2008年08月22日

スカイ・クロラ





この夏、押井守監督が映画化したことで話題になった小説。

作品中で、作者はスピーカーのことを「スピーカ」、
グラマーのことを「グラマ」と表記している。
クロラとはクローラー。
空を這うもの、泳ぐもの、と受け取ればいいか。

5章で構成されている小説なんだけど、最初は読むのがつらい。

主人公、カンナミの一人称で語られる小説で、
核心がよくわからないのだ。

度数の合わないめがねをかけて世界を見ているような感じ。
見えてるんだけど、焦点がぼやけてる感じがずっと続く。

カンナミがある基地に移動してくるところから物語は始まる。

同僚のトキノはビールばかり飲んでいる。
上司はクサナギといい、感情が欠落したかのように
冷静な女性である。

カンナミたちの仕事は、戦闘機で基地から発進し、飛行すること。
敵に遭遇し、戦闘を行うこともある。

カンナミは人生に飽き飽きしている。
退屈しのぎに生きているという。

右手が時々人を殺す(ミサイルのスイッチを押すこと)が、
実感はない。
そもそも、人は間接的にいつも人殺しをしているのではないか、
と思う。

戦闘で同僚の一人を失うが、基地の人間は動揺はしない。
カンナミが配属されたのだって、
死んだクリタというパイロットの補充なのだ。

文章が散文的で、飛行の様子、戦闘の描写が生き生きしている。
空の美しさがよく書かれている。

だけど、カンナミたちの背景、
なぜそんな戦争をしてるのかはわからない。
もやもやが続くまま、ページをめくる。

カンナミたちはまた基地を移動した。
クサナギもトキノも一緒だ。
そこでカンナミはミツヤという女性に出会う。

ミツヤは、クリタというパイロットが死んだのは
クサナギのせいであるという。

ある夜、カンナミの部屋を訪れたミツヤが、真相を語りだす。

これが最終章なのだけど、ここでやっと核心が明らかになる。

彼らはある遺伝子制御剤の開発段階で生まれた新しい人間だ。
キルドレという薬の名前がそのまま、
彼らの名称として使われている。

彼らは永遠に子供で、死ぬことがない。
戦闘機に乗ることを仕事にしている。

老いて死ぬことができない。なのに死はいつもとなりにある。
クサナギはクリタをその運命から解放したのだと
カンナミは悟る。

そして、クサナギ自身も死を願っていることを知り、
カンナミは…。


文章が詩のようで、これは好き嫌いがわかれるかも。
でも、空の美しさ、戦闘機に乗っているような興奮は
確かに伝わってくる。

世界観が最後までわからないので、
ややいらいらするかもしれないが、
主人公の倦怠と空の描写に酔うことができれば
すばらしくのめりこめる小説だと思う。








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posted by momo at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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