夫に、スーパーでバイトでもすれば、
と言われて激怒する妻。
「何よ!店員の仕事なんか簡単だと思って!
どんなにがんばっても私にはできなかったんだから!」
客が来ると笑顔で接客し、レジを打ち、お金をもらう。
もらったお金をレジにしまい、おつりを渡す。
さらに、ちょこっとした質問なんかにも答えなくてはいけない。
同時にたくさんのことをできない彼女にとっては、
とても大変な仕事だ。
そんな、一見普通、でも、ちょっと人と違う行動をする人。
周囲の空気を読めず、暗黙の了解というものが通じず、
ひとつのことをやりだすとそれに熱中してしまう人。
上記のような症状を持つ、高機能自閉症/アスペルガー症
候群といわれる脳を持つ女性について、夫の視点で書いた本。
私はこの病気、いや、障害というべきなんだろうか、
についてはぜんぜん知識がなかった。
どこか行きたい所ある?週末に、
車で出かけるときにそう声をかけると、
「どこかってどこ?具体的に3箇所上げてみて」
と答えが返ってくる。
(言葉についてはとても厳密に意味を確かめるんだそうです。)
電話が突然鳴るのには対応できない。
情報を仕入れて整理することに長けていて、
夫の趣味であるモトクロスに関しては今では夫以上に物知りだ。
読んでいると、ちょっと変わった人だなあ、
このくらいなら周りにもいそう、
(もしくは自分にもあてはまるかも)というところが多々ある。
たとえば、予定が狂うのがいや、というのがあるんだけど、
これは私にもあてはまる。
ただ、予定が狂ったときにパニックになったり、
もとの予定に執拗にこだわるというのがやっぱりちょっと違うと感じる。
全体的に、表現が軽く、ユーモアにあふれ、
読みやすくはしてあるんだけど、やっぱりところどころで、
なんというかしみじみと「異星人っぷり」があふれ出してくるのがすごい。
人と違うことで、社会に出てもうまくいかず、
子供時代は問題児扱いされた彼女。
結婚生活という、初めての他人との生活で
アルコール依存症になってしまう、
「暗黒の時代」についても記述されています。
持ち前の好奇心を生かして、ネットなどで情報を集め、
自分が高機能自閉症だと自覚したのが30代半ばでした。
人とうまく会話ができないので、
ワイドショーなどを見て軽い会話のやり方を学ぼうとする。
電話での即時になされる会話は難しいので、Eメール、
ファックスを使ってコミュニケーションを図る。
ウツになったときは
ガーゼの毛布に包まって寝転がってしまうけど、
日々カイゼンに努力している姿には圧倒されます。
読んでいて、夫の視点で書かれているので、
妻をそこまで異星人扱いするのはどうかな、と思う。
でもあとがきを読んで納得しました。
実際に書いたのは妻、自閉症を持つ本人だったんです。
強烈な個性を持つ、印象的な一冊でした。
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