本を読むことは生活の一部であって、
食べることと同じ。
趣味なんていえるなまやさしいものではないんだ。
これが、タイトルの「シュミじゃないんだ」の意味。
直木賞作家である三浦しをんさんの読書録。
といっても、お利口な本をすすめているわけではなく、
この本ではいわゆるBL(ボーイズラブ)といわれる、
男性同士の恋愛を描いたマンガをひたすら論じている。
いやあ、それにしてもすごいなあ。
この人どれだけマンガ読んでるんだ?
膨大な読書量の中から、テーマにあった作家、
作品を紹介してくれている。
BLマンガというと、どうしても過激な性描写に目がいきがち。
おい、こんなの読んでいいのかよ、と
突っ込みたくなる絵柄の本がたくさんある。
しかし、しをんさんが求めるのはそんなエロ描写ではない。
そこに描かれている人間関係、
恋愛心理こそが彼女の欲しているものだ。
ジェラールとジャックという作品で、
トラウマを負った男と
貴族の少年の純愛を描いたよしながふみ。
どこかへ帰ること、帰属する場所をテーマに描き続ける
語シスコ。
友情と愛情の微妙なゆれを描く山田ユギ。
女の子の目線を通して、恋を失うつらさを語る紺野けい子。
BLというジャンルの中で、これこそは!という作品を
列挙してくれているので、
しをんさんの説明に惹かれたら、
(そして、男性同士の恋愛に嫌悪感がなければ)
読んでみる価値大。
それにしても、さすが、というのは権威に負けているようで
情けないのだが、さすが直木賞作家。
作品に対する考察と、それをミーハーな口調でありながら
丁寧に語る文章には感心させられる。
馳星周がデビュー前に書いていた
「バンドーに訊け!」という書評があるが、
それの中で、彼が自分が好きな本、
作品の傾向を一方向に定めていく様子がよくわかる。
救いのない暗黒の世界。
それを突きつめて、デビュー作の不夜城は誕生したのだそうだ。
本を読む、書評を書く、
好きな作品の傾向を知ることで創作へつながる。
作家誕生の裏をしりたければ、
案外書評本というのは面白いのかもしれないなあ。
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