2008年07月31日

グ印関西めぐり(濃口)





旅の本をたくさん出している、
グレゴリ青山さんが行く関西。
雑誌、関西ウォーカーの連載をまとめたもの。

絵と字がぎっしりなので、活字マニアとしてはうれしいが、
ごちゃごちゃしていると感じる方もいらっしゃると思う。

私、関西出身ではあるのだが、知らないことの方が多かった。
まあ、濃いですな。関西。

まず梅田。新幹線の止まる新大阪駅は、
いわばよそゆきのお利口さん駅であって、
関西人にとっての大阪の入り口はやはり梅田である。

グレゴリさんは梅田を魔境という。

確かにややこしい。JRと私鉄二本、
他にも地下鉄が複数が乗り入れており、
梅田がいくつかあるのもややこしい。

そんでもって、梅田駅周辺には不思議な店がたくさんある。

やたら安い食堂、がいこつをディスプレイした鍼灸院、
地下道に張り付くように店が並ぶアリバイ横丁。

アリバイ横丁というのは他の都市にもあるんだろうか?

小さいキオスクのような店が並んでいる通りで、
各都道府県の名産品を扱っている。
一店舗で一県、いろんな県のお土産が買えるというわけだ。

地方に出張や旅行に行った
「アリバイ」が買えるのだという意味でつけられた名前だけど、
グレゴリさんもおっしゃる通り、
世の中にはそんなにアリバイが必要な人がいるのだろうか。

私がうれしかったのは、私の育った明石も取材されていること。

明石といえば蛸。タコフェリー、蛸飯、蛸もなか、
蛸神社、カレーかけたこ焼き。

明石海峡大橋を眺めながら、蛸尽くしの旅を満喫されているようだ。

他にも、大阪市大正区で沖縄文化に出会い、
京都太秦映画村をたずねては、
自分の人生における東映映画の比重の重さを思い知る。

神戸の船舶ファンの店で異国情緒に浸り、
京都府立植物園では現実逃避のモニュメントに癒される。

これを読んでいると、今住んでいるところを
もっともっと探検したくなってくる。
刺激的なものって、案外身近にあるかも。









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2008年07月30日

国井的旅の力






この人の本は時々見るので、
どんな人かと思っていた。
また本を出していたので何気なく手にとってみたけど、
まったく不思議な本だった。

タレントさんの本みたいだ。
著者の国井さんご自身がきれいな方なので違和感はないけど、
写真集みたい。

ほんでもって、本のテーマは
「旅で使えるモノ」ということなのだけど、
ユースホステルでの体験談あり、
屋久島の旅行記あり、
テーマに厳重に沿ったものではないみたいだ。

タレントさんの書いたゆるーい写真集エッセイ付き、
みたいな感じだった。

それでも、国井さんはどうやら同年代らしく、
私はけっこう楽しく読みましたよ。

国井さんは旅が好きだ。

バイクに乗って、時には自動車を運転して
いろんなところへ出かけている。
女性なんだけど、ハーレーが好きでカスタマイズもしているらしい。

そんな彼女が乗っているのはハーレーのスポーツスター。
身長が160センチの彼女にはちょうどいい。

ハーレーに乗っていると、不思議と友達ができる。
今でも年に数度ツーリングに出かけていて、
今では夫婦みたいな落ち着いた愛情を感じている。

そんな彼女が愛用するジャケットは、
VANSONというブランドの革ジャン。

オーダーメイドしたその品は、最初固くて、
着ていても苦しいだけだった。

他の人も皆そうで、最初のうちは部屋着にしたり、
ぐちゃぐちゃに丸めて踏みつけたりする人もいる。
颯爽と走る革ジャンライダーには、そんな苦労の日々があるのだ。

国井さんはサメが好き。小さい頃からなぜか好き。

それで、お気に入りのサーフボードにもサメのイラストを描いている。
いつかサメの研究所に入るのが夢だ。
無給でいいから雇ってくれ、というほどなのでよほどなのだろう。

旅に出かけるには無印の収納グッズ、
家でバランスボールに乗り、ヨガにも凝っている。

自転車が好きで、仕事に行くのはもっぱら自転車だ。

お転婆な女の子といった感じの国井さん。
ちょっとばかり憧れるなあ。






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2008年07月29日

切羽へ





第139回直木賞受賞作品。
しっとりと読める大人の小説になっている。

女性教諭セイを主人公に、ある島にめぐる一年を書いた物語。

三月
画家の夫と静かな生活を営むセイ。
学校に若い新任の男性教師がやってくる。
新任の教師の名前は石和といった。

四月
セイは近所に住む老人宅をよく訪れている。
しずかさんというその女性は、昔炭鉱の事故で夫を亡くしている。

五月
セイと仲のよい女教師、月江には恋人がいる。
島の者は彼を「本土さん」と呼んでいる。
本土からたまに月江を訪れるからだ。
彼には妻がいるらしい。

六月
しずかさんの家が雨漏りしていることに気がついたセイ。
夫に修理を頼むはずが、石和が修理を買って出た。
ぶっきらぼうな石和にしては珍しい、とセイは思う。

七月
海開きの日、海で子供と戯れる石和を違和感を持って眺めるセイ。
彼は一体どんな人間なのだろう。

八月
夫の個展の打ち合わせのため、ともに東京に行くセイ。
島に戻り、石和がいなくなっていないことに安堵する。

九月
しずかさんが入院した。セイの母はがんで亡くなっており、
そのことを思い出す。
人は皆、消えるように死んでゆく。

十月
月江の恋人、本土さんは月江のもとに入り浸るようになった。
本土さんの妻からいやがらせのように贈り物が届く。

十一月
本土さんの妻が島を訪れる。本土さんは月江を捨てる。
そんな本土さんを、石和が殴りつけた。

十二月
月江は石和と寝たという。
石和も月江をセックスフレンドだと言う。

一月
しずかさんが死んだ。しずかさんの葬儀をきっかけにするように、
本土さんが島に戻ってきた。
石和が島を出て行くという。

二月
島を去る石和を、廃墟の病院に誘うセイ。
そこでセイは、石和に窓から見えるトンネルを指差す。
トンネルを掘っていく一番先を切羽という。
石和はセイに別れを告げる。

三月
セイのお腹に新しい命が宿った。


今日はメルマガが長くなってしまってすみません。
いやあ、一年は長いですね。

セイ、月江、しずかさんという三人の女の恋と情念を描いた物語。

文書がきれい、島の描写がゆったりとしていて
安心して読める小説。











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2008年07月27日

時が滲む朝





第139回芥川賞受賞作品。

うーん。これはもったいない。
それでいて読むのに疲れました。やっぱり日本語は上手ではない。

えーと。あらすじいきましょうか。

主人公は梁浩遠。中国の田舎の村で生まれた。
父は文化大革命の折に下放させられた知識人である。

友人、謝志強とともに名門大学秦漢大学に進学する。
二人は将来、国を負って立つエリートになろうと誓い合う。

このあたりの描写は非常にすがすがしい。
早朝、二人で湖畔に立ち、青春の志を叫んでしまうなど、
純粋な青年の姿が美しい。
こんな学生、日本にはいないもんな。

二人は甘という教授の講義を受け、詩の素晴らしさにめざめる。
文化的な学問に縁がなかった二人。
テレサ・テンの歌を聴いて、戸惑いを感じるなど、
新しい文化に触れて成長してゆく。

首都北京で民主化を求める学生運動が始まったのを知る二人。
甘先生が先導者となり、地方の秦漢大学でも
民主化を求めるデモが起きる。
二人はこれに参加し、熱中していく。

しかし、この二人は実は民主化が何なのか、
はっきりとはわかっていない。

「複数政党」「アメリカのように」という言葉を唱えているが、
民主化について深い思考をめぐらせていない。
ま、若い時期ってのはそんなもんですな。

天安門は制圧され、民主化を唱えた学生は追放される。

二人は、町の居酒屋で「民主化なんて飯の種にもならねえ!」
という市民とけんかをして、大学を退学させられる。

主人公は、昔近所に住んでいた日本人孤児の子、
梅と結婚して来日する。

生活の苦労をしながらも、日本で中国の民主化運動を行うが、
周りの中国人は民主化などよりも
ビザや高い時給のアルバイトにしか興味がない。

主人公は北京オリンピックの開催にも反対するが、しかし、
中国でオリンピックが開かれることを本当は喜んでいる。

捨てきれない祖国への屈折した愛情が主人公の心にのしかかる…。

いい話だと思うんだけど、全体的に書き込み不足かなあ。
(うわー、えらそうに)

主人公が、結局のところテーマとしている民主化については
あんまり深く考える記述がないのよね。

ほんでもって、来日して若い日の失敗を省み、
現実との挫折を味わう、っていう肝心なところが薄い。

そこ、盛り上げられるんと違う?って思っちゃう。

いや、ほんとに薄いのよ。
本を手にとっていただけるとわかるけど、ページ数少ないしね。

日本語も、ついでに言うとやっぱりおかしい。

「食堂のコックさんが」
「酒とつまみがとことこという足音とともに運ばれ」など、
大人の小説家の文章にしてはちょっと…。
コックさんって…。

この小説が選ばれたのは、
他の作品がいまいちよくなかったという背景もあるようだ。

村上龍が語る選考の裏側↓
http://video.msn.co.jp/rvr/ryu_gen_higo/default.htm

しかしながら、最後、主人公が抱く中国への屈折した愛情、
その息子が言う「僕のふるさとは日本」という言葉に、
意に反して祖国を捨てざるを得なかった人間の哀切が見て取れる。

これが、作者自身が感じている
現実とのジレンマということなのだと思う。




ま、この時期(北京オリンピック前に中国の人権問題が
世界に疑問視されてる現在)に、
このテーマ(中国の民主化、天安門)を選んでいるわりに、
肝心の民主化への問いがめっちゃ薄いのがなあ、という感想です。




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2008年07月25日

定年からはじめる田舎暮らし完全ガイド







都会から田舎へ
移り住もうという人のために書かれた本。

とても丁寧に、田舎に移るメリット、
デメリットを書いてあるので、
田舎暮らしに憧れる方にはよい参考になりそう。

定年後に田舎暮らしをしたいというのは男性のほうが多い。
地元に友達がいて、都会でのショッピングを楽しみたい女性は、
なかなか田舎に越すのをいやがるのだそうだ。

著者が提案するのは「トカイナカ」暮らしである。
都会と田舎とかけたこの言葉、
両方のメリットを持つ場所のことを指している。

そうだよなあ。
都会に慣れた人が、いきなり田舎暮らしっていうのも
案外と大変だろうと思う。

文化的な娯楽、買物の便利さ、
交友関係をいきなり失ってしまうのは辛い。

そういう意味では、都市圏から電車で2時間くらいでいける
「トカイナカ」を探すのが現実的な選択といえる。

だいたい、田舎暮らしといっても、
完全な自給自足をしている人は田舎にもそう多くはない。

テレビを楽しみ、通販で買物をし、
暮らしは都会とそう変わらないのが現状だ。

ただ、田舎では車が使えることが重要になる。
ちょっとした買物にも車は欠かせない。

田舎暮らしの場所として、リゾート地を考える人が多いが、
それはやめておいたほうがいい。

夏のリゾートとして有名な軽井沢は、冬は極寒の地である。
厳しい寒さと雪に閉ざされる暮らしは慣れたものでないと辛い。

また、海のそばなどもよい感じがするが、
塩害などの対策が大変だ。

海が好きな人は、
海から1キロほど離れた場所をさがすといいだろう。

この本では、茨城県の鹿島というところを中心に紹介しており、
途中から鹿島の宣伝みたいな感じの文章が多くなる。

それがちょっと惜しい気がするのだが、
しかし、田舎暮らしの始め方としてはとても親切で、
読みやすい。

文章もまた、対面でお話を伺っているような優しい文章なのだよ、
これが。

ガーデニングの始め方、不動産屋さんの選び方、家の建て方など、
実際に直面しそうな問題を、丁寧に拾って答えてくれている。

週末、こんな本を手に、
スローライフを想像してみるのもいいかもしれません。








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2008年07月24日

バフェットの教訓






今までいろいろ名言集を読んできたけど、
これはまた、独特の哲学が感じられてとても面白かった。

ウォーレン・バフェット。
莫大な資産を投資によって築いた著名な投資家で、
さらに慈善家でもある。

彼の投資哲学が垣間見られる名言を集めた本なのだけど、
なんというか、周りに流されない独特の考えがとにかく深い。

・トラブルから抜け出すよりも、トラブルを避けるほうが簡単だ。

違法な金儲けがばれて後始末するよりも、
違法な金儲けの誘惑をはねのけるほうが簡単である。

・天と同じく、市場はみずから助くるものを助く。
しかし、天と違って、市場は右も左もわからない者を許さない。

・充分な内部情報と100万ドルの資金があれば、
一年以内に破産を体験できる。

内部情報なるうわさは、あなたのもとに届いたときは
皆が知っているものだ。
うわさを流した本人だけが儲けることが、往々にしてある。

・投資家としての成功に微積分や代数が必要なら、
わたしは新聞配達の仕事に戻るしかないだろう。

・潮の流れが止まって初めて、誰が裸で泳いでいたかわかる。

バブル的な投機の流れの中で、
誰が裸なのかを見極めることが必要である。

・髪を切りたいなら床屋のところへいくな。

専門家はいつも問題を探してくる。全く問題がない場合でも…。

・穴にはまっていると気づいたとき、
一番大切なのは掘るのをやめることだ。

撤退には痛みが伴うが、時には勇気を持って退くことも大切だ。

・リスクは、自分の行動に対する無知から生まれる。


この本を読む限り、バフェット氏の投資に関する考え方は
とてもシンプルだ。

違法なことをしない。
無理な投資をしない。
幻想を抱きすぎない。
ある意味、非常にストイックな考え方である。

投資を始めようという方、投資をしている方には、
きっと何かの助けになる言葉が見つかるはず。

日々の生活の中で、当たり前のことを当たり前にする。
その大切さがわかるような気がする一冊です。








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2008年07月23日

タイガーフォース





2004年度のピュリツァー賞を受賞した作品。

ベトナム戦争中、アメリカ軍の中に
タイガーフォースという部隊があった。
少人数でジャングルに入り込み、索敵、ゲリラの殲滅を任務とする。

ベトナムのソンヴェ渓谷に、タイガーフォースは降り立った。

ゲリラをあぶりだすため、
米軍はソンヴェの住民たちを強制移住させようとした。

しかし、土地に愛着を持つ農民たちはなかなか離れようとしない。

いつしか、タイガーフォースの役割は残っている村人を
「説得」することになっていた。

熱帯の蒸し風呂ような気候、いつ襲ってくるとも知れぬゲリラ、
蛭、サソリ。兵士たちの消耗は続く。
農民たちは、移住先への列から逃れて村に戻ってくる。

兵士たちは、「ベトナム人は自分たちとはちがう」と考えていた。
人間ではない。サルと呼ぶ兵士もいる。

言うことを聞かず、農作業を続ける村民に後ろから発砲する。
戻ってこられないように家を焼く。
家の中に人がいてもかまわず
火をつける。
老人を殴り、頭にライフルを突きつけて撃ち殺す。

ソンヴェ渓谷から戻ったタイガーフォースは、
わずかな休みを与えられただけで、
再びチュ−ライで戦うことを命じられた。

そこにはゲリラが待ち構えていた。
木の上からタイガーたちを狙い、狙撃してくる。
仲間が倒れる。

民間人を殺すのが兵隊の役割ではない。
そう説く兵士も中にはいた。
残虐行為に抵抗を示す人間もいた。
しかし、疲弊がタイガーたちを消耗させていく。

村を襲い、村民を殺し、
地下壕に逃げ込んだ人間を手榴弾で焼き殺し、
死んだ人間の耳を首飾りにして
「記念品」にする兵士も出てきた。
乳児の首をナイフで切り落とした兵もいた。

戦後、CID(米軍犯罪捜査司令部)のグスタフは、
乳児殺害の告発書を手に取る。

タイガーフォースに所属していた兵士たちに面会し、
戦争犯罪を暴こうとする。

調査の中で兵士に面会したグスタフは、
彼らが皆一様に過去の犯罪におびえ、精神を病んでいることを知る。

「彼らの心は、スナップ写真を撮っていたのだ。
家族と団欒しているとき、
血まみれのスナップ写真が目の前に現れる」

兵士たち何人かの生まれ、育ちも記されており、
彼らがどんな人生を歩んで
ベトナムに赴いたかが丁寧に書かれている。
その後の不幸な人生にも筆が及んでいる。

アマゾンのレビューによると、翻訳があまりうまくないらしい。
軍の階級があいまいだそうだ。

また、人の名前がごちゃごちゃしてわかりにくいというのは
私も感じた。

しかし、数十年も前のことを、
丁寧に資料を探して書ききったという点においては
力作といわざるを得ない。








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2008年07月22日

初期対応から解決まで 速習クレーム対応





インターネットで情報が拡散するこの現代、
クレームをおろそかにすることは
企業にとって命取りにもなりかねません。

最近もありましたね、ほら、
大手新聞社が変態的な記事を垂れ流して、
ネットユーザーを怒らせてしまったという…。

さて。そんなクレーム対応の基礎の基礎から教えてくれる本書。
イラスト豊富。
一問一答の形式ですすめられるのでわかりやすい。
研修などに使えそうな一冊です。

クレームを受けるのは、誰しも心楽しいものではありませんが、
クレームを出してくれる客というのは、
実はありがたい存在なのです。

会社にまだ期待しているから、クレームを出す。
文句を言われず、口コミで悪い評判を立てられるほうが
恐ろしいのです。

クレームを言ってきた客には、まず、誠実さをアピールし、
良好な関係を作ることから対応を始めたい。

そして、客の要求を把握し、問題を明確にする。
それができてから、解決策を提案する。

最初から社の言い分や解決策を強引に提示しないのが重要。
「ご迷惑をおかけしました」
「ご不便をおかけしております」と、同調する。
謝罪、共感を示すとよい関係が築かれる。

客は、現実的な解決法だけを望んでいるのではない。
怒り、悲しみ、不平不満などの感情面での解決も
必要なことを念頭においておこう。

客は怒っている。そのことを受け止め、
「こちらも何とかしたい」
という気持ちが伝わればよい解決ができる。

解決策を提示するのは感情面が落ち着いてからがよいが、
こちらから誘導する方法がある。

怒りがおさまったのを見極めてから、声のトーンを切り替える。

そして、○○様、と客の名前を呼ぶ。
名前を呼ばれると、自然に耳を傾けるものである。

そこからは冷静に、自信を持って、シンプルに解決策を提案する、

対応がすばやく、納得できるものであれば、
客はクレーマーからファンに変わるのだ。

クレームをあげてくる客のパターンごとの対応、
実際に使える言いまわしの例など、
知っておくと便利な「ワザ」がたくさん。

接客のお仕事をされている方には、
きっとお役立ちになること間違いなしの一冊。









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2008年07月18日

幸福の迷宮






前作、「Good Luck」で大ヒットをばした、
アレックス・ロビラの新作。
寓話風の物語で自己啓発を説くパターンは前回と同じ。

33歳の女性、アリアドナは、ある日勤めていた工場を解雇される。

失望した彼女は、足を踏み入れてはならないと言われている
「嘆きの森」に迷い込んでしまう。

森の中の屋台で、
「人生のビッグ宝くじ」なるものを購入するアリアドネ。
売っていた老人は、全部当たりだから、と言う。

眠り込んでしまったアリアドナ。目が覚めると、
ツタが絡まる壁に取り囲まれていた。

そこで、アリアドナは、手に虫取り網を持っている男に会う。
彼は、ここが「幸福の迷宮」だと言う。
人生に迷ったものがやってくる、人の心の中の迷宮なのだと言う。

それから、アリアドナの出口を探す旅が始まる。

イタリアにある、真実の口に似た像に、
「お前は何者だ」と問われるアリアドナ。

彼女は、「私は自分がなりたい自分になる!」と答える。

イタリア風の大通りには、
「愛の銀行」で、人々の愛を預かっているおばあさんに出会う。
ここに預けた愛はいつか自分に戻ってくる。

預け方は簡単だ。おばあさんを愛を込めて抱きしめればいい。
愛を与えること、受け取ることは実は簡単なことなのだ。

洞窟の中ではピグミーと出会う。小さな身長の人だ。
彼は洞窟に寝転んで、洞窟の裂け目から空を眺めながら、「君の
窓が小さくたって、空はいつだって広いんだ」と言う。

最初に出会った男は、
アリアドネのガイドのような役割を果たしている。

再び出会ったとき、
「幸福は見つけるものじゃない、ひょっこり出会うものなんだ。
幸福はゴールではないから」と教えてくれる。

そして、出口を見つけたければ、蝶を追えばいい、と彼は言った。

果たして、旅を続けたアリアドネの前に光る蝶が現れた。
アリアドネは蝶を追って、「最後の質問の家」にたどり着く。

「ここで何をしている?」と問われたアリアドネは、
もう答えに迷うことはなかった。

「生きてる!」


愛の銀行、迷宮カフェ、夢なしの宿など、
ファンタジックなしかけがなかなか楽しい。
久しぶりにいいファンタジーを読んだ感じ。

しかし、アリアドネが33歳ってのがなんというか、こう。

同年代じゃないよ〜。
「自分が思い描いていた大人は、こんな姿ではなかった」と、
冒頭で泣いてるんだけど、うう。

そうよね、夢と現実の差がはっきり残酷にわかってくる
お年頃なのよね。

身につまされますです。









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2008年07月17日

きっと、よくなる2






本が好きという方の中で、
「自己啓発書はあまり…」という方は意外に多いんじゃないかと思う。

と同時に、「本は自己啓発書とビジネス書しか読みません」
という方もきっと同じくらいいると思う。

私は20代の半ば、自己啓発書とビジネス書を読みまくっていた。
未来が不安でたまらなかったので、
現状から脱出する術がほしくて仕方なかった。

で、結論から言うと、
よい自己啓発書はけっこう役に立つということになるかなあ。

だいたい、どの本も書いてあることは同じ。
だから、自分に合う、気楽に読めるものを探してみるといいと思う。

前置きが長くなったけど、そういう意味では、
本田健さんの本は、なかなかよろしいのではないかと
考える次第です。

健さん(違う人を想像しないように)の考え方は
いたってシンプル。
みんな、お金持ちになって幸せに生きてちょうだいね、
というものだ。

この本も、健さん自身が「どこから読んでもかまいません」と、
非常に緩やかに読者を迎え入れてくれる。

健さんは、お金は親友のように扱いなさい、という。
お金は、あなたの望みをかなえる手伝いをしてくれる存在です。
そんな親友を、あごで使ったり、
卑屈に対応したりするでしょうか。

持っているものを人々と分かち合い、
お金から自由に振舞うことが、
お金という親友に愛される秘訣です。

豊かさとは流れにのってやってくる。
人、情報、チャンス、お金。
これらは互いにリンクしあいながら、流れてくるもの。

流れを受け取ったら、次は自分から流れを作るようにしよう。

才能を信じ、好きなことをやってみよう。

しかし、好きなことの中にも嫌いなことはある。
ある画家が、絵を描くのは好きだが、
絵の具の片付けが嫌いだと言っていたことがある。

だけど、絵を描くのをやめようとは考えたことがないそうだ。

嫌いなことはたくさんある。
でも、それも含めて好きと思えるくらい、大好きなことをしよう。

お金持ちは、靴の脱ぎ方にも注意を払う。
脱いだ靴をきちんとそろえることができる人は、
仕事を最後まで気を抜かずにやれる人。
物事は、完了するまでしっかり取り組もう。

泣き言を言う日も作ろう。がんばれないときは引きこもろう。
疲れているときは無理をしないでいいのである。

スーパーで、パンや牛乳の値段が10円高くなったと
嘆いたり怒ったりしている私には、
お金から自由になるというのはまだちょっと難しい。

だけどあれだ、お金から自由になることを、
一日のうちほんの数分でも、
想像してみるのもなかなか楽しいもんですわ。










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タグ:本田健
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2008年07月16日

モテたい理由






本を作るコストは下がってるんでしょうかね。
毎日たくさんの本が出されるわけだけれど、
もう少し考えて作ってみたらどうなんでしょうかねえ。

それとも、編集者さんってのは、
作家さんのご機嫌取りが仕事になってるのか?

向き合うべきは一般読者ではないの?
作者の妄想を垂れ流してばかりいるから、
出版不況なんて言葉が流行するんですよ!

と、最後は本を投げつけてしまった。

が、前半は面白い。女子歴30数年のワタクシ、
いろいろと思い当たることもあった。

女性雑誌を分析して、女性たちの
「モテたい理由」を探るという本。

モテ、とは、女性雑誌全体を席巻する価値観である。
人との関連性であり、つきつめて言ってしまえばプレゼンである。

女性雑誌は、一見華やかでかわいらしく見えるが、
実は獰猛な男性ハントの教科書である。

よりよい男子、つまり経済力があり、
ある程度ルックスにも恵まれている男性を狩る指南書である。

愛され服、ドジな娘を演出するテクニック、
彼氏の友達を誘惑する手管などが紹介されているが、
しかし、それらは実際にはあまり意味がない。

なぜなら、女性が気にしていることを男性はそれほど
気にとめていないからだ。
普通の男はファッションの細部にまでは気がつかない。

リボンをつければお嬢様。愛され服の紺×白。
こんな風に記号的条件反射に安心するのは、
実はオタクと同じなのである。
猫耳をつけると萌えキャラ。これと同じである。

女性誌は女性を洗脳しようとする。

四大卒、帰国子女で丸の内の会社に入り、
入社1年目から大事なプレゼンを任される。
仕事も大事だけど、彼氏も大事。
自分へのご褒美は数十万のブランドのバッグ。

三十代になると求めるハードルがもっと高くなる。

仕事も恋も手に入れる。仕事をやりつつ、子供も産みました。

こんなライフスタイルを提示するが、
しかし、どれだけの女性がそれを手に入れられるだろう。

雑誌を見て、時折著者は、「もう疲れたよ」とつぶやくのである。

うーん。

エビちゃんや三浦りさ子さんとか、
女性がお手本にするタレントさんの分析とか、面白かったんだけど、
後半がね。

戦後の日本人が背負ってきたもの、というテーマの駄文がだらだ
ら始まるあたりで私、キレましたよ。

テーマと明らかに違う唐突な最終章、自分語りの変な文章。
あかんでしょ。
なぜ本を出す前に誰も言わなかったのか。

それは素晴らしいテーマかもしれん。
あなた(作者)には切羽つまった書くべきトラウマなのかもしれん。

しかしそれなら、納得のできる展開にして欲しかった。
本として出された以上、
あなた(作者)の身内だけが読むわけではないのですよ。

残念。







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2008年07月15日

12歳からの読書案内 海外作品





すみません。
ちょっと古い本になってしまいました。
手元にあるのが第二刷(2007年発行)で、勘違いしておりました。

でも、いい本なので、せっかくです。ご紹介させて下さいな。

翻訳家の金原瑞人さんが、
少年少女のために選んだ海外の児童向け文学。

しかし、児童向けにするのは惜しい、よい作品がたくさん紹介されている。

よい作品とは言っても、
「よい子のための読書案内ではない。
ものによっては、子は親に隠れ、親は子に隠れて、
こっそり読むべき本もある」のだそうだ。
それでこそ読書である。

執筆者はあさのあつこ、豊崎由美、ひこ・田中、森絵都など
著名な作家から大学生まで。
皆、本を愛する人たちばかりだ。

紹介する本のカテゴリーは、感動する本、
どう生きるのかを考える本、試練を乗り越えるヒントになる本、
元気とガッツにあふれる本、ファンタジーの面白さ、
ユニークな発想、危険なくらい想像力が刺激される本、と豊富。

見開き1ページを使って、右に簡単な紹介と表紙の写真、
左にあらすじと解説があるので、
本のだいたいの内容がわかるようになっている。

私が興味のある本をいくつかピックアップしてみます。

感動する本より、「火を喰う者たち」。
1962年のキューバ危機を背景にしている。

少年は、大道奇術師の火喰い男に出会い、祈り、戦う。
第三次世界大戦が回避されるまでの奇跡の日々。

どう生きるのかを考える本より、「ぼくのともだち」
友達を見つけるため、ふらふらと町をさ迷い歩くヴィクトル。
彼は根暗で卑屈で、いやな性格の人間だった。
案の定、ともだちなどできるわけもなく…。

元気とガッツにあふれる本より、
「ワイルド・ミートとブリー・バーガー」
ハワイで生まれた日系の少女、ラヴィ。
貧乏だし、学校ではからかわれるし、つらいこともたくさん。

だけど、ラヴィには親友もいて、
何よりラヴィ自身がガッツあふれる女の子なのだ。

危険なくらい想像力が刺激される本より、「パイの物語」
沈没した貨物船から、たった一人で
救命ボードで逃げ出したパイ少年。
彼の同乗者はシマウマ、オランウータン、ハイエナ、虎。

あらゆる宗教が入り混じるインドの不思議、動物たちの生態、
大どんでん返しの終章など、
「とにかくあらゆる物語を楽しめる一冊」なのだそうだ。

昔読んだことのある本もいくつか紹介されていて、
久しぶりに読みたいな、などと懐かしい気持ちになった。

著者の言うとおり、古今の名作といったものが
あまり入っていないのがいい。

この一冊でだいたいのあらすじがわかるので、
子供さんに本を薦めてあげる手助けにもなりそう。









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2008年07月14日

英国情報局秘密組織チェラブ






児童書。
イギリスの私立探偵が、
読書嫌いの甥っ子のために書いたお話なのだそうだ。

構成にやや難があるか。いや、訳が悪いのかな?

最初はちょっと退屈、と私は感じました。
だけど、中盤以降はどんどん引きこまれていく。

ジェームズは12歳。ジェームズのママは太っていて、
付き合っている男は最悪だ。

そのママのことをからかった女の子を突き飛ばして、
彼は学校を退学になってしまう。

その後、ママは医者に止められているのに酒を飲んで、
そのまま死んでしまう。

たった一人の妹のローレンとも離ればなれになり、
孤児院に収容されるジェームズ。

不良グループと仲良くなり、ビールを盗んだことで逮捕され、
不思議な施設に送らることに。

そこはチェラブの訓練所だった。
チェラブとは、子供のスパイのこと。
英国の立派な工作員養成機関である。

名前を決めた人間が、不慮の死を遂げたので
それがどういう意味なのかはわからない。

ヘルメットをかぶった天使が銃をかまえているのが
チェラブのシンボルである。
これ、かわいいの。

ジェームズはそこでチェラブの一員となるべく訓練を受ける。

最初は苦手な水泳が壁になる。
教官のエイミーの親切な指導のもと、悪戦苦闘する。

なんとか水泳もマスターし、地獄の基礎訓練へ。
鬼のような教官にしごかれ、語学、格闘技、サバイバル術などを
徹底してたたきこまれる。

この過程が長い。

んだけど、子供が読んだらわくわくするのかな。
ペアになる女の子、ケリーは空手の名人で、
彼女とのやり取りも面白い。

地獄の基礎訓練を終えたジェームズは見事、
チェラブの一員として、初のミッションに参加することになる。

水泳を教えてくれたエイミーと組んで、
ヒッピーのコミュニティに潜入するジェームズ。

外部の人間も訪れるフェスティバルの日に、
テロが行われるというのだ…。


甥っ子のために書いた本というが、
このミッションのくだりで書かれていることは、
著者から甥へのメッセージなのだろうと思う。

テロを行おうとしたのは環境を守る団体である。
彼らは、資本主義の矛盾を真剣に憂えている。

彼らに近しいジェームズは、テロリスト側にも心を寄せてしまう。

テロを行う側にも主張はあること。彼らも人間であること。
それは、このテロの多い時代に生きる子供たちへの暗黙の提示である。

しかし、チェラブはテロを阻止し、犯人は捕まる。
テロはやはりいけない。
大勢の人を殺すのは間違っている、と、チェラブの教官は説く。

これも、著者が甥っ子に伝えたいメッセージであることは明らかだ。

相反することだが、これがエンターテイメントの中で語られると
無理なく子供の心に届く。

ミッションまでが長いかな、というのが感想。
あと、やっぱり訳がよくない。日本語のリズムが単調で飽きる。

だけど、大人たちを相手に一歩も引かないチェラブの子供たちが
痛快でかわいらしいのも確か。
私が12歳で読んでいたら、けっこうはまっていたかもしれないな。









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2008年07月11日

へんなほうりつ





水曜日、木曜日とカタイ本が続いたので、
本日はルネッサーンス!ではなく、
リラックース!できる一冊を。
週末だしね。

へんなほうりつ。
世界各国の、おかしな法律を集めた本。
こういう本、好きだわ〜。


・死ぬことを禁ずる フランス

フランスのある町で、墓地が少なくなったために制定された条例。

「町民は守っていますか?」と言う問いに、
「だいたい守ってくれていますが、
先日ホームレスが一人亡くなりました。
今、墓地を探しているところです」との返答が。

動物に優しい法律がたくさんあるのがスイスである。

・アルコール中毒者はペットを飼ってはいけない。

・子牛をさびしがらせてはいけない。

・幼いうさぎは一羽で飼ってはいけない。

うさぎはさびしいと死んじゃうのよ、なんて台詞がありましたが、
本当のことなのかな?

一方、日本のへんなほうりつは、
日本人の生真面目さがよく表れているように思えます。

・吸殻やゴミのポイ捨てをしたら、「広報かしわ」(町の広報紙)
に氏名と住所を公表する。

・ゴミは34種類に分別して捨てること。

・暴力団とは、普通より「犯罪者の多い集団」である。

最後のものは、山口組の本部を抱える兵庫県の条例。
きちんと定義されてるんだな。

おかしな法律が断然多いのはアメリカである。
何しろ、「法律に書いていないことは合法」ってな考え方をされるので、
手広く網を広げておくという傾向がみられる。

・殺人や強盗を犯す際に、防弾チョッキを着てはならない。

・一晩中ガレージセールをしてはならない。

・隣家をライトで照らしてはいけない。

・母親が赤ちゃんに授乳するのはわいせつな行為ではない。

・他人の鼻を噛み切ってはならない。

・墓地でピクニックをしてはならない。

・魚を銃撃してはならない。

・夜九時以降に、オープンカフェでクラクションを鳴らしてはいけな
い。

なんというかまあ、普通で考えたらアウトですやん、それ、
ということを法律で明記せざるを得ないというのがなんとも。

しかしあれだな、アメリカの強盗犯は、
まじめに強盗に入る前に防弾チョッキを脱ぐんだろうかな。

それはそれでいい人に思えるな。









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2008年07月10日

中国ニセ食品のカラクリ





北京オリンピックまであと1ヶ月を切りましたね。

まあ、そんな状況ではあるわけですが、
本屋さんに並ぶ中国関連の本はこんなものばかり。
どんなもんでしょうな。

中国で出回るニセ食品と、なぜそれが生まれるのかを考察した本。
著者は中国に留学したこともある中国通。

中国では「ニセ卵」というものが時々流通して世間を騒がせる。

ニセ卵の作り方は簡単だ。殻は石膏の粉と食用パラフィンを、
中身は海藻酸ナトリウムとゼラチン、みょうばん、
でんぷんなどを混ぜて作る。
本物そっくりの卵になるそうだ。

これを、本物の卵の中に紛れ込ませて流通させる。
卵一個の値段が3円程度で、ニセ卵のコストは0.75円。

一日辺り1500個の生産が可能だそうで、
そうすると、一日の利益が3400円くらいになる。

たかだか3000円、と考えてしまいがちだが、
農村では年間の現金収入が1万円程度という家庭も多い。
3000円は大金だ…。

中国のニセ食品を考えるとき、日本人の感覚で、
「まさか」という可能性を切り捨ててしまうのは
危険だと著者は言う。
その、まさか、と思えることを中国の人たちはやってしまうからだ。

中国で人気の高い商品には、必ずと言っていいほど
ニセモノや混ぜ物が出るそうだ。

例えば粉ミルク。混ぜ物の多い粉ミルクを飲んだ乳幼児が、
栄養が足りずに栄養失調になることがある。

ニセ牛乳。水道水に粉ミルク、
食用の白い色素を溶かしたものが混ぜられていた。

牛乳に水を混ぜると酸化するので、それを防ぐために洗剤や、
ひどい話だが牛の尿を混ぜる例もあったという。
コワー。

なぜこんなものを作るのか。
それは、生存競争があまりにも過酷だからだと
著者は分析している。

環境問題にもいえることだが、
未来のことよりも今日の利益が重要なのだ。
それほどまでに、人々は追い詰められている。

そして著者はこうも述べる。これは、対岸の火事ではない、と。

日本でも度重なる食品偽装。
これは中国の感覚が日本にも入り込んだ結果だという。

長い不況の中で、私たちは中国製の安い商品に
生活を助けられてきた。

しかし、それが中国の貧困を助長し、
さらには日本におけるモラルハザードまで巻き起こしている。

あんまり安いものばかり買っていてはだめですな。
そう思いました。

それにしても、ここでご紹介したのはホンの、ホンの一部。

すさまじいニセ食品の数々を知れば、
この蒸し暑さなど忘れてしまえそうですよ。








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2008年07月08日

水戦争






アマゾンのレビューを読んで、
腑に落ちることが多かった。

面白くないわけじゃないんだけど、退屈で散漫な印象がある。

水に関するデータや資料を集めた本。

しかし、水の問題から発展して、環境、食糧問題に筆が及んでおり、水についてがっちり考えたい人と思っていた人には肩透かしかも。

なんかね、いろんな会議をしているホールがあって、
そこを引っ張りまわされてるみたいな感じがするのよ。

あっちものぞいて、こっちものぞいて、みたいな感じ。

まあいいや。それでも、水問題の初心者である私にとっては
びっくりすることもたくさんあった。

書かれている情報を、本日はご紹介。

日本は水資源には恵まれていない国である。
しかし、私たちが日常で水不足を感じないのは、
他国から穀物を輸入しているからである。

他国で作られた穀物は、
その国の水資源を大量に消費して作られたものだ。
日本は、いわばバーチャルウォーターを
他国から買っているということなのだ。

地球上の水のうち、人間が利用しやすい淡水は
たったの0.3パーセントである。
人口発展に伴って、使用される量も増え、
水資源の枯渇が予想されている。

地球の自然環境を考えると、地球が養える人口は5億人程度。

地球温暖化も進み、アジアでは干ばつに見舞われる地域も多い。
治水、特に農業用水の管理は重要だ。

ヨーロッパでは、水道が民間事業になり、
水を商品として位置づけるという考え方が広まっている。

日本では、水の再利用を事業化する会社も多い。
そしてそれを投資対象にしたファンドも注目されている。

石油価格の高騰についても述べられており、
石油が市場商品から、
国家の戦略商品になりつつあるという指摘がされている。

(重要な話だが、このテーマの本では不要な気がする)

最後、今後日本がどのように水に向き合うかがまとめられている。

水資源の再利用を徹底する。地下水脈の保存。
水道、河川、井戸など、多元的な水源を利用する。

忘れてはいけないのは、
日本はバーチャルウォーターを他国に依存しているということだ。
国内で食料自給率をあげようとすると、
水不足に直面する可能性がある…。

なるほどなるほど。


疲れた〜。









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2008年07月07日

なぜ、エクゼクティブは書けないペンを捨てないのか?




どーでもええがな、よろしがな。
書けないペンを捨てなかったからといって
エグゼクティブという訳ではない。

だいたい、エグゼクティブを名乗るなら、
使い捨てのペンなんか使わなければよいのである。

とまあ、屁理屈はおいといて。

架空の会社の社長、社員、経営コンサルタントの会話で物語がすすみ、
ビジネス教訓が結論になるという構成の本。

ダビドという経営コンサルタントの所に、
エウジェニオ社長が訪れる。社長の会社は人材難らしい。

ダビドは言う。社員に、自分が必要だと思ってもらうことが大事。
お金の問題ではなく、
評価されていると感じられるようにすればよいとアドバイスする。

また、新人のウーゴ君はこんな相談を持ちかける。
どうすればより評価されるでしょうか。

ウーゴ君は、指示を受けると最初に、
「でも…、ただ…」と言ってしまう。
それでは、言い訳ばかりしている人間に見えてしまう。

とりあえず仕事に取り組んで、「できました!」と言えば
ウーゴ君も、上司もストレスから解放される。

エグゼクティブの義務は、
「部下がよいマネジメントを受ける権利」を守ることだ。

そして、よいマネジメントに恵まれた部下は、
「意欲的に働く権利」を行使すればよい。

いやあ、正しいんだけどいまいち面白くない。退屈。

前作、なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか? では、
朝礼に使えそうなたとえ話がたくさんあったんだけど、
今回のはいまいちまとまってない気がするなあ。

いや、悪くはないんですよ。悪くはないけど…。

で、表題の、エグゼクティブはなぜ書けないペンを捨てないのか、
というのが、唯一前回らしいかわいいおとぎ話風になっている。
 
ある男性が(多分作者のこと)書けないペンを捨てようとした。
すると、娘がそれを欲しいという。

変わったことをするものだと思って娘に渡すと、
娘はそのペンで紺色の厚紙に字を書いた。
それがへこんで、白い文字を書いたみたいに見える。

不要だと思っていたものにも、意外な使い道があるものである。


手軽に読めるビジネス書をお探しの方に。
新人の方に渡してあげるのもいいかもしれません。








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ファイブ くさか里樹







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2008年07月04日

サザエさんの東京物語




漫画、サザエさんの作者、
長谷川町子さんの妹が書いたエッセイ。

サザエさんができるまでのこと、長谷川家の様子など、
生き生き語られており、とても楽しい。

庶民の生活を描いたサザエさん。
明るくておっちょこちょいで、皆に愛されるキャラクターです。

しかし、作者の町子さんは、
「『いじわるばあさん』の方が気楽に描けるのよ。
私の地のままでいいんだもの」
と言っていたそうだ。

実際、町子さんは内弁慶だった。
結婚しなかったことを不幸だといわれたことがあるが、
著者は違うという。

家族の中でわがまま放題で、自由に生きられたことが
町子さんにとっては幸せだったのではないか、と。

長谷川家は母と、まり子さん、町子さん、著者という女所帯。
父親が早くに亡くなり、生まれ故郷の福岡から
親戚を頼って東京に出てきます。

母は、3人の娘を嫁がせることがよいことだとは考えていなかった。
大黒柱を亡くして、途方に暮れた経験から、
娘たちには自立の道を歩ませようとしたみたいです。

町子さんの才能を認めた母は、
のらくろの作者、田河水泡氏に強引に弟子入りさせる。

紹介者もないまま、娘一人で行かせるのだから、
町子さんの母も相当愉快というか、行動力のある人だと思う。

戦争が始まり、いったんは福岡に疎開する一家。
そこで、町子さんは新聞紙上でサザエさんの連載を始める。

長谷川母の本領が発揮されるのは、戦争が終わってからのことだ。
戦後、紙が不足している世の中で、
町子さんが描いたサザエさんを出版しようと決めた長谷川母。

母は、福岡から東京に出るまでの汽車の中で、
紙問屋さんや印刷屋さんと知り合いになり、
出版のノウハウを学んだ。

戦後の混乱する汽車の中である。
そのバイタリティに恐れ入る。

最初に出したサザエさんは売れず、返品の山。
なんでも、本屋の棚に収まらないサイズにしてしまったそうで、
不評をこうむったのだそうだ。

しかし、めげずに第二巻を発行。これの人気が出て在庫ははけ、
さらに朝日新聞での連載も決まった。
かくして、国民的人気漫画、サザエさんは誕生した。

町子さんが旅行に行って財布を忘れる話。
ガキ大将で、皆を困らせた話。おかしくて笑ってしまう。

文章も上品でユーモアがあり、落ち着いて安心して読める。

カバーの萌黄色がまた素敵。

週末のリラックスタイムにはぴったりの一冊。






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2008年07月03日

実録!!コンビニバイト日誌





コミックエッセイ。
こういう本って女性向けが多いと思うんだけど、
これはどっちかというと男性向けじゃないかな。
著者も男性だし。

コンビニバイト歴10年のかとうとおる君
(会ったこともないのになぜか君づけで呼びたくなる)が、
コンビニで起きるいろんな出来事を一コマ漫画で描いています。

なんかね、じわじわくる。
どうってことのない日々の一コマなんだけど、
若い頃にアルバイトをしていたときのことをいろいろ思い出す。

皆が気軽に立ち寄るコンビニ。
それだけに、やってくる人も多種多様。

手動のドアの前で立ち尽くすおばあちゃん。
自動ドアじゃないですから。

いつも全く同じ服の男性。破れたジーンズに破れたシャツ。
唯一変わっていくのはその破れが大きくなっていること。

血走った眼でサンドイッチを買い、
外に出るとすぐそれにかぶりつくOLさん。

彼女はいつしか「野獣OL」と呼ばれるように…。
(そうそう、変わった常連さんってのはいるもんで、
自然にあだ名がついたりしますよね)

アダルト雑誌とTV情報誌を交互に立ち読みする男性を発見。
かとう君は、男性はアイドルの顔をTV情報誌で見て、
その後アダルト雑誌の裸の写真と脳内合成させているのでは、
と推理する。

こうやって読んでると、私もコンビニにはよく行くんだけど、
店員さんには見られてるもんなんだな、と改めて思いました。

たとえばレジで、こんな会話をする二人もいるらしい。

作業服を着たおじさん二人。小銭を出す、出さないの会話で
一人が、

「オレが出すよ〜。
オレ、『小銭のナベちゃん』って呼ばれてるの」。

ほほえましいけどなんか情けないよなあ、そのあだ名。

そんなお客さんを、店員さんはやさしく見守ってくれています。

菓子パンばかり買う女性の健康を心配し、
アダルト雑誌を買うのに虚勢を張る男性に共感し、
ワンカップを買ってその場で飲んじゃう男性の
世間話におつきあい…。

いつもありがとう!全国のかとう君!

コンビニでのアルバイト経験がある方なら、
きっと笑える場面がたくさんあるはず。

かばんに入れておいて、ソファにぽんと置いておいて、
ちょっとした時に読んで笑える一冊。

コンビニに行くのが楽しみになるかも。







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