もともと手つかずの荒地と
森が広がるだけだった江戸の土地。
そこを徳川家康は首都としました。
その際に、大阪から商人を連れてきて都を拓いたそうです。
建築資材の手配や職人たちの管理など、
すべて商人たちが行いました。
そして、幕府は謀反を起こさないという約束を取り付けた上で
町人の自治権を認めました。
町の管理は自分たちで行う。
そのために、町人たちはいろいろな知恵をこらします。
自身番制度なるものを設け、
パトロールをしたりして治安を維持していたそうです。
そんな江戸の町には日本中からいろいろな人が集まります。
さまざまな文化の人たちが集まって、
うまくやっていくためにできたのが、この江戸しぐさ。
文字で書かれたものではない。
法律なんかではなくて、暗黙の了解もとで行われる約束。
これが自然にできない人は野暮、
田舎ものとしてばかにされたそうです。
たとえば、「こぶし腰浮かせ」。
みんなで座る席では、跡から来た人のために
こぶしひとつ分腰を浮かせてスペースを空けてやる。
電車の中でこんなことができたら粋ですね。
「肩引き」は、すれ違うとき肩を
少し後ろへ引いて互いにぶつからないようにすること。
「三脱の教え」、これは人に年齢、職業、地位を聞かないルール。
肩書きではなく、人柄で付き合おうという考えのようです。
商人たちの町である江戸では、悲観的な考えは野暮ってもの。
何事も「陽にとらえて」こそ江戸っ子。
楽天主義でピンチをチャンスに変えるのも立派な江戸しぐさです。
「傘かしげ」。雨の日、傘をさしたまま人とすれ違うとき。
すっと傘を人のいないほうに傾けるしぐさのことを言います。
すれ違う人が濡れないための思いやりのしぐさです。
他にも、知らない人でもちょっと挨拶をしようという
「束の間のつきあい」、
つべこべ言う前におやんなさい、という「即実行」、
相手の時間を大事にする「時泥棒をしない」など、
はっとさせられる知恵が多い。
口頭で伝えられるものなので、
このままでは江戸しぐさが廃れてしまうのではないか。
そんな思いで書かれた本だそうです。
日本人であることの美しさ、誇りは、
こういうことから取り戻せるような気がする、そんな一冊。
ビジネスマンの方にもおすすめ。
下手なビジネス書より深いですよ。
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