リンカーン大統領の暗殺犯に主眼を置いて、
暗殺してからつかまるまでの12日間を克明に描いている。
文章が淡々としているので最初は読むのがつらいが、
読み進めるうちにどんどん引き込まれてしまう。
リンカーン大統領を暗殺したのは、
ジョン・ウィルクス・ブースという男。
容姿端麗で、高名な俳優だった男だ。
彼はマスコミにこんな手紙を送っている。
「多くの人々は、
わたしがこれからやろうとすることを非難するだろう。
しかし後世の人々はきっと正当に評価してくれる。
金貨よりも命よりもこの国を愛する。」
時は南北戦争が南部の敗北で集結した時代。
ブースは「白人のために作られたアメリカで、
黒人を解放しようとする」リンカーンを除くことこそが
正義だと感じていた。
綿密に暗殺の計画をたて、彼は劇場でリンカーンを襲撃する。
襲撃者に気づかないまま、リンカーンは頭部に銃弾を受けた。
リンカーンは即死ではなかった。だが、助かる見込みはない。
劇場の床で死なせるわけにはいかないと、
医師は必死でベッドを貸してくれる家を探す。
この間、大統領の頭をひざに抱え有名になった女優、
リンカーンに死の床を提供し、後に博物館になった下宿屋など、
おもしろいエピソードも多い。
襲撃の描写も非常に臨場感があり、
このあたりだけでも読む価値は十二分にある。
さて、ブースは大統領を襲撃し、
劇場から逃げ出すことには成功するが、
逃亡に関しては大雑把な計画しか立てていなかった。
おまけに、彼は片足を骨折するという災難に見舞われる。
知人の医師のところで手当てを受け、
メキシコに向かって南下していくブース。
ヘラルドというお調子者の若者が同行者だ。
メリーランド州で、ジョーンズという男の保護を受け、
マツ林に潜む二人。
俳優で都会の暮らしの長いブースにはつらい潜伏だった。
ようやくポトマック川を渡る手配をジョーンズがしてくれるが、
ボートは間違った岸に着く。
そんなことで時間をロスし、やっと到着したヴァージニア州で
南部軍兵士の若者に出会い、
ギャレット氏の農場で保護を受けるが…。
ネットも、もちろん電話もない時期なので、
情報の伝達と二人の逃亡のスピードの差がおもしろい。
最初に診察した医師は、リンカーンが暗殺されたことを知り、
二人を裏切ろうとする。
ジョーンズは知っていたものの、
南部人としての誇りを持って彼らのことは
老齢になるまで口にしなかった。
兵士の若者は騎兵隊に恐れをなして彼らの居場所を教え、
ギャレット家の息子たちは二人を納屋に閉じ込め、
火をかける手助けをする。
資料を丁寧に調べ、組み立てた
ミステリー仕立てのドキュメンタリー。
お時間のあるときにいかがでしょうか?
ハリソン・フォード主演で映画化も決定しているようです。
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