2010年07月05日

ハビビな人々―アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽しむ」方法







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ハビビな人々―アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽し
む」方法  中山 茂大
¥ 1,650   文藝春秋 (2010/02)

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「日本人と中国人の違いを認識している人がどれだけいるか」

第一のグループ・日中の違いをある程度認識している。著者の主
観であるが、こんな人は世界中でも0.1パーセントくらいしかいな
いのではないか。教養ある人たち。

第二のグループ・日本と中国が別の国であると認識しているが、
新興国に関する知識はない。9.9パーセント。これもエリート。

第三のグループ・日本の名前は知っているが、中国の一部くらい
の認識しかない。20パーセント。都市住まい、中、下層の人たち。

第四のグループ。圧倒的多数。識字率はゼロパーセントに近い。
世界地図など数えるほどしか見ていない。身の周りのことで精一
杯。日本など知らなくても生活は成り立つのでそれでよい。

著者はバックパッカーとして世界を歩いた。貧困層に多く接し、
彼らの暮らしぶりをまとめている。文章は軽妙。面白く読める部
分多し。

彼が書きたいことは、日本の考え方が世界スタンダードではない
ということと、日本は信じられないくらいラッキーな、恵まれた
国だということ。

イスラム教が信じられている地域では、ぼったくりが普通だ。富
める者が貧しい者に与えるのは義務だからである。

パキスタンで、電車で駅に着いた著者はマクドナルドの店員らし
き人を窓の外に見た。やや粗雑なメニューも手にしている。ビッ
クマックを注文すると、普通のハンバーガーを手渡された。

後で気づいたのだが、彼はマクドナルドの店員ではなかったのだ。
メニューはカラーコピー。観光客から注文を受けて、店で安いも
のを買い、料金を騙し取る。詐欺師だったのだ。

イスラム圏内ではこんなことが普通にある。店でも外国人には
ぼったくり値段が提示されるのが当たり前。

だがそれは、彼らの仲間意識のなせる技なのである。

ハビビという言葉、タイトルにも使われているこの言葉は、アラ
ビア語で親しい人という意味だ。仲間を大事にする彼らは、異国
の民に親切に接する義務がないと考えているらしい。

他者を出し抜く頭の良さは、彼らにとってたたえるべきことなの
である。日本のように、誰にも親切というのは世界的に見て特殊。

農耕で生きてきた民族は、未来を見、努力勤勉が報われると考え
られる。だが遊牧民は、今このときこそがすべてである。

仲間意識、継続性のなさが近代化を阻んでいるといっても過言で
はない。だが彼らは、必死で死ぬまで働こうとは思わず、金はな
くてもなぜか悠々自適の日々を過ごしている。何が幸せであるか、
答えなどないのである。


タイトルからして珍事件のレポート集かな、と思ったのだけど、
けっこう真面目な感じの本だった。でも面白かった。

納期を真面目に守るのは日本人くらいなんだってね。アテネオリ
ンピックの開会式、会場の工事が間に合わず、結局屋根なしのま
ま開会式を迎えたんだって。

著者も書いている通り、日本は幸せで、とても恵まれていると思
う。日本人の努力、勤勉があってこそのことだろう。同時に、悲
壮感、悲観的という性質もあって、日本人はときどきそれに追い
つめられてしまう。

だけど世界にはもっと悲惨な人たちがいて、しかもその人たちは
自分を不幸だと思ってはいない。

そんな人たちをヘンに尊敬したり、崇め奉るつもりはないけど、
そういう生き方もアリだと思うと少しだけ胸がほっとする。

筆の温度、視点の冷静さも○。
















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posted by momo at 14:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 世間話、時事ネタ系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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