よくできたミステリーを読むようなスリルがある。
「アメリカ人は四種類しかいない。
超金持ちと、仕事のプロと、貧乏人と、社会的落ちこぼれだ。」
と、本の冒頭からばっさりアメリカを伐ってみせる。
投資で生活ができる超金持ち、
そのまわりでコンサルタントなどをする仕事のプロ、
かつては中産階級だった貧乏人、
そして、社会保障に頼って生きるしかない落ちこぼれ。
アメリカ人はこれらに分類できるのだという。
アメリカ人は、メイキング・マネー・イズ・グッド、
つまり、お金儲けはいいことだと信じている。
逆に言えば、お金を儲けられないのは怠け者だから、
ということになるのだ。
そして、当の貧乏人や落ちこぼれは、
「自分が怠け者だから」
お金がないのだと思っている。
はたしてそれは真実なのだろうか。
比較的歴史の浅いアメリカで、
どのようにして特権階級が成立したのか、
著者は丁寧に述べている。
レーガン大統領の時代、軍備拡大を掲げながら
所得税は大幅に税率を引き下げた。
その代わり、社会保障税を上げ、
これによって投資でお金を儲ける富裕層の税負担が減り、
労働収入でお金を得る一般市民の税負担があがった。
クリントン大統領の時は、株価、不動産価格の上昇で
やはり富裕層の資産の積み上げを加速させた。
そしてブッシュ大統領は、イラク戦争をやってのけ、
石油・軍需関連企業の利益を膨大なものにした。
こうやって、富裕層とそれ以外の人たちの差は広がるばかりである。
しかし、アメリカでは成功者は、
いわゆる下克上がこのまれるので、
成功した人たちはその出自を明かそうとはしない。
結果、少数の本当に
下層階級から成り上がった人たちが有名になり、
それは誰でも努力すれば成功できるという、
アメリカ人の楽観的思想に影響を与えている。
ハリケーンカトリーナで被害を受けた黒人たちは、
南部の綿花産業が衰退する折に、
産業の交代ではなく、戦争によって開放されてしまった。
そのまま、何の対策も出来なかったせいで
(社会問題にならなかったため)、今でも放置されたままだ。
日本の格差は労働報酬の格差、アメリカの格差は資産の格差、
とまったく違う格差社会を見せつけられる。
知的好奇心をしっかり満足させてくれる。
現在のアメリカを知ろうと思う方には必読の一冊です。
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