美代子は大正14年、浅草で生まれた。
17歳で芸者になって、終戦直後に幼馴染の浩と結婚した。
一緒になったものの、
二人の家は適当な木材とトタン屋根を寄せ集めた
4畳半ほどの掘っ立て小屋。
おまけに美代子の両親も一緒なので、
若夫婦はなかなか二人きりになれない。
外で、あわただしく夫婦関係を結ぶ二人。
その甲斐あって(?)美代子は二人の子供に恵まれる。
夫浩の始めた商売は軌道に乗り、
夫の両親を呼び寄せて暮らし始めるが、
夫の母が強烈な嫁いびりを開始。
明るく受け流していた美代子だが、
我慢できなくて別で住んでいた実の両親の元へ帰った。
夫が間に入ってくれていったんは穏やかな生活に戻るものの、
夫の女遊びが次々と発覚。
恨むまもなく彼は癌で死んでしまう。
生計をたてるため、芸者に戻り小美代という名前で
お座敷に出る美代子。
色で売るような性格ではない。
子供がいることもあけっぴろげに話し、
それがかえって人気になるのであった。
ご縁があって会社社長という黄金山を旦那に迎える美代子。
旦那といっても本妻がいてのこと。
だが、本妻はさばさばした様子で嫉妬の色もない。
本妻から野菜やら漬物やらが送られてくる不思議な生活が始まる。
本妻がうれしそうなのも当然、黄金山はけちで嫉妬深くて、
美代子がお座敷に出るのも嫌がる。そのくせお手当ては雀の涙。
それでも美代子は、これも縁だからと
黄金山が亡くなるまで世話をする。
黄金山が亡くなった後、弁護士の恩田先生とご縁を結ぶ。
穏やかで優しい彼との生活は幸せなものだった。
恩田の本妻が亡くなったのを機に、二人は入籍する。
ホテルで結婚式もあげるのだが、
ホテル史上最高齢、88歳と68歳のカップルの結婚式は
なんだかくたびれるものだった。
脳梗塞で倒れた恩田の介護をし、彼の死も看取る美代子。
群ようこの描く女性は皆、どこかひょうひょうとして
運命を受け入れる。
といって苦しみや嘆きがそこにあるわけではなく、
「まあこんなものかしら。」という風に明るく流されていく。
美代子もそんな感じだ。あっけらかん、さばさばとしていて、
土地を売ったり買ったり、たくましく楽しそうに生きている。
有吉佐和子や橋田壽賀子が描くような
葛藤やねたみといったどろどろした感情がない分、
単調で深みがない小説になっているきらいもある。
と思う、私は。
それでもまあ、口当たりがよく、
読み終わるとこちらも「よっしゃ、楽しくやりますか。」と思える。
文章も非常にシンプルなので、
週末に読む癒しの一冊としてはおすすめ。
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