第133回芥川賞受賞作。
主人公は27歳。タクシーの運転手をしている。
施設で育ち、今はアパートに住んでいて、
白湯子という女性と同棲している。
恋愛感情があるわけではなく、
白湯子が、以前勤めていた会社をやめたときに
転がり込んできたのだ。
肉体関係はあるが、白湯子は行為で感じることがない。
子供を死産して以来、不感症になったのだそうだ。
過去に、親戚から凄惨な虐待を受け、
山の中に埋められた主人公は、
白湯子とお互いに何も生み出さない関係を続けている。
冒頭は、主人公が若者に殴られるシーンから。
自分から挑発するようなことを言い、なぜだか殴られたがる彼。
他にもコーヒー缶を高いところから落とし、
潰れる様を見たがるなど、屈折した感情の表現が続く。
転換点となるのが、白湯子の怪我。
自暴自棄になっている白湯子は、日々飲み歩いているが、
そんな中、入院するほどの事故にあってしまう。
保険もない、お金がない彼女のために、
主人公は施設の職員に会いに行く。
白湯子のためにも、タクシーに乗る彼だが、
ある日タクシー強盗に遭遇する。
暴力を振るわれ、殺されるような思いをして、
恐怖を追い求めていた自分と、
その恐怖を乗り越えたい欲求がある自分に気が付く彼。
必死に生きるために逃げ出すが、
スピードを上げた車ごと、ガードレールに突っ込んでしまう。
事故から生き残り、やや光が見えたか、というエンディング。
それにしてもずーっと重い、暗い小説でした。
子供の頃受けた傷のため、人とうまく関係を結べない主人公。
母親を憎悪し、かつ自分にもその血が流れていることを
認められない白湯子。
お互いがお互いを「ましな人」と思ってるのがなんか切ない。
ただ、白湯子っていう名前はどうかな。
そんな名前を子供につける親がいるだろうか。
そこのところがちょっと気になったけど。
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