2007年09月06日

再婚生活




再婚生活というタイトルではあるが、結婚生活をつづったエッセイというよりは、
うつ病の闘病記であるといったほうが正しい。

一部と二部に分かれていて、
もしこれが一部だけだったら私は
決して人にすすめたり紹介したりはしない。

著者の日記なのだが、
一部ではうつのまさに闘病中に書かれたものであり、
読んでいて「あ、おかしい。」と思う瞬間や、
つらくなることが多い。

二部になって、病状がよくなった著者の
冷静に過去の自分を見る目線でやっと癒されるという感じが
私はした。

マンションを買って、小金を持って、優しい夫もいる。」

それなのに、一日平均18時間眠り、
パン一枚食べて必死で原稿を書き、
「死にたい、消えてしまいたい。」と思いつめてしまう。

文緒さんの夫は優しい。
ごはんを作ってくれ、彼女の病気を気づかってくれる。
夫婦はお互いにマンションを持ち、
週一回夫が通ってくるという形態で暮らしている。

優しい夫のはずなのに、
「一人がいい。一人が平静である。」と著者は言う。

この人の作品を、私は以前好きでよく読んでいたが、
人間の直視したくない本音のところをあぶりだすという
小説が多かったように記憶している。

人の心の動きに敏感な人は、誰かといると、
それが配偶者であっても落ち着かないものなのだろうか。

リタリンという精神がハイになる薬で
ドーピングして日常生活をやりくりし、
入院してはそこの患者たちとの人間関係に頭を悩ませる。
非常に繊細な、うつ病患者の日記である。

私が印象に残っている、病的だなと感じた一節。

退院まで一ヶ月という日に、見舞いに来た編集者がこう言う。
「まだ一ヶ月あるじゃないですか。」
対して山本文緒は言う。
「もう一ヶ月しかないじゃん。」

こうやって自分を追いつめていくものなのか。

二部では、その二年後の生活が日記につづられている。
体の調子を整えるためにたばこをやめ、お酒も減らし、
整体に通っている。脂っこい食事もやめた。

病気だった自分を振り返って、夫に辛い思いをさせていたこと、
もっと自分の体を大切にしてあげたいと思っていることを
切々と書いている様子が、なんというか、
雪解けの春を思わせるようで、
読んでいるこちらまでほっとしてくるのが
この本のいいところだと思う。

もうひとつ、山本さんは日々食べたものを細かく書いている。
高級レストランの食事だったり、
オリジン弁当のお惣菜だったり、
夫が作ってくれる玉子スープだったりする。
生活感があって、私は好きだ。

私的な話で申し訳ないが、私は今、なぜかあせっている。
目標とか理想とか、
そういうものと現実が離れているのがあせりの原因だ。

だけどこれを読んで、まず日々の暮らしを大事にしようと思った。
どうしてだかうまく言えないけど、そう思わせられる本だった。



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posted by momo at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 生活、ほっこり系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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