2008年04月25日

12歳の文学





小学生限定で応募できる、12歳の文学。
その受賞作品集。

小説を書くなんて小難しい作業を小学生の子がやってしまうのだから、
その労力には素直に感心したい。

収められているのは9編。
大賞と、私が個人的に好きなものをご紹介したいと思います。

大賞受賞作品 ヘチマと僕と、そしてハヤ

ハヤというのは同じクラス、同じ班の友達。
人前でちんちんを出してふざけるような、ひょうきんな男の子。
まあ一人はいますね、こんな子。

物語は授業で(なのかな、とにかく一緒に)
ヘチマを植えるところから始まる。

ヘチマが成長にあわせて、
キャンプに行ったり好きな子の話をしたり、
いろいろなエピソードが展開していく。

ハヤは転校生だった。妹が重い病気で、
アメリカで手術を受けている間、
祖父母のもとに預けられていたのだ。
両親もアメリカに渡っている。

ある日、ハヤが再び転校していくことになった。
さよならも言わずに去ったハヤ。
妹の手術は失敗だったのだときいた。

最後、ハヤはもう一度主人公の学校に転校してくる。
再会の喜びで終わるのは後味がいい。

ひょうきんで明るい冒頭、転換というつくりはうまいが、
あざとさを感じるのは私だけか?
微妙に崩れた口語体も、わざととは思うが、
携帯小説を感じさせてちょっとなあ。

もう一遍。 ふしぎな町のまっかなもみじ

「しおや」から「たるみ」の目医者さんに行く途中、
主人公の乗った電車がふしぎな町にとまる。

そこで、主人公はたんぽぽの「はさみのりえんぴつ」に出会う。
「はさみのりえんぴつ」は、町に季節の絵の具を塗りたいと言う。

季節は秋。赤い色を塗りたいのに、赤色が足りない。
主人公の持っている赤がほしい。

主人公は、お気に入りのまっかなTシャツを着ている。
その赤をくれと言われて悩むが、承諾する主人公。

「はさみのりえんぴつ」に赤を吸収され、Tシャツは白くなった。
色を固定するために、二人は童謡の真っ赤な秋を歌う。

塩屋、垂水というのは神戸市に実際ある町の名前です。
そこを通る電車からの光景が、上手に描写されていて
素直に物語に入ることができる。

たんぽぽの名前もいい。何より文章が素直なんだな。

そういう意味でいい作品は他にもある。
お金持ちのれいこお嬢さん、通称れんこんとの交流を描いた桜街道。
(これは文句なしにおもしろかった。なぜれんこん?)
なぞの女の子との出会いを書いたバッタなど。

背伸びなんかせんでええんだよ。
どう書いたって自分の中にしか作品世界はない。
等身大の感情を素直に書き出すことは、
実はのたうちまわるほどしんどい。

そのしんどさが、小説を書く自虐的な愉しみだと思うんだけど、
どんなもんですかいの。

選者、あさのあつこ、伊藤たかみ、西原理恵子などの評、
受賞者のコメントも掲載されている。
選評は西原理恵子のものにほぼ同意。

装丁、紙の質などはとてもいい。きれいな本に仕上がっている。
最後に収められている作品には、
タレントの堀北真希主演さんの写真が
コラボレートされた挿画が使われている。
文句なくかわいい。

ちょっと辛口になりましたが、
それでも、こうやって何かを書こうという意欲のある若い人がいるのはうれしいし、頼もしい。
彼らの未来に期待!







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posted by momo at 07:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
モモさん、はじめまして。
いつも楽しくメルマガを読んでいます。

はじめましてで失礼なのですが、どうしても前から気になっていたことがあるので質問させてください。
モモさんが本を選ぶときに何か参考にされていることはあるのでしょうか?どこかの書評とか、新聞とか、ご友人の薦めとか…。毎日毎日の本がとても面白そうで、いつもアマゾンのウィッシュリストに入れてそのうち買ってしまいます。読んでみても確かにおもしろい!そのセレクションの多彩さに唸っています。

もしよろしかったら、その選択眼の秘訣を教えてください。お願いします。

これからもメルマガ楽しみにしています。がんばって下さい。
Posted by noriko at 2008年04月26日 14:44
こんにちは。こちらこそ、毎朝メルマガにて失礼しております。コメントありがとうございます(*^^*)

本を選ぶ基準ですか。うーん。
あんまり考えてなくて、オモシロそうとかそんな感じです。

実は、メルマガを始めたとき、いつかはネタがなくなってしまうのではないかと恐れたのですが、
本屋に行くたびにそんな心配は杞憂だったのだと思っています。
いやあ、毎日毎日、いろんな本が出ますねえ、世の中には。
出版社の方には毎日感謝感謝ですわ、ほんま。

またnorikoさんもおもしろそうな本があったら教えてくださいね。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

Posted by モモ at 2008年04月29日 10:54
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