2007年09月28日

東京・自然農園物語




最初から、話の展開が読めるといえば読める。
また、登場人物の設定にも
著者の「ワザ」がわざとらしく感じられもする。

しかし、面白い。
文句なし、癒し系エンターテイメント作品。
週末、仕事に疲れた体と頭で読むには適した一冊。

状況設定は、バブル真っ盛りの東京
都心の安アパート(なんと家賃が3万円)の
所有者の老人が亡くなる。

アパートに住んでいるのは、コピーライターのヤマケン、
浪人6年留年4年という学生の直也、
ヤクザの渡辺さん、
スナック「毒」のママ、マサミさん。

この個性的な4人に、老人はアパートを含む土地4000坪を
相続させるという。

ただし、条件がある。

それは、4人が欠けることなく5年間、有機農業を営むこと。

アパートの周りには、畑と池、雑木林があるのだった。

都心の土地4000坪に目がくらんで、
その条件を承諾する4人だが、誰も農業の経験などない。

それぞれが持ち味を活かしながら、
でこぼこ試行錯誤をしていくというお話。

思ったより畑仕事は辛い。
タネを撒いてみるが、土壌がやせているために
虫に食い散らかされてしまう。

農薬を使ってはいけないという条件なので、
自分たちの排泄物から堆肥を作ろうとする。

近所の人たちにはエンガチョ扱いされ、
子どもたちにはバカにされる。

しかし、辛いことばかりではなかった。
老人は生前に、彼らにたくさんの贈り物を用意してくれていた。

ただの林だと思ったものは、実は豊かな果実をもたらしてくれ、
竹林からはたけのこがとれる。
山芋、きのこ、そういった豊かな実りが、
この土地には隠されていた。

とれた作物の無人販売をはじめ、
そこはコピーライターのヤマケンが大活躍。

万引きなどのトラブルも織り込みつつ、
次第に周りの住人たちの理解、共感もひきだしていく。

自然の描写がいい。
夏の夜のカエルたちの交尾。
とれたてのたけのこの味。
排泄物が堆肥として生まれ変わる過程。
実りをもたらす雑木林。

最初、約束の5年が終わったら
土地を切り売りしようと考えていた4人が、
いつのまにか「自然農園」の共同経営者として
連帯を深めていく過程もよい。

予定調和ではあるが、
予想通りに終わってくれてよかったと思える。

県庁の星」のような作品が好きな方には絶対におすすめ。



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posted by momo at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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