2004年度のピュリツァー賞を受賞した作品。
ベトナム戦争中、アメリカ軍の中に
タイガーフォースという部隊があった。
少人数でジャングルに入り込み、索敵、ゲリラの殲滅を任務とする。
ベトナムのソンヴェ渓谷に、タイガーフォースは降り立った。
ゲリラをあぶりだすため、
米軍はソンヴェの住民たちを強制移住させようとした。
しかし、土地に愛着を持つ農民たちはなかなか離れようとしない。
いつしか、タイガーフォースの役割は残っている村人を
「説得」することになっていた。
熱帯の蒸し風呂ような気候、いつ襲ってくるとも知れぬゲリラ、
蛭、サソリ。兵士たちの消耗は続く。
農民たちは、移住先への列から逃れて村に戻ってくる。
兵士たちは、「ベトナム人は自分たちとはちがう」と考えていた。
人間ではない。サルと呼ぶ兵士もいる。
言うことを聞かず、農作業を続ける村民に後ろから発砲する。
戻ってこられないように家を焼く。
家の中に人がいてもかまわず
火をつける。
老人を殴り、頭にライフルを突きつけて撃ち殺す。
ソンヴェ渓谷から戻ったタイガーフォースは、
わずかな休みを与えられただけで、
再びチュ−ライで戦うことを命じられた。
そこにはゲリラが待ち構えていた。
木の上からタイガーたちを狙い、狙撃してくる。
仲間が倒れる。
民間人を殺すのが兵隊の役割ではない。
そう説く兵士も中にはいた。
残虐行為に抵抗を示す人間もいた。
しかし、疲弊がタイガーたちを消耗させていく。
村を襲い、村民を殺し、
地下壕に逃げ込んだ人間を手榴弾で焼き殺し、
死んだ人間の耳を首飾りにして
「記念品」にする兵士も出てきた。
乳児の首をナイフで切り落とした兵もいた。
戦後、CID(米軍犯罪捜査司令部)のグスタフは、
乳児殺害の告発書を手に取る。
タイガーフォースに所属していた兵士たちに面会し、
戦争犯罪を暴こうとする。
調査の中で兵士に面会したグスタフは、
彼らが皆一様に過去の犯罪におびえ、精神を病んでいることを知る。
「彼らの心は、スナップ写真を撮っていたのだ。
家族と団欒しているとき、
血まみれのスナップ写真が目の前に現れる」
兵士たち何人かの生まれ、育ちも記されており、
彼らがどんな人生を歩んで
ベトナムに赴いたかが丁寧に書かれている。
その後の不幸な人生にも筆が及んでいる。
アマゾンのレビューによると、翻訳があまりうまくないらしい。
軍の階級があいまいだそうだ。
また、人の名前がごちゃごちゃしてわかりにくいというのは
私も感じた。
しかし、数十年も前のことを、
丁寧に資料を探して書ききったという点においては
力作といわざるを得ない。
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