2008年04月10日

ウォルマートに呑みこまれる世界





デフレと言われて久しい近年、
その安売りの裏で何があったのか。

ウォルマートは米国でチェーン展開するスーパーマーケットだ。
雑然としたディスプレイ、大きな駐車場、格安の食品や衣料品。
アメリカ人はウォルマートで買物をするのが大好きだ。

そのウォルマートを調査、研究した本書。

ウォルマートは徹底した節約で、その経費を削減している。
倉庫のような店内はもちろん、
本社で働く人たちにもその意識は浸透している。

本社の役員室にある椅子は、簡素なベンチチェアだそうだ。
どこかの仕入先から見本としてもらったものを
そのまま使っているという。

そのようなわけだから、仕入先にも徹底的な経費の削減を要求する。
毎年の値下げは当然のように言い渡される。

ある経営者の言葉が紹介されている。
「ウォルマートとの取引は麻薬だ」

販売量が多いので、最初は取引が成立するとうれしい。
しかし、相次ぐ値下げの要求に、経営が成り立たなくなる。

人員を削減し、工場を海外に移し、体力がなくなっていく。
その頃になってウォルマートとの取引を見直そうとしても、
その売上なしには会社がまわらない。
まさに麻薬だ。

経費の「節約」は従業員の給料にも影を落とす。
ウォルマートは従業員に平均9ドルの時給を支払っているという。
だが、それで生計を立てるのは非常に難しい。
さらに、時間外労働などの不当な労働も指摘されている。

が、ウォルマート側にも言い分はある。
ウォルマートの総利益を従業員一人当たりで割ってみると、
通常の年では一時間あたり3ドル。
ここに給料を上げる余裕はない。

ウォルマートが進出することで、
競合する地域の小売店は売上を減らしている。
週末に、大量に買物をする層には、
ウォルマートのような店はありがたい存在なのだ。

ウォルマートで売る服を作るために、
アジアの労働者はひどい労働環境で仕事をしている。
給料が安すぎて、歯ブラシ一本も買えないという
労働者の言葉が紹介されている。

ウォルマート・イフェクト。
安売りを武器に巨大化するスーパーマーケットが、
経済に与える効果をこう呼びながら、
その実態を綿密に取材している。

最後に、著者はこう言う。
「ウォルマートは米国人を写す鏡。
私たちがそこで買物をするということは、
ウォルマートに賛成票を一票投じることなのだ。

しかし、私たちはそのすべてを理解した上で
賛成をしているわけではない。
私たちは個人として、社会として、
疑問に答えを出していく義務がある」

実際に働く人、取引先の人間の話もよく紹介されている。
決して批判一辺倒ではない。

ベーコンを焼く機械を発明した親子の、
ちょっとばかり心温まるエピソードも紹介されている。
良書。






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posted by momo at 07:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス、営業系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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