朝日新聞の記者が書いた本。
ゆうちょ銀行の誕生までとその問題点が詳細に書かれている。
ゆうちょ銀行は、世界で最大の銀行である。
総資産222兆円、従業員数24万人。
これはメガバンクが束になってもかなわない数字だ。
郵便貯金は最初、民業を圧迫しないという方針の下、
預金額を減らす方向ですすんでいた。
当時の生田総裁は、預金獲得をしないよう
営業担当者に指導していた。
だが、民営化が決定してから竹中平蔵が選んだ新総裁は、
三井住友銀行で頭取を務めていた西川という人物である。
西川は豪腕で知られ、銀行時代は強引な売込みで
金融庁の指導を受けたこともあるほどの人物だ。
西川が総裁になって、郵便貯金の方向性は変わった。
預金獲得を強化し、投資信託などの金融商品を売り出すことに
力を入れるようになった。
海運業出身の生田と違い、金融機関出身の西川には、
ゆうちょ銀行を普通の銀行にしたいという考えがあるようだ。
郵便貯金の持つ資産は、他のメガバンクの追随を許さない
巨大なものである。
しかし、その運用方法には多くの問題点がある。
もともと、郵便貯金には運用を「考える必要」がなかった。
大蔵省に財政投融資として丸投げし、
その代わりに上乗せした金利を支払ってもらっていたのだ。
それが、郵便貯金の利益であった。
だが、現在では財政投融資に使われることはない。
代わりに自らで運用先を選ぶことができるのだが、
巨額を運用できる商品は日本にはない。
郵便貯金が主に買い入れているのは国債だが、
上乗せ金利がもらえない現状では十分な利益を得ることができない。
また、郵便貯金の定期は6ヶ月で解約できるのが特徴。
低金利の現在、客が短期で解約したら、現金を作るために
国債を売らざるを得ないが、
国債の金利では赤字になることが簡単に予想される。
普通の銀行を目指す西川としては、
国際市場での運用を目指しているが、
そのノウハウは郵便局にはない。人材もいない。
そして、普通の銀行を目指すということ自体、
民業を大きく圧迫することになる…。
郵政民営化。一言で言うのは簡単だが、
たくさんの問題をなお抱えていることがよくわかる。
問題解決への提言、示唆がなかったのがやや残念。
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