2007年10月22日

自虐の詩



単行本もあります
http://ameblo.jp/koredoku/entry-10052052146.html



安部寛と中谷美紀で映画化された漫画。
安部寛、パンチパーマでいい味出してますね。

この漫画、かなり古い。中学生だった頃、
父親が好きで読んでいたのを覚えているから相当昔の話だ。

さて、物語はというと。

森田幸江(ゆきえ)と葉山イサオは
小さな古いアパートで暮らしている。
一部屋で、玄関のすぐ横に台所のあるぼろアパートだ。

イサオは無職。幸江が中華料理店で
アルバイトをして暮らしを支えている。

イサオは乱暴者で、ご飯がまずい、
ビールがぬるいと言っては
食事のならんだちゃぶ台をひっくり返す。
パチンコに行くために、なけなしの生活費を持ち出してしまう。

そんなイサオに徹底的に尽くす幸江。
となりの部屋のおばちゃんにお金を借りてでも、
イサオに遊びの資金を渡してしまう。

中華料理店のマスターが幸江に想いを寄せ、
幸せにしたいと言うが、
幸江はイサオに「好きだといってよぉ」なんてすがってしまう。

上巻はひたすらこんな感じ。

書いていると悲惨だが、みなどこかユーモラスで、
ははは、と乾いた、
しかし妙にあきらめたような笑いが浮かんでくる展開だ。
自分がこうなるのはいやだが、
人の不幸な生活は、時には笑えるものだとわかる。

下巻になると少し雰囲気が変わってくる。

とはいえ、幸江が幸薄いのは同じ。

母親が家出をし、借金取りが家に来る毎日。
ぐうたら親父のせいで、小学生の頃から新聞配達をする幸江。

高校に入り、熊本さんという友達ができる。
同じように貧しくて、いじめられている女の子。

高校を出て、故郷を捨てて東京に出る幸江。
そこで、イサオとのなれ初めも描かれている。

そして、感動のラストとなるわけだけれど、
私は、作者が最初からこのラストを想定していたのか
疑問に思っている。

幸江というキャラクターの不幸と、けなげさに
引っ張られて出来た奇跡じゃないかと思っている。

4コマギャグでありながら、不思議に哲学的で、
感動的なラスト20ページ。

幸江はイサオの子供を身ごもる。
母になり、自分を捨てた母を恨んでいた気持ちから開放される。

最後の章は、幸江の書く母への手紙が
モノローグとして語られる。

「この世には幸も不幸もないのかもしれません。
私たちは泣き叫んだり、立ちすくんだり…。
でもそれが幸や不幸ではかれるものでしょうか。

幸や不幸はもういい。どちらにも等しく意味がある。
人生には明らかに 意味がある。」

一度は裏切った熊本さんと再会し、涙を流す幸江。
貧乏で、学校の鯉まで盗んでいた隈本さんは結婚して
幸福になっていた。

別になんてことない、生きるのが下手な
負け組の女性の話である。
しかし、どこか共感し、幸江と一緒に泣き笑いしてしまう。
不幸にも、幸福にも、意味はある。




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