この本に書いてあることを要約すると、「ドラえもん大好き!」。
この一語に尽きる。
東京工業大学理学部工学科で微分幾何学、
数理物理学などを学んだ著者が、
ドラえもんに出てくる道具を科学的に解明した本。
著者がドラえもんを読み解いたところ、
作者の藤子・F・不二雄は科学をよく理解していたようだ。
風船を空に浮かべ、それを星に見立てて宇宙旅行をする話がある。
のび太たちはロケットに乗って行くのだが、そのロケットも風船。
風船は空気を吐き出しながら進んでいく。
これは燃料を噴出しながら進むロケットと原理は同じである。
また、著者はドラえもんで「予言」された道具は
実現可能なものがあるという。
ドラえもんの道具の中で一番人気が高いのは
どこでもドアだそうだが、
それも可能になる可能性が(ややこしい)あるみたい。
おお、それは楽しみだ。
この宇宙の元、宇宙を作っているものは波動であり、
その波動の代表にはプサイというギリシア文字の名前がつけられている。
ものの情報をプサイに載せて運ぶことができれば、
情報が盗まれることも、発熱量もない転送ができるそうだ。
だが、著者は科学が何もかも解決してしまう未来には危惧を抱いている。
たとえばクローンや遺伝子操作。
農作物の遺伝子操作のことを言っているのではない。
人間の遺伝子を、その誕生前に操作する技術はあるが、
それを使うことには反対を唱えている。
そう、それはドラえもんの中でも
繰り返しテーマになっていることなのである。
のび太がドラえもんに泣きついて道具を借りる。
しかし、お話の終わりには道具を使って失敗するオチがつく。
科学を人間の欲のままに使っちゃいけないよ、ということを
のび太が身を持って体験するわけだ。
ヒューマニズムと科学の関係を、
子供に分かる簡単な方法で描いたドラえもんは、
だからすごいんだ!感動するんだ!と著者は言う。
前半は難しい科学の話が書いてあるんだけど、
後半になるととにかくドラえもんはすごい、大好き、ということが書かれていて、
著者のお人柄が非常にうかがえる、心楽しい一冊だ。
巻末に、実現化したドラえもんの道具が紹介されている。
空気のカタマリを弾丸にする空気ほう。
これは2006年にエポック社からおもちゃとして発売された。
世界の観光地を部屋で眺められる観光ビジョンはグーグルアース。
かべかけテレビ、これも実現しましたね。
藤子氏は、SFのことを「すこしふしぎなものがたり」の略だと言っていたそうだ。
すこしふしぎなことなら現実になってもおかしくないのだろうな。
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