いいじゃないか、いいじゃないか!
描写よし、不思議あり、多少展開が読めるものの、
ストーリーよし、文句なし!
新進気鋭の若手作家、万城目学の「鹿男あをによし」。
ドラマになっているそうですね。
理系の大学院生の主人公は、同僚の昇進を阻むミスをしてしまった。
教授の命令により、奈良の女子高で教員として働くことになる。
期間は9月から12月まで、二学期の間だけだ。
就任一日目、堀田という女子生徒が遅刻をしてくる。
「鹿に乗って通学しているが、駅で駐禁をとられてしまった」
と言われ、真に受けてしまう。
からかわれたことに気がついた主人公は、
生活指導の教諭に訴えるが、
それを堀田は密告だとばかりに反抗を始める。
クラスの生徒が皆敵に回る中、ある日主人公は
鹿が自分に話しかけてくるという体験をする。
鹿は言う。
お前は鹿の「運び番」に選ばれた。
サンカクを手に入れろ。
サンカクは狐の「使い番」が持ってくる。
何がなにやらわからず、悩む主人公に
学校では新しい仕事が与えられた。
剣道部の顧問をやれというのだ。
断ることもできず、顧問として参加した会議で、
次の大会の優勝者に送られるプレートが三角であることに驚く。
しかもその会議の場所は「狐のは」という名前の料亭。
三角の優勝プレートを手に入れるべく、
剣道の達人であった掘田を部に迎え、大会へ臨む主人公。
剣道大会の描写は秀逸。立派なアクションシーンといって
差し支えない、と私は思う。
躍動感あり、お決まりのピンチもあり、
はらはらどきどき、最後はスカッという文句なしの展開。
そうして手に入れた三角のプレートだが、鹿は違うと言う。
そしてその日から、主人公の顔が鹿に変化していく。
鹿の言うサンカクとは、
卑弥呼が持っていた三角縁神獣鏡という宝物だった。
それを手に入れなければ、富士山が大地震を起こし日本は壊滅する。
邪魔をする鼠の使い、謎の狐の使者。
堀田まで鹿に変わってしまったこのピンチを、
主人公はどうするのか…。
かりんとうが好きな同僚の教師、
奈良の町の風景、
ポッキーが好きという鹿。
全体的にユーモラスなのもいい。
万城目ワールドにひたっているのが楽しい。愛すべき小説。
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