2001年9月11日、
アメリカで起きた同時多発テロ。
その全容を解明すべく、
政府の干渉を受けない独立機関として調査委員会が設立された。
そして、2004年7月22日、
調査委員会は500ページにも及ぶ詳細な最終報告を提出、出版した。
本日ご紹介する本は、その調査報告をコミックにして、
福井晴敏氏が翻訳をしたもの。
コミックといってもあんまり読みやすくはない。
アメコミの絵柄に慣れていないせいもあるが、
基本的に報告書にイラストをつけたという感じのものなので。
それでも、書かれている内容には興味深いものが多い。
最初に、ハイジャックされた4機が
墜落するまでの出来事を時系列順に描いている。
最初の1機がビルに激突したとき、
連邦政府機関のほとんどはCNNでそのニュースを知った。
その時刻は8時46分。
政府機関でテレビ会議が始まったものの、
担当者が全員そろったのは10時をまわるころ。
突然の出来事のように思えるが、その兆候は以前からあった。
1998年、ビン・ラディンはアラビア語新聞を発行。
その中でアメリカ人を殺害することをイスラム教徒の義務、と
呼びかけた。
ビン・ラディンという人物の危険性を、
アメリカ政府はかなり前から知っていみたい。
でも、FBIではその調査は出世につながらないので熱心ではなく、
CIAにはアラビア関連の専門家が少なかった。
それでも、クリントン元大統領は、
ブッシュ氏にアルカイダの危険性を訴えたらしい。
しかし、我らがジョージは
「テロリズムについて言及していたが、
アルカイダのことを多く語ったという記憶はない」そうだ。
実行犯たちがどうやってアメリカに入り、
訓練を受けたかが詳細に書かれていて、
このテロが綿密に計画されたものというのがわかる。
と同時に、どうして計画の段階で
防ぐことができなかったのかという思いもする。
移民局は情報を知らされておらず、
FBIとCIAでは情報が共有化されることはなかった。
ビン・ラディンの爆殺も計画されたが、結局実行されなかった。
あとがきで福井氏も書いているけど、
アメリカも日本とそう変わらないところがあるんだな、と思う。
「存在していても機能しないシステム。縦割り行政の弊害。
組織のしがらみのなかで失われていく人間の想像力。」
そういうものがこのテロを見逃したといっても過言ではない。
最後に、このテロで活躍した消防隊のことを。
消防隊はビルに人命救助のためにビルに入り、
隊員から犠牲者を出した。
それは通信設備の不備が原因で、
そのことは3年も前から消防隊より指摘されていたのだそうだ。
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