「バカの壁」で有名な養老先生が、
小説を読みながら考えたことをつらつらと書きつづっている。
「ミステリー中毒」という本の第二弾なんだそうだけど、
ミステリー小説の書評集だと思って読むと
ちょっとがっかりするかも。
この本では、養老先生はファンタジー小説を
よく好んで読んでいる。
しかし、先生は言う。
ファンタジーなんてバカみたいだ。
現実にありえないドラゴンや魔法使いや騎士などを、
大人が書いて読んでいるなんてバカバカしいことこの上ない。
と言いつつ、「時の車輪」シリーズをアマゾンで一気に買い、
「バーテミアス」を読み、
「シャナラの剣」をかばんに入れて旅行に出かける。
養老先生は、旅行先で読んだ本を破る。
帰りの荷物が軽くなるように、
読み終えた部分を破って捨ててしまうのだそうだ。
これには私は非常に感銘を受けた。
ファンタジーを読むのは暇つぶし。
こういうスタンスは非常に心地よい。
先生の目には、テレビのニュースや現実も、
ある意味ファンタジーに見えるらしい。
ライブドアの堀江社長は会社の時価総額にこだわっていたが、
自社の株価がいかにあがったとしても
自社株を売るわけにはいかない。
つまり、時価総額が高かろうが安かろうが、
現実にはカネにならない。ファンタジーなのである。
そもそも金そのものがファンタジックなもので、
あんな紙切れに価値を見出すのは人間の幻想だ。
養老先生がこういう価値観を持つのは、
この本にも何度か出てくるが、
終戦のときに経験したことが大きいのだと思う。
戦時中によしとされていたものが
すべて封建的の一言で切り捨てられ、
憎めと教えられていたアメリカの文化を諸手を上げて迎え入れる。
価値観が180度変わった経験を持つ先生は、
マスコミの報道すら真実を伝えているとは考えていない。
伝えるものの利益になる情報を流す。
これを当然だと考えている。
少し話は戻るが、先生が本を捨てるのには
「読書はくだらない」というほかにもう一つ理由がある。
それは、本棚に虫の標本箱をしまいたいからだ。
大きさがちょうどいいのだそうだ。
読書はすばらしい、マスコミは正しい、北朝鮮は危ない、
個性は大事、お金がすべて…。
こんな現代のファンタジーから逃れたい方に。
孤独であるが、確立した個とはこういうことかと考えさせられる。
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