著者、山本譲司氏は菅直人氏の秘書を経て
都会議員、衆議院議員を務めるという経歴を持つ。
その彼が、政策秘書給与の流用事件を起こしたのが2000年。
2001年に実刑判決を受け、400日あまりの獄中生活を送る。
本書で何度も繰り返されるのが、
「議員であった当時、福祉政策に取り組んでいたと
自分では言っていたが、
国会で論じられている福祉政策は
実に皮相なものでしかなかった。」
「セイフティネットなどと言っているが、
実のところずさんな網でしかない。」などということ。
実際にその目で刑務所での生活を見て、
現実と政治の落差を実感したというところであろう。
その彼が、もっとも今関心を寄せ、社会的にも運動を行っている
のが障害者の犯罪者に関する問題である。
読んでいてやりきれない。
刑務所には障害者で刑に服している人がたくさんいる。
そして、その大半が帰るところがなく、
刑務所にいるほうがよほどましだといって再犯を繰り返す。
人に言われたことを否定できず、
おうむ返しにするしかない知的障害者の人たちは、
警察の取調べで警察の思い通りの調書をとられてしまう。
また、それを食い物にするような暴力団の姿も描かれている。
彼らを養子にすることで、障害者年金を取り上げる
「父親」がいるのだという。
日本の福祉では、日常生活ができるかどうかということで
障害のランクを分けている。
よって、日常生活はできるが、
その他の援助が必要な人たちが福祉の網からもれることが多い。
障害を抱えながら、誰からも助けてもらえず、
パンや自転車を盗むという軽微な犯罪で
刑務所に送られる障害者たち。
そして、刑期を終えたとしても受け入れる施設はない。
その現状に寒々としたものを感じざるを得ない。
刑務所にいる障害者には、国の予算が
一人当たり270万円ふりわけられているそうだが、
その更正プログラムもまともに機能していないそうだ。
自分が犯罪被害者の立場であったらやりきれないだろう。
しかし、犯罪を犯さざるを得ない人たちが生み出される現状にも
やはりなんともいえない思いがある。
実例や著者の体験談が多いので、読みやすい文章になっている。
あまり知りたくない世界でもあるが、
日本のひとつの現状としてできれば
たくさんの人に読んでもらいたいとも思う。
この本の著者が言いたいこととは少し違うと思うが、
こういう人がもう一度政治家になってくれれば、と思う私である。
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