こういう人、いるなあ。
自分の欲望に忠実で、それがあからさますぎて
えぐい印象すら与える人。
戦後の混乱期を、したたかに、欲にまみれて生きてきた
悪漢の一代記として読めばおもしろい。
細木数子は1938年4月4日、
民生党員外団の細木之伴の子として生まれ、
本妻と妾が同居する家で育った。
家は、いわゆる「青線地帯」にあった。
街娼が立つような町である。
数子は売春の斡旋で金をため、
次々と喫茶店、スナックなどの店を出し、
商売に目覚めていく。
夜の仕事の関係で、
暴力団関連の人間とつながりを持つようになる数子。
滝沢組組長、滝沢良次郎と関係を結び、
その後に生涯連れそうことになる堀尾昌志と出会った。
堀尾は小金井一家総長という人間である。
やがて、
「政界、芸能界、暴力団にパイプを持つミニフィクサー」とされる
安部正明氏の家に出入りし始めた数子は、
蓄財の原点になる島倉千代子との出会いを果たす。
島倉千代子の興行権を握り、そのギャラをほぼ掠め取り、
なおかつマンションまで奪い取ったそうだ。
島倉にも非があるだろうとは思うが、
カモを見つけると徹底的に利用する、
その暴力団的な手法にはため息しか出ない。
やがて、歴代首相の指南役だったという安岡正篤氏と結婚をする。
(これは痴呆の始まった安岡氏をだましたものに近いという。)
安岡氏が四柱推命という占いに詳しかったことから、
数子は彼を宣伝材料に使うことができた。
こうやって読んでみると、細木数子はその生涯で
まともに占いの勉強をしたことがないのがわかる。
有名人の名前を挙げているが、
皆、細木を弟子にしたことはないと言っている。
ちなみに、彼女の占いは、
「的中率34%、はずれ率64%」なのだそうだ。
占いは彼女にとっては商売への入り口だ。
講演会を開き、10万円もする個人鑑定へ客を誘導し、
墓石を買わせる。
彼女の年収は24億円になると本書では推定している。
テレビで芸能人に暴言を吐いても、
暴力団の人脈が怖くて反論できないのが実情なのだそうだ。
著者も、暴力団から執筆を控えるよう圧力を受けたと書いている。
細木数子の出ているテレビ番組は視聴率も高く、
彼女を支持する声も多い。
いいことを言う、と考えている人もいる。
そのことを本書も認めている。
客観的な視点であるよう努めて書かれた本であり、
興味本位のスキャンダラスな内容ではない。
今年もそろそろ、例の細木氏の占いの本が
本屋さんに並び始めますね。
ナントカ星人の運命というやつです。
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