2006年12月21日

補給戦―何が勝敗を決定するのか   




「欧米の戦争・戦略関係の大学、
陸軍士官学校などでは必ず文献リストのトップに挙げられる名著」
アマゾンの読者レビューより)

翻訳本としては長い間絶版状態が続いていました。
内容も深く、また読み応えあり、
文庫にしては飛びぬけて高い値段ですが、
それだけの価値のある一冊です。

戦争というと、どうしても戦車とか、戦闘機とか、
兵士の勇敢さがクローズアップされがちです。

でも、それらをスムーズに機能させるのは、兵站、
つまり「軍隊を動かし、かつ軍隊に補給する実際的方法」
がうまくいくのが最低条件。

16世紀からノルマンディー上陸作戦まで、
ヨーロッパで行われた軍事活動を、補給の面から分析しています。

16世紀のヨーロッパの軍隊は、ものすごい大集団だったんですって。

家のない人たちの集まりで、
兵士、兵士の家族、召使、商人などが集団で動いていた。

オランダのある伯爵には、942台の荷馬車をつれて、
そのうち129台が、幕僚とその荷物だったのだとか。
なんだかのんびりしてますな。

その当時、補給部隊などを軍隊が持つことはなく、
基本的にはその場で調達するのが常。

だから、集団である軍隊が一箇所にとどまることができず、
食料と馬のえさを求めて、
戦場を移動するのが当時の軍隊行動の基本だったんだって。

それにしても、この馬のえさというのがクセモノらしいですね。
たくさん食べるし、集団だし、なくてはならないし。

そんな中で、ナポレオンは軍需品や、
食料の倉庫をつくり、輸送隊を作った。
ただ、道路事情の悪さから、効果は今ひとつなかったみたい。

ナポレオンのロシア遠征の失敗はロシアの冬の寒さのせいと
世界史の授業では習いましたが、

実際には、
・ロシアの道路事情の悪さ
・物資輸送路としてあてにしていた川が浅すぎて、
 補給がうまくいかなかった

など、補給面での失敗もあるようです。
でも、実際には現地調達がうまくいって、
それほど飢えはなかったみたいですが。

20世紀にはヒットラーがロシアに遠征していますが、
彼もロシアの道路事情には苦労させられたらしい。

ヒットラーの時代には、軍隊に自動車が登場しますが、
・タイヤが足りなかったこと
・ロシアで現地調達したガソリンが、
 ドイツ軍の自動車には適さず、精製施設がさらに必要だったこと

上記の点で、自動車を生かしきれたとは言いがたいそうです。

戦争っていうのはつくづく、大規模な消費活動なんだと
実感させられる。

素人の私が読んでも、何の役にも立たないし、
理解もできてはいないと思うけど、大変知的で、
飽きない一冊でした。

お正月の長期休暇に、少し時間のある方はいかがでしょうか。




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posted by momo at 11:01| Comment(0) | TrackBack(0) | たまには教養系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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