2007年04月16日

まほろ駅前多田便利軒




三浦しをんという作家さんは、
とてもおもしろい。
直木賞作家なんだけど、文学者というより
字を書く漫画家みたいだ。
ちょっと主流をはずれたような漫画にも詳しいみたいだし。

そんな三浦しをんさんの、直木賞受賞作を
やっとですが読みましたので、ご紹介させてください。

ああ、これ、もっと早く読めばよかった。
漫画大好きの私の感性にはぴったり、おもしろかったです。

架空の町、まほろ市が舞台。
東京と神奈川の県境にあり、主人公いわく「まるで国境の町」。

そんなまほろ市で、多田は便利屋を営んでいる。
そこにひょんなことから、
高校時代の同級生行天が転がり込んでくる。

高校時代は無口で親しい友人もいなかった行天。
その行天に、多田は負い目があった。
彼は小指を切断する事故にあったことがあるが、
その原因が多田にあったのだ。

行天の性格の破綻ぶりがいい。
「犯罪が目の前で行われたらどうする?」
「無視する」

一文無し、アルコール漬け、衝動的に暴力を振るう。
暴力を振るうのは、女性に危害を加える男にだけなんだけど、
その無神経ぶりが徹底してる。

そんな二人がいろいろな依頼を受け、
トラブルに巻き込まれながらすごす一年のお話。

塾帰りの小学生を送り迎えする仕事をする二人。
深夜にまで帰らない両親と、愛情に飢えた小学生。
子供に向かって、多田はこう言う。

「多分、両親からは
お前が求めている愛情を得られることはない。
でも、お前が大人になって、家庭を築くことはできる。」

冷たい現実が夢みたいなハッピーエンドになることはない。
でも、それなりに胸にぐっとくるエピソードがつづられている。

多田は子供を亡くし、結婚生活を破綻させた。
行天は親から虐待を受けたらしい過去がほのめかされている。

そんな二人が、少しずつ自分の傷に向き合うという物語だ。

売春婦のルルとハイシー、麻薬の売人星など、
個性的な登場人物もいい。

文句なく、理屈なしで楽しめるエンターテイメント小説。
これはおすすめです。



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posted by momo at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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