漫画、サザエさんの作者、
長谷川町子さんの妹が書いたエッセイ。
サザエさんができるまでのこと、長谷川家の様子など、
生き生き語られており、とても楽しい。
庶民の生活を描いたサザエさん。
明るくておっちょこちょいで、皆に愛されるキャラクターです。
しかし、作者の町子さんは、
「『いじわるばあさん』の方が気楽に描けるのよ。
私の地のままでいいんだもの」
と言っていたそうだ。
実際、町子さんは内弁慶だった。
結婚しなかったことを不幸だといわれたことがあるが、
著者は違うという。
家族の中でわがまま放題で、自由に生きられたことが
町子さんにとっては幸せだったのではないか、と。
長谷川家は母と、まり子さん、町子さん、著者という女所帯。
父親が早くに亡くなり、生まれ故郷の福岡から
親戚を頼って東京に出てきます。
母は、3人の娘を嫁がせることがよいことだとは考えていなかった。
大黒柱を亡くして、途方に暮れた経験から、
娘たちには自立の道を歩ませようとしたみたいです。
町子さんの才能を認めた母は、
のらくろの作者、田河水泡氏に強引に弟子入りさせる。
紹介者もないまま、娘一人で行かせるのだから、
町子さんの母も相当愉快というか、行動力のある人だと思う。
戦争が始まり、いったんは福岡に疎開する一家。
そこで、町子さんは新聞紙上でサザエさんの連載を始める。
長谷川母の本領が発揮されるのは、戦争が終わってからのことだ。
戦後、紙が不足している世の中で、
町子さんが描いたサザエさんを出版しようと決めた長谷川母。
母は、福岡から東京に出るまでの汽車の中で、
紙問屋さんや印刷屋さんと知り合いになり、
出版のノウハウを学んだ。
戦後の混乱する汽車の中である。
そのバイタリティに恐れ入る。
最初に出したサザエさんは売れず、返品の山。
なんでも、本屋の棚に収まらないサイズにしてしまったそうで、
不評をこうむったのだそうだ。
しかし、めげずに第二巻を発行。これの人気が出て在庫ははけ、
さらに朝日新聞での連載も決まった。
かくして、国民的人気漫画、サザエさんは誕生した。
町子さんが旅行に行って財布を忘れる話。
ガキ大将で、皆を困らせた話。おかしくて笑ってしまう。
文章も上品でユーモアがあり、落ち着いて安心して読める。
カバーの萌黄色がまた素敵。
週末のリラックスタイムにはぴったりの一冊。
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