ、ぼろぼろの服、ぼろぼろの帆で港を出た。

果たして、無事にたどり着いたのは三人目の船長の船だけだった。

適切な戦略を立て、賢く仕事をすることが
成功するための法則なのだ。

気分転換に。
朝礼などで引用するにはいいかも。




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posted by momo at 15:28| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネス、営業系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

きものの基本一問一答




本日ご紹介する本は、なんと問題集です。
おお、問題集なんて手にするのは10年ぶりくらいじゃないかしら。

全日本きもの振興会が推薦する、
「きもの文化検定」5級、4級用の模擬問題集。

きもの文化検定などというものがあるなんて、
ぜんぜん知らなかった。
5級、4級用とあるけれど、
きものを自分で着られない私には非常に難しかったです。

最初に模擬問題があって、解説、
巻末に18年度の試験問題が載っている。

きものがお好きな方には簡単なのかも知れないけど、
いくつか問題を書いてみようと思います。挑戦してみてください。



・既婚女性のきもので第一礼装にあたるものは?
1、小紋  2、黒留袖  3、色無地  4、付下げ

これくらいはわかる。結婚式のときなどに着る、黒留袖が正解。




・次の先染織物の中から、麻織物を選びなさい。
1、阿波しじら織  2、結城紬  3、弓浜絣  4、越後上布

正解は越後上布。新潟県に伝わる織物なんだそうだ。
これって一般的な知識なの?




・留袖に合わせる帯留に適していない素材は?
1、金蒔絵  2、白鼈甲  3、真珠  4、とんぼ玉

礼装である留袖には金やプラチナ、真珠などをあわせます。
鼈甲も可。とんぼ玉はガラスなのでカジュアルなときに。




きもの、持っているけど自分で着付けができない私には
全くわからないことばかり。

きものには季節があること、紋の種類やつける位置、文様、
染めや織りの技法、和装小物の名称など、
とても詳しく解説されています。

きものの産地マップも載っていて、
日本各地でいろんな織り方や、
染め方のきものが作られていることにも興味がわく。

成人式も終わったばかりですが、
娘さんにきものを着せてあげたお母さんにおすすめ。
きものにご興味をお持ちの今、一緒にお勉強されてみては?



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タグ:着物 和服
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生物と無生物のあいだ




文系の私には難しかった。
でも、飽きなかった。

文章がとても読みやすい。
単調でなく、例えも上手。
著者の研究時代のこともよく書かれていて、
学者の世界の大変さも垣間見せてくれる。

生物学に関する読み物といった感じの一冊。

さて、生物学なんてぜんぜん詳しくない私だけど、
DNAという言葉くらいは耳にしたことがある。

今では誰もが知っているそれが、
発見されるまでには熾烈な科学者たちの競争あった。

DNAの構造を解明し、ノーベル賞を受賞したのは
ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックという
二人の学者である。

しかし、彼らにヒントを与え、
そのことを知らないまま亡くなった女性がいるのだ。

彼女の名前はロザリンド・フランクリン。
彼女は、DNAにX線をあてて解明するための研究をしていた。

フランクリンは上司とうまくいっていなかった。
そしてその上司が、あるときワトソンに一枚の写真を見せる。

それこそが、ノーベル賞受賞のヒントとなるDNAのX線写真であった。

それまでにも、
遺伝子の本体がDNAであると示唆していたエイブリー、
DNAを構成する4つの文字の質量が
同じであることをつかんでいたシャルガフなど、
ワトソンとクリックのいわば踏み台になった人たちがいることも
興味深かった。

さて、二人が解明したDNAだが、
それがらせん状の形態であることも、私たちは知っている。

なぜらせん状で対になっているかというと、自己複製を行うためだ。
互いに補完しあい、複製しあって
情報を安定的に保持しているのである。

私たちの体は、目には見えないが日々生まれ変わっている。
病気になったり、ストレスで傷ついたたんぱく質は、
日々取り除かれ、新しく作りかえられているのだそうだ。

マウスにプリオンタンパクを欠損させる実験を行った話がある。

牛の脳にあるプリオンタンパクに異常が生じると狂牛病になるが、
それではこのマウスはどうなったのか。

結果、プリオンタンパクがなくても健康に、
寿命を生きたそうである。
DNAにより、ない「部品」を補う働きがあったのだそうだ。

が、異常プリオンを組み入れたマウスは
異常行動を見せて死んでしまった。
部品がないほうがいっそ長生きできたのである。

中身の部品の全くないテレビが写っているのに、
一つ部品が壊れたテレビは動かない。
こんな不思議なことが、生命体にはある、と著者は書いている。

生物とは、生命とは、と思って読み始めるとやや肩透かし。
それについては、「生物とは自己複製をするものである」とあるが、
あまりそれに関する記述はない。

ただ、複雑な体のはたらきを知ると、生物って奥深いとは思う。




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