「欧米の戦争・戦略関係の大学、
陸軍士官学校などでは必ず文献リストのトップに挙げられる名著」
(アマゾンの読者レビューより)
翻訳本としては長い間絶版状態が続いていました。
内容も深く、また読み応えあり、
文庫にしては飛びぬけて高い値段ですが、
それだけの価値のある一冊です。
戦争というと、どうしても戦車とか、戦闘機とか、
兵士の勇敢さがクローズアップされがちです。
でも、それらをスムーズに機能させるのは、兵站、
つまり「軍隊を動かし、かつ軍隊に補給する実際的方法」
がうまくいくのが最低条件。
16世紀からノルマンディー上陸作戦まで、
ヨーロッパで行われた軍事活動を、補給の面から分析しています。
16世紀のヨーロッパの軍隊は、ものすごい大集団だったんですって。
家のない人たちの集まりで、
兵士、兵士の家族、召使、商人などが集団で動いていた。
オランダのある伯爵には、942台の荷馬車をつれて、
そのうち129台が、幕僚とその荷物だったのだとか。
なんだかのんびりしてますな。
その当時、補給部隊などを軍隊が持つことはなく、
基本的にはその場で調達するのが常。
だから、集団である軍隊が一箇所にとどまることができず、
食料と馬のえさを求めて、
戦場を移動するのが当時の軍隊行動の基本だったんだって。
それにしても、この馬のえさというのがクセモノらしいですね。
たくさん食べるし、集団だし、なくてはならないし。
そんな中で、ナポレオンは軍需品や、
食料の倉庫をつくり、輸送隊を作った。
ただ、道路事情の悪さから、効果は今ひとつなかったみたい。
ナポレオンのロシア遠征の失敗はロシアの冬の寒さのせいと
世界史の授業では習いましたが、
実際には、
・ロシアの道路事情の悪さ
・物資輸送路としてあてにしていた川が浅すぎて、
補給がうまくいかなかった
など、補給面での失敗もあるようです。
でも、実際には現地調達がうまくいって、
それほど飢えはなかったみたいですが。
20世紀にはヒットラーがロシアに遠征していますが、
彼もロシアの道路事情には苦労させられたらしい。
ヒットラーの時代には、軍隊に自動車が登場しますが、
・タイヤが足りなかったこと
・ロシアで現地調達したガソリンが、
ドイツ軍の自動車には適さず、精製施設がさらに必要だったこと
上記の点で、自動車を生かしきれたとは言いがたいそうです。
戦争っていうのはつくづく、大規模な消費活動なんだと
実感させられる。
素人の私が読んでも、何の役にも立たないし、
理解もできてはいないと思うけど、大変知的で、
飽きない一冊でした。
お正月の長期休暇に、少し時間のある方はいかがでしょうか。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪

