2008年04月22日

小袖日記





あたしは、不倫に破れて自暴自棄になっていた。
死んでやる!
深い絶望を感じたそのとき、目の前がぴかっと光って気を失った。

目が覚めるとそこにあったのはおかめ顔。
しかもあたし、十二単なんて着ちゃってるし、
ギネスに乗りそうなロングヘア。

どうやら平安時代にタイムスリップしてしまったみたい!
高校の頃読んだ源氏物語を思い出して、
なんとかやり過ごすしかない。

だけどあたし、源氏物語きらいだったのよね。
光源氏なんて、子供を自分好みの女に仕立て上げるロリコン色魔野郎じゃない。
そんな話、どこがいいんだか。そう思ってたはずなのに、
なんとこの世界では、あたし、源氏物語の作者なのよね。

いや、作者というのはちょっと違う。書いているのは香子さま。
彰子さまというお姫様の家庭教師をされている方。
あたしは、その香子さまにネタを提供する、
いわばブレーンってところ。

こんなお話。「あたし」の一人称で、
現代女性の目を通して源氏物語の裏側をさぐるというものだ。
有名な夕顔、葵の上、末摘花のお話の、現代版パロディ解釈といったところ。

今回は末摘花のエピソードを。

末摘花といえば、鼻の赤い、ユニークな顔立ちが有名。
ところが、あたしが実際に会ってみた末摘花は華奢で色白、
かわいらしい少女だった。

貧乏で恥ずかしがりや。
その彼女には位の高い男性が言い寄っている。

この時代、男性の経済的援助がなければ女性は生きていくことができない。
それならば、恥ずかしがりやの姫君のかわりに、
あたし、人肌脱いじゃおう。

奮闘するあたしだが、末摘花には他に愛する人がいた。
それは、そばで控えている葛野という女性である。
そう、少女は、男性と契りを結びたいとなど思っていなかったのだ。

しかしそれでは彼女の生活はどうなる?

一計を案じたあたしは、少女に入れ知恵をする。

男性が訪れた夜、色白の彼女の花を冷やして赤くし、
そのおかしな顔を見せた。
不器量な女性にびっくりしたものの、憐れに思った男性は
末永く彼女の面倒を見てやることにした。

そうして、末摘花のお話は、
香子さまの手によってユーモラスに仕立て上げられたのだ。

さまざまな恋愛に直面し、「あたし」自身も成長する物語。

ラスト、現代に戻ったあたしは思う。
死んでやるなんて間違ってる。人は死ぬのだ。
気を失っていた間、案じてくれた人たちのためにも、
死がやってくるまであたしは生きる。

文体が口語調なので気楽に読める。
「あたし」のバイタリティに元気をもらえる一冊。







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posted by momo at 07:40| Comment(0) | TrackBack(1) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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