3章からなる構成。
1章では、トヨタ本社、トヨタ関連の会社で働いていた人が4人、
実名で登場する。
過労死した人、うつ病になった人を取り上げ、
トヨタの非人間的な仕事の状況をレポートしている。
トヨタの工場は、昼勤と夜勤の二交代制で仕事をしている。
昼勤は午前6時25分から午後3時15分。
夜勤は午後4時10分から午前1時まで。
この昼勤と夜勤の間が1時間空いているのに注目して欲しい。
ホンダの工場では、昼勤と夜勤の時間に空白はない。
平日に残業をさせないためだ。
トヨタでは、夜勤のあと、
午前1時から残業が始まる過酷な勤務体系なのである。
しかも、トラブルがあると解決しないと仕事は終わらない。
過労死した男性は、その前日ラインで多くのトラブルが発生し、
「夜九時、下請けを呼び出して」不具合部品の選別を行っている。
ああ、下請けさんも大変だ。
2章では、トヨタイズムなるトヨタの企業文化を検証している。
トヨタ用語で有名なものと言えば、やはりカイゼンであろう。
常に現場を見直し、時間の短縮、
コストの縮小のアイディアを出し続ける。
カイゼンは無限であり、マニュアルはない。
マニュアルを作ったとたん、カイゼンではないからだ。
新工場に導入された「革新ライン」では、
今まで1分かかっていた作業を50秒でこなすことになった。
目標は46秒だという。
労働者は休みなく働かされる、ロボットのようなものになる。
また、豊田綱領というものがあるのだが、
そこには「産業報国」なる文字がある。
非常に封建的な意識を持つ会社なのである。
3章では非正規雇用の若者に焦点を当てる。
この辺は、他のワーキングプア、請負偽装の本などを読むと書
いてある程度のことしか述べられておらず、ページ数も少ない。
うーん。
別に驚くこともなく、著者と温度差を感じながら読了。
1章で過労死した車のセールスマンの話が出てくるのだが、
私には、それがトヨタのせいだとはどうしても思えないのだ。
もちろん、お気の毒だとは思う。
ただ、基本給が10万で、あとは歩合という給与制度も、
営業職ならそう珍しいものではない。
また、このセールスマンの方は倒れて意識がなくなるのだが、
その際に家族の名前ではなく、「トヨタ」という一言を口に出す。
それはトヨタのせいだろうか?
成長するトヨタ。
マスコミがもてはやすほど理想の会社ではない。
たくさんの問題を抱えている。
しかしそれは、トヨタ一社だけの問題であろうか。
日本全体の問題としてみるなら、それなりに興味深い一冊。
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