舞台はスウェーデンの最北端の村、パヤラ村。
主人公の住んでいる地域は女性器の名前で呼ばれている。
それは、たくさん子供たちを生み育てている
女性たちをたたえるものだ。
下品で、強くて、個性の強い人たちに囲まれて育つ
少年の自伝的小説。
いくつものエピソードをつづっていく形になっています。
主人公はパヤラ村で生まれ、ニイラという友達と一緒に育った。
アルコール中毒の、暴力を振るう父を持つニイラの登場は、
鼻くそを食べるという強烈なもの。
ニイラと一緒に、地球の果て、中国へ行こうとする話。
小遣い欲しさにねずみの尻尾を集める話。
ニイラの祖母が死んだときの、親戚たちの醜い争い。
夏の結婚式。
ちょっと大人で、ませていて、おしゃれな女の子たち。
彼女たちにかまってもらいたくて、意地悪をして、
かえって嫌われてしまう幼い日。
子供のころの、今思い返せばこっけいで、
懐かしい気持ちを思い出すエピソードがたくさんです。
そんな少年期にさんぜんと輝いたのは、
一枚のレコードがもたらした音楽でした。
英語が読めなくて、
「ロスクンロール・ミュージッス」なんて
読んでしまったそれは、ビートルズのロックアルバム。
田舎の町ではラジオを聴くのも大変で、
ビートルズ聴きたさのあまり庭にアンテナをたてたりする。
なんというかね。
少年たちはいつも殴り合いをしていて、
主人公の父親は読書は毒だと思ってる。
男たちは密造酒を飲んで酔っ払い、時には無茶な飲み比べをする。
そんな環境の中、ビートルズの運んできた文化に
感電してしまう少年たちの気持ちが、
とてもとてもよく描かれている。
二人の少年は、へたくそなバンドを作ります。
そしてだんだん女性への興味も生まれるが、
女の子たちに常に上手をとられてばかり。
スウェーデンではベストセラーになった小説。
誰にも覚えがあることだもんなあ。
内容もさることながら、
日本人にはパヤラ村の独特の風習が背景にあるのが
とても新鮮です。
塩気の強いトナカイの干し肉をコーヒーに浸し、
さらにチーズを加え、唇に白砂糖をはさみ、
受け皿にそそいだコーヒーをすする。
結婚式のエピソードで紹介されるこの食事風景。
なんかおもしろいなあ!
今は観光地となりつつあるらしい
(もちろんこの本の影響で)
パヤラ村。
一度行ってみたくなること間違いなし。
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