児童書。
イギリスの私立探偵が、
読書嫌いの甥っ子のために書いたお話なのだそうだ。
構成にやや難があるか。いや、訳が悪いのかな?
最初はちょっと退屈、と私は感じました。
だけど、中盤以降はどんどん引きこまれていく。
ジェームズは12歳。ジェームズのママは太っていて、
付き合っている男は最悪だ。
そのママのことをからかった女の子を突き飛ばして、
彼は学校を退学になってしまう。
その後、ママは医者に止められているのに酒を飲んで、
そのまま死んでしまう。
たった一人の妹のローレンとも離ればなれになり、
孤児院に収容されるジェームズ。
不良グループと仲良くなり、ビールを盗んだことで逮捕され、
不思議な施設に送らることに。
そこはチェラブの訓練所だった。
チェラブとは、子供のスパイのこと。
英国の立派な工作員養成機関である。
名前を決めた人間が、不慮の死を遂げたので
それがどういう意味なのかはわからない。
ヘルメットをかぶった天使が銃をかまえているのが
チェラブのシンボルである。
これ、かわいいの。
ジェームズはそこでチェラブの一員となるべく訓練を受ける。
最初は苦手な水泳が壁になる。
教官のエイミーの親切な指導のもと、悪戦苦闘する。
なんとか水泳もマスターし、地獄の基礎訓練へ。
鬼のような教官にしごかれ、語学、格闘技、サバイバル術などを
徹底してたたきこまれる。
この過程が長い。
んだけど、子供が読んだらわくわくするのかな。
ペアになる女の子、ケリーは空手の名人で、
彼女とのやり取りも面白い。
地獄の基礎訓練を終えたジェームズは見事、
チェラブの一員として、初のミッションに参加することになる。
水泳を教えてくれたエイミーと組んで、
ヒッピーのコミュニティに潜入するジェームズ。
外部の人間も訪れるフェスティバルの日に、
テロが行われるというのだ…。
甥っ子のために書いた本というが、
このミッションのくだりで書かれていることは、
著者から甥へのメッセージなのだろうと思う。
テロを行おうとしたのは環境を守る団体である。
彼らは、資本主義の矛盾を真剣に憂えている。
彼らに近しいジェームズは、テロリスト側にも心を寄せてしまう。
テロを行う側にも主張はあること。彼らも人間であること。
それは、このテロの多い時代に生きる子供たちへの暗黙の提示である。
しかし、チェラブはテロを阻止し、犯人は捕まる。
テロはやはりいけない。
大勢の人を殺すのは間違っている、と、チェラブの教官は説く。
これも、著者が甥っ子に伝えたいメッセージであることは明らかだ。
相反することだが、これがエンターテイメントの中で語られると
無理なく子供の心に届く。
ミッションまでが長いかな、というのが感想。
あと、やっぱり訳がよくない。日本語のリズムが単調で飽きる。
だけど、大人たちを相手に一歩も引かないチェラブの子供たちが
痛快でかわいらしいのも確か。
私が12歳で読んでいたら、けっこうはまっていたかもしれないな。
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