新書。
ワーキングプアの定義は、働いていながら、
生活保護を受けるよりも低い収入で暮らしている人のこと。
たとえば、東京23区では生活保護の収入が約194万円なので、
年収200万円以下の場合、この定義に当てはまる。
その人口は2005年で540万人。
以後、その数は上昇し続けている。
事実を述べている本で、「希望格差社会」などと比べて、
考察、提言などの著者の意見は少ない。
しかし、各章の終わりに、
実際のワーキングプアの人たちのインタビューが載っていて、
その現実を見せ付けられるだけに薄ら寒い本でもある。
このワーキングプア、イメージからすると
若年層のイメージがあるが、
中高年でこの収入の人たちは案外と多いのだという。
リストラ、事業の失敗などがあると、
年齢の高い人たちは以前ほどの収入を得るのは
ほとんど不可能といってよい。
まして、その年齢層の人たちは、ローン、
子供の教育費など、出費も多い。
低賃金の仕事をたくさん掛け持ちしながら、
生活するだけで精一杯という世帯が増えている。
一方若年層も、決して恵まれているわけではない。
企業は正社員の雇用を減らし、
派遣社員などの非正規雇用の社員の数を増やそうとしている。
これは、ニートやフリーターの増加などの背景となっている。
正社員の生涯賃金が、男性の場合は2億円であるのに対し、
非正規雇用の社員は6000万円と、大幅な開きがある。
そんな社会に対する著者の提言は、
・非正社員から正社員になれる道を増やすべき。
・消費税のアップは、ワーキングプア世帯の生活をまともに
直撃するのでやるべきではない。
・最低賃金の見直し
である。
まあ、こういうことは、
新聞やネットの記事なんかでだいたいわかる。
しかし、この本の価値はそこではない。
先ほど述べた、各章の終わりのインタビュー記事が
なかなかこう、ぐっと現実を突きつけられてくるのだ。
私が印象的だったのは、あるSEだった男性の話。
IT業界が好景気だった頃、
SEの仕事は契約社員のほうが報酬がよかった。
それが、不景気になったときに
真っ先に雇用をなくしたのは契約社員。
家賃の高いマンションを追い出され、ホームレスになった。
SEの仕事にも復帰できず、
将来が不安なままである、というもの。
この人、決して能力がなかったわけではない。
何か特別悪いことをしたわけでもない。
ふとした拍子に、ワーキングプアになる可能性って
誰でもあるんだ、と思わされます。
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