何にでもマニアっているもんだ。
つくづく感心させられる一冊。
北尾トロといえば、オンライン古本屋の草分け的存在である。
(と私は思っている。)
今ではたくさんあるインターネット上の古本屋さんだが、
この人が最初に始めたんじゃないかな?
とにかく、オンライン古本屋の黎明期に、
本を出したりして有名になったのは事実だ。
その古本屋さんが趣味として何をやっているかというと、
裁判の傍聴。
なかなか一般人には思いつかない趣味である。
趣味、というと御幣があるかもしれないが、
本当に興味本位でいろんな裁判を傍聴している。
強盗あり、殺人あり、DVあり、詐欺、麻薬取引あり。
ドラマみたいなことが現実に起きていて、
それが裁かれる人間観察のもってこいの場である、
といわれれば確かに納得もする。
マスコミでも話題になった、
女性が幼女を殺害した事件では、
被告女性の涙ながらの反省に思わず共感してしまう著者。
しかし、いつもこの裁判を傍聴しているほかのマニアいわく、
彼女はいつもこういった主張を繰り返しており、
その過剰なヒロインぶりにはみんな飽き飽きしてるのだという。
また、麻薬所持で捕まった男の裁判では、
妻が小さな子供を連れて証人席に立つ。
こちらも反省の弁を述べるが、
子供をつれていることで効果大。
その後、その夫婦が喫煙所で、
「まああんなもんでしょ」と笑っているのを著者は目にする。
印象的なエピソードは、
文庫版の表紙のイラストにもなっている事件。
早朝、スピードを出しすぎた車と、
信号無視のバイクが事故を起こした。
バイクの運転手は死亡。
車の運転手が被告となるわけだが、その男の答弁が、
なんというか、全く反省していないように見えるのだ。
自分だけが悪いんじゃない、という態度がみえる答弁だ。
しかも、その日、男が着ていた洋服に、
ドクロのマークが入っている。
こりゃあだめだ。
よりによって、なんでドクロなんだ。
閉廷後、被告が、被害者の両親の元へやってきて
「すみません」と頭を下げたのを著者は見た。
悪いやつじゃないんだけど、何かへたくそで不器用なんだな。
そんな印象を受ける。
裁判での人間模様もおかしいが、
傍聴している人間にも面白い人たちがいっぱいいる。
もう長年傍聴席に通っているマニアの方は結構いるそうだ。
裁判の日程表をパソコンで作っちゃった人、
裁判官の顔写真一覧を、
テレビ画像から集めてプリントアウトしてくる人。
その情熱はどこから来るんだろうか。
面白い本だが、あんまり笑えないを事件
笑っちゃってる姿勢には少しついていけない部分がある。
特に私は女性なので、
痴漢などの性犯罪の裁判を、「大変面白いみもの」として
書いているのはあまり気分がよくなかった。
とはいえ、知らない世界をのぞいてみる面白さはなかなか。
裁判所がちょっと身近に感じられます。
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