そんなわけで、
今話題の「世界の屋根・チベット」の本をご紹介。
2001年に発行されている本で、絶版になっているので入手は難しい。
アマゾンでは、1993年版が安く買えるようです。
チベット。
中国による侵略で、その文化や民族が失われようとしている。
そう一部のテレビ番組では報じられている。
その侵略の様子を書いた本もあるが、
こちらの本は日本人旅行者の目を通して書かれており、
わかりやすく楽しく読める。
チベット初心者(私だ)にはおすすめかも。
チベット人のぺマ・ギャルポさんも、
「日本の方々のための客観的で初歩的な書物があればと思っていました。
本書は一般の方々にもわかりやすく工夫されています。
同時に、自分の足で歩き、現地の人々と話したジャーナリスティックなアプローチも見られる」と評しています。
著者は日本人。
中国を旅行していて、
ふとしたことから知ったチベットにのめりこんでいきます。
チベットの民族衣装、風景、人々の生活がよく書かれている。
また、ぺマさんも書かれている通り、
チベット人と触れ合うことで知った、
中国の影響もリアルに伝えてくれます。
おもしろかったのは、
ダライ・ラマのいるインドのダラムサラのこと。
ここには亡命したチベット人が集まって暮らし、
チベットの亡命政府が置かれています。
ここではなんと、一般の旅行者も割合簡単に
ダライ・ラマに会うことができるそうです。
謁見を申し込んで、パレスと呼ばれるダライ・ラマの住居に出向く。
簡単なチェックのあと、ダライ・ラマと直接会って
握手をしてもらうことができるそうです。
アイドルの握手会みたいなんだそうだけど、俄然行ってみたくなる。
こういうことを続けてきて、
ダライ・ラマは先進国の人たちに
その存在をアピールしているわけなんだな。
実際にチベットを訪ねてみて、
破壊された寺院なども著者は見ている。
これが書かれたのが1990年代だからなのか、
チベット人は皆明るい。
差別されたり、共産党の勉強会に出席しなくてはいけないが、
「問題ない、別のことを考えている」と笑う少年僧がいる。
政治活動をして逮捕されたが、
また活動家として運動を続けている青年がいる。
しかしこの青年は、逮捕中「電気棒を首に当てられるのが辛かった」
と言っているから、ひどい拷問を受けたのだと思う。
チベット人の公安もいるが、彼は寺院の祭りに参加している。
インドとの交流があることで、
ビジネスに成功して大儲けしているチベット人がいる。
写真をとったらうれしそうに「絶対に送ってね」という少女がいる。
中国語でチベットを歌い、ヒットさせた女性歌手がいる。
彼女は亡命したが、今でも彼女の歌はチベットで大人気である。
中国の圧制の影が見え隠れするが、楽しい旅行記としても読める。
裏返せば、楽しい旅行記になるはずだった本書に、
政治的な文章が書かれねばならないチベットの現状がある、
ということでもある。
再版しないかなあ。良書。
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