たかのてるこ。
旅行関係の本をたくさん書いている方ですが、
本職は映画会社の社員さんなんだそうです。
有給休暇を16日間とって(うらやましい)、キューバへ。
一人旅ではなく、彼であるともやんが一緒なので心強い。
青い空、ココナツの木。キューバは社会主義国家なのだが、
街中に掲げられているスローガンやチェ・ゲバラの肖像を、
著者はポップアートみたいだと言う。
自転車タクシーの運転手、アレクシスと親しくなり
夕食に出かける著者。
そこでいきなりダンスに誘われ、
ラテンのセクシーなダンスに腰がひけてしまう。
しかしキューバではダンスと音楽は日常に溶け込んだ、
いわば必需品みたいなもの。必死で踊る様子がおかしい。
また、絵描きのミルトンや女優のミネルバと知り合いになり、
そこのサロンに集まるアーティストたちとも仲良くなる。
キューバを旅していて、著者がどうしても納得できない、
好きになれないところがある。
それは、キューバの人たちが「たかり」をすることだ。
といっても、あれをくれ、これを買え、というわけではない。
ただ、一緒にレストランに行くと、
勘定は当然外国人が持つものと彼らは思っている。
ミルトンやミネルバはそういったことはしない。
著者を公演に招き、舞台に上げ、
ともにアートを作り上げることで著者との友情を深めていく。
しかし、アレクシスはキューバ人が普段入れない
高級なレストランに入りたがり、
めったにのめないビールを著者のおごりで注文する。
支払うのに困る金額ではないが、
それでももやもやしたものが残る。
キューバでは、医療費も、子供の教育費も無料である。
しかし、アメリカの経済制裁下にあり、
砂糖と観光くらいしか産業がないこの国は、
底抜けに明るく見えても人々の生活は豊かではないのだ。
現地では、外国人はチャボという通貨を使い、
現地人はペソで買物をする。
はっきりとした二重の経済が、そこにはある。
ものが乏しいキューバでは、ヒッチハイクで
車を共有することが当たり前。
アレクシスの「たかり」も
その考えの延長上ではないかと考える著者。
音楽とダンスと家族愛。
めったやたらにテンションが高い友人たちとの交流を
おもしろおかしく描きながら、
キューバの人たちが抱える問題にもさりげなく触れている。
とにかく出てくる人がみなパワフル。
ちょっと疲れたときはおすすめの一冊。
写真もおもしろい。コンドームを頭からかぶった女優、
ミネルバの写真は必見。
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