この夏、田中麗奈さん主演で
映画化されるコミック。
コミックといっても、A5サイズの薄い本です。
原爆をテーマにした本ですが、
終戦の年を描いたお話ではありません。
2部構成。
1部。
原爆の落ちてから10年後の広島。
原爆に会った皆美は今も、
生き残ったことへの自責の念を抱えて生きている。
恋をして、幸せになってもいいと思ったそのとき、
原爆による後遺症で死の床につく。
死ぬ間際、原爆を落とした誰かにむかって問う、
「『やった! またひとり殺せた』とちゃんと思うてくれとる?」
という言葉が重い。
2部。
皆美の弟、旭は疎開してたため被爆しなかった。
広島に戻り、そこで知り合った女性と、東京転勤を機に結婚する。
やんちゃな姉七波と、優しい弟凪生という、
二人の子供にも恵まれるが、妻は原爆の後遺症で死亡。
成長した七波は、父旭が
普段と違う行動をとっていることに気がついていた。
電話代が急に高くなり、休日はどこかへ出かけている。
ある日後を追うと、父は長距離バスに乗っていた。
そこで出会った幼馴染の女性と、七波はバスに乗り込む。
バスが着いた先は広島。
そこで父は、いろいろな人を訪ねて歩いていた。
途中で父を見失った七波は、
幼馴染の女性が凪生と結婚をしようとしていたが、
彼女の両親に反対されていることを知る。
凪生の原爆の後遺症を心配してのことだ。
東京に戻り、帰宅途中の電車の中で父に会う七波。
父は、七波に、広島で死んだ姉のことを
知っている人に話をききに行ったのだ、という。
淡々とストーリーが進む。
ラストシーンも、七波が父に、
「凪生、結婚するかもよ」と言うと、
父が、
「そんなことよりお前のほうが心配だ。
おれの合コン仲間紹介してやろうか?」などと、
明るい最後である。
にも関わらず、感動と、とても悲しい感情が残る。
戦争が、原爆が、生き残った人たちの生活にも
影を落としているのがひしひしと伝わってくる。
何がこの人たちの幸せを奪ってしまったんだろう。
しみじみと考えさせられる一冊。
これは読む価値大の一冊です。
絵もきれいなので、男性にも女性にも安心しておすすめできます。
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