2008年03月12日

手塚治虫「戦争漫画」傑作選





漫画、嫌いではないんだけど、古い漫画は苦手だった。
というより、これだけ新しいものがたくさん出ているし、
今さらねえ、という気持ちがどこかにあった。

さらに、手塚治虫というと、漫画といっても
もはや教科書のような気がして、
どこか敬遠していたというのが事実。

それが、ふとしたきっかけで次第に興味が出て、
ブラックジャックを手にとってみたら、これが面白かった。
やっぱり、いい本は時代なんて関係ないんだなあと
改めて思いました。

思っていたら、新書でこんな本を発見。
手塚治虫の作品で、戦争に関連するものを集めた本です。

特高に目をつぶされた絵描きと彼を支える女性の話。「女郎蜘蛛」
非道なナチス将校の、「処刑は3時に終わった」。
日本軍将校が、傷つき、たどり着いた村には
不思議な若い男女がいた。「大将軍森へ行く」

手塚治虫=子供のもの、アニメと、本気で思っていた私の脳みそを、
ブラックジャック先生に治療していただきたい。
性能がよくないのはわかっていたが、
ここまでとは!恥ずかしい!

手塚漫画は非常にシニカルでユーモラスであり、
批判精神に富んでいる。大人の読み物である。

そんなことを今さらいうところがもう恥そのものです。すみません。

さて、最初に収められている「紙の砦」というお話のご紹介。

大寒少年は中学生。学校に行っても、
竹やり訓練か防空壕掘りしかすることがない。

そんな彼の楽しみは漫画を描くことと、
友達の京子ちゃんと話をすることだ。
大寒少年は漫画家、京子ちゃんはオペラ歌手になるという
夢を持っている。

昭和20年3月、見張りをしているところに敵機襲来。空襲だ。

焼夷弾を落とされ、人が焼け死んでいる。
京子ちゃんも顔に傷を負った。大寒少年は思う。
「これ、人間かい?人形が焼けたんじゃないのかい?
地獄ってこんなもんかねえ」

京子ちゃんを連れて逃げる途中、
墜落した飛行機に人々が群がっているのを見つける。
アメリカ人の操縦士を、皆でたたき殺すという大人とともに
棒を握るが、
無残な顔を見た彼は棒を振り下ろすことができなかった。

これは、手塚治虫の少年期の実体験を基に
描いた作品なんだそうだ。

京子ちゃんの存在は創作である。
しかし、傷を負って夢をあきらめざるを得なかった
「京子ちゃん」が、あの時代にはたくさんいたのだ。

手塚治虫は、戦争の体験に強烈なショックを受けた。
そしてそのショックを伝えるために漫画を描いていると
後に語ったそうだ。
そんな人の作品が子供のものだけであるわけなんてない。
ないったらないんだ!

今日は少し感情的ですみません。
ほんと、自分が食わず嫌いだったのが恥ずかしくて仕方がない。

もしそんな方が他にもいらしたら、
お手軽なこの新書からぜひどうぞ!







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