2008年10月08日

のぼうの城






遅ればせながら、やっと読みました。

表紙には、青と黒を背景に男の横顔が描かれている。
イラストは漫画家のオノナツメ氏。

およそ時代小説らしからぬ装丁の本書、
売れに売れているらしい。

物語は豊臣秀吉の備中高松城攻めから始まる。

秀吉がこの時とった戦法は水攻め。
人工で作った堤を決壊させ、城下を水で沈めるというものだ。

それを見守る石田三成は、その華麗さにいつかは自分も、
との思いを強くする。

その後信長が討たれ、秀吉は天下統一に乗り出す。
八年かけて九州と四国を平定し、
いよいよ北条一族の勢力下にある関東にその手をかけた。

北条氏の配下にある城を押さえよ。
三成には武州忍城平定の命令が下された。

忍城には変わった男がいた。当主成田氏長のいとこ、長親だ。
のぼう様と呼ばれている。でくのぼうの略だ。

この長親、農作業が大好きだ。
百姓の手伝いをしたくてたまらないが、
体ばかり大きくて不器用な長親の手伝いは邪魔なだけ。
子供にまで「お侍、まじめにやれ」といわれる始末だ。

三成の大群が忍城を囲んだとき、
城内では降伏するものと話し合いができていた。
戦っても負けるのだ。

だがしかし、三成の送った使者は無礼千万、
のぼうこと長親は開戦を宣言する。

戦う武士たちの個性がすばらしく、
この作品を生き生きとさせている。

気性が荒いが女子供にめっぽう優しい和泉、
魔人と恐れられるほどの槍の達人丹波、
才走った、しかしどこか愛嬌のある靭負。

そして、男たちに負けないほどの腕を持つ甲斐姫の存在が鮮やか。

最初の攻撃を見事撃退した忍城を、
三成は水攻めにすることにした。
百姓を駆り出して堤を築く三成。忍城は絶体絶命だ。

そう、そこでのぼうこと長親が動くのである。
単身で三成軍の前に進み出て、自ら討たれようとする。

軽んじられながらも愛されている長親。
彼が討たれたら百姓たちは黙ってはいまい。
長親を乗せた小船が、堤によってできた湖を走る。
三成は長親を射よと命じた…。

良質のエンターテイメント。
司馬遼太郎の歴史小説と比較しているレビューがアマゾンにあったが、
そもそもそれは間違いである。
目指すところが違う。

司馬遼太郎もすばらしいが、
現代にはこういう小説の方がマッチしていると私は思う。

壮大な歴史ロマンよりも、
弱者の意地、誇り、一矢報いる様の方が、
共感を寄せやすいのではないか。

スカッとする小説を探している方、そんな方にぜひ。









こちらのブログがあなたのメールBOXに届きます。
平日日刊・メルマガだけの前フリも好評です♪
まぐ2.JPG

★blogランキングに参加しています★
posted by momo at 06:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/107764666

この記事へのトラックバック