一応小説としたけど、
文学としては別にどうってことはない。
というより、出来が悪いと言ったほうが正しい。
キャラクターは紋切り型、状況説明のための台詞が多く、
リアリティはない。
アマゾンの説明書きには
「科学的に検証した完全シミュレーション・ストーリー」とある。
なるほど。
人間を描く、とかそんなんと違います。
鳥インフルエンザが人間に感染し、
パンデミック(ある感染症が爆発的に流行すること)を巻き起こす、
パニック小説みたいな感じのものでした。
東南アジアの諸国では、鶏が貴重なタンパク源である。
多くの家で飼育されている。
鳥インフルエンザが人に感染する事例は1997年、香港で起こった。
以来各国の政府は対応に追われてきたが、
鶏が貴重なタンパク源である東南アジアの諸国では、
鶏を駆逐するのは難しい。
2007年、東南アジアの架空の国、
ゲマイン共和国で鳥インフルエンザの大流行が起こる。
中でも、強毒性と言われるH5N1型のものが人から人へ感染する。
日本でも、心ある関係者が政府に働きかけてはいたが、
対策は十分ではなかった。
空港で検査、ウイルスが日本へ入るのを阻止しようとするが、
大量の人の流れを止めるのは実質的に不可能である。
商社の若者、雑貨店の店主がそれぞれウイルスに感染しており、
とうとう鳥インフルエンザウイルスは日本に上陸した。
このウイルスは、潜伏期のうちでも体外に排出される。
つまり、症状が出ていない、元気な状態に見えても、
感染者からウイルスが「出ている」わけだ。
うわー、めちゃくちゃでんがな。
しかも、咳などから空気感染するため、大量の感染者が出る。
新型なので免疫を持っている人間もいない。
病院は下痢、嘔吐、喀血の患者たちがあふれるが、
薬の備蓄もなくなすすべがない。
感染力の強いウイルスは、入院患者たちにもたちまちのうちに入り込んだ。
人々は家にこもることになり、
食料の不足にも悩まされることになった。
日本中に大流行したウイルスにより、実に120万人が犠牲になったのである…。
病院の医師、空港の検査官、行政に関わる人、一般市民。
これらの登場人物の目を通してパニックが描かれている。
最後も救いようのないもので、読んでいて空恐ろしくなる。
著者は研究者の方だそうだ。小説家ではない。
この事態をわかりやすくするために
小説という手法を使ったんだろう。
登場人物にはリアリティはないが、物語はリアルで恐ろしい。
一読されてみても損はない。
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