今週は新書ばかり読んでるなあ。
だって、最近の新書ってタイトルのつけ方が面白いんだもん。
ほんと、言葉一つで売れ行きも変わってくるから
考える人も大変ですね。
と、いうわけで、言葉一つで四苦八苦しているこちらの本。
まったく知らない世界のことだったので、とても面白く読めました。
著者は映画の字幕をつけるお仕事をされている。
そのお仕事の中で感じたこと、
字幕をつける作業の裏側などを書いたエッセイ。
ただ翻訳すればいいというものではない。
字幕を訳すとき、言葉の数、文字の数というのが
非常に制約されるのが大変だ。
そうだよなあ。
字幕が5行も6行もあったら映画、観られないよなあ。
たとえば、下の台詞はこうなる。
男 「どうしたんだ」→5文字以内に
女 「あなたが私を落ち込ませるのよ」→5文字以内に
男 「僕が君に何かしたか」→5文字以内に
字幕にすると
男 「不機嫌だな」
女 「おかげでね」
男 「僕のせい?」
なるほど。ちなみに、著者は読点である
「。」の使い方にも頭を悩ませている。
「。」ひとつで一文字である。
一文字を入れる、入れないで相当に悩むのに、情
報としては意味のない読点を入れるのは
非常に損であるように思えるようだ。
そして、「!」や、「?」も同じ。
しかし、叫んでいる様子を表すのにはやはり「!」が必要。
また、一人称の問題もある。
女性の場合、「私」で済むが、
男性は「僕、おれ、私」と、一人称を変えるだけで
キャラクターの性格まで決めてしまうことになる。
キャラクターの位置づけまで字幕担当が決めることになるのだから、
気を使う。
笑ったのが、禁止用語についての話。
視聴者からのクレームを恐れるあまり、自主規制が多くなる業界。
ちなみに、絶対に使ってはいけないA級禁止用語がある。
それは、「き○○い」という単語。
一度、「まるでき○○い騒ぎだ」と訳したのを
修正しろといわれて、かなり抵抗したことがあるそうだ。
また、ドストエフスキーの名著、「白痴」。
これがそのものずばり、A級禁止用語。
しかし、台詞の中でこの作品の名前が出たから大変。
天下の公共放送とやり合って、なんとかそのまま通したとか。
本にも書いてあるが、この「白痴」。
パソコンの変換では一発で出ないんですね。
知らなかった。変換機能まで自主規制なんて、徹底してるなあ。
言葉を扱うお仕事だけに、日本語の乱れも気になる。
上品ぶった「おソース」などの「お」の使い方、
メールの文章にも触れている。
また、映画を売るために、
字幕を改変(改悪?)せざるを得ない状況があること。
若手の翻訳者が使い捨てにされている状況。
状況を読み取ることが難しい人が増えて、
説明ばかりが多くなること。
映画ファンなら気になる話もたくさん書かれている。
今まで何の気なしに読んでいた字幕。
この本を読むと、さらりと流せなくなりそうだ。
映画ファンなら必読の一冊。
こんな私のメルマガはこちら↓
これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介。

