アメリカは多様性の国である、と著者は言う。
さまざまな事象に、
さまざまなカウンター・ディスコース(対抗言説)があると言う。
著者は慶應義塾大学の教授で、文化人類学、アメリカ研究を専門にしている。
その著者が、アメリカにあるコミュニティを訪れ、レポートしたもの。
なるべく平易な文を心がけた、と書いているが、
私の頭にはやや難解な部分もあった。
特に、最後のまとめなどは難しく、
必死で読んだものの、しっかり理解できたとは言いづらい。
しかしながら、アメリカに存在する特徴的な、
著者の言葉を借りれば
「ストーリー性のある」コミュニティのレポートは、
知的で興味深い。
ここで取り上げられているコミュニティは9つ。
そのうちのいくつかをご紹介してみます。
・ブルダホフ ニューヨーク州
宗教をベースにした共同生活を営むコミュニティ。
アーミッシュに似ている部分がある。
しかし、アーミッシュが近代化を拒否しているのに対し、
ブルダホフはそれをうまく取り入れている。
敷地内におもちゃ工場を持ち、
日本式経営を取り入れて利益をあげている。
中絶、同性愛、死刑には反対。
保守派であるが、他の宗教には寛容な一面もある。
・コト・デ・カザ カリフォルニア州
コト・デ・カザはゲーテッド・コミュニティである。
そこに入るには、通常は住人の招待状が必要である。
町の入り口の門には警備員が24時間常駐している。
住人の平均年収は14万ドル(1500万円)。
平均年齢は35歳。若い。
セキュリティ希求の気運から生まれた形式であるが、
それが確実に担保されているとは言い難い。
最近では、ゲートの中にさらにゲートを持つコミュニティもあると言う。
・メガチャーチ アリゾナ州
アリゾナ州にあるラディアント教会の敷地は11万平方メートル。
東京ドーム約2.5個分だ。
教会自体はコンベンションセンターのような建物で、
宗教色があまり強くない。
ロックコンサートのような牧師の説教が信者をひきつける。
多数のスタッフを抱え、週の予算は8万ドル(900万円)。
そのほとんどを寄付でまかなう。
「イエスは資本主義者だったか?」という批判の声もあるが、
「イエスの教えをまず知ってもらわねば」と牧師は反論する。
他にも、太平洋に浮かぶアメリカ領サモア、刑務所の街、
ウォルト・ディズニーが作った街などもレポートされている。
たくさんの価値観があり、
それらがそれぞれ強烈な自己主張をしているように思える。
その強さがアメリカの原動力なのだな、と理解ができる一冊。
良書。
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