2010年10月31日

できれば機嫌よく生きたい






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できれば機嫌よく生きたい  岸本 葉子
¥ 1,470  中央公論新社 (2010/09)

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エッセイ。がんをわずらったことがおありなのだそうだ。体のこ
と、暮らしのこと、本のこと。ほっと優しく息抜きをするような、
できるようなエッセイだった。

・がんの告知を受けて、「がんから始まる」という本を書いたの
が七年前。月日は過ぎたが、がんとのかかわりが一切絶たれたと
いうわけではない、あやふやな日々。

再発の懸念は消えない。レントゲンに影が見つかったときは、胸
に釘が差し込まれるような思いがした。漢方と食事療法も続けて
いる。再発の防止になっているかもしれないと思うと、やめる勇
気が持てないでいる。

話は変わって先日マンションのローンを組んだ。老いた父のため
に、部屋を買うことにしたのだ。返済期間は20年。

不思議なものだ。つい最近まで一年先のことすら考えられはしな
かった。それなのに、20年も先のことを考えて、私は話をしてい
る。心の回復が実感できた出来事だった。

・近所の化粧品屋を訪れたとき。お店のお姉さまに「シミが増え
たわね」と言われた。言いにくいことをずばり、言ってくれるの
は正直な人だと考えた。

お姉さまのすすめる品を、いくつか買って帰途に着く。

後日、友人と話をする。ほとんどの人が、化粧品は近所の店です
すめられたものを使っているのだと語った。

情報過多の時代でも、頼りになるのは昔風の人間関係だったりす
るみたいだ。

・書斎のラグに紅茶をこぼしてしまった。ベージュで毛足が長い
ものだ。

前に読んだ、おばあちゃんの知恵の本を思い出す。みかんの皮を
使うとよいと書いてあった。さっそくみかんの皮でラグをこすっ
てみるが、汁で黄色く染まってしまった。

泣きそうになる。しかしその後、洗剤を含ませた布で拭くと、紅
茶のしみは赤ん坊の手の平くらいに薄くなっていた。

場合によって違うとは思うけど、とりあえずこのたびはみかんに
助けられたみたいだ。

・何のために生きているのかと考えたことがある。就職をしたと
き、友が結婚をしたとき、仕事に意義を見出せなくなったとき。

しかしがんになってみて、「生きたい」と願う本能を目の当たり
にすることとなった。そこに「何のため」という理由づけは一切
必要ないのであった。

若くて健康なうちは、生きることに付加価値を求めがち。だが本
当は、生きていること自体が極めて希な、価値のあるものなのだ。


装丁が素敵。文章も上品で、すごくのんびりした気持ちになれた。

ゴミを捨てるために悪戦苦闘なさっていたり、干物が好きだった
り、家電製品を値切ってみたり。

普通の生活がきらっと光る、こういうのがエッセイを読む醍醐味
だよねえ。おいしい和菓子をいただいたような気分。














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posted by momo at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 世間話、時事ネタ系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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