2008年05月12日

中国動漫新人類





著者は1941年生まれ、
終戦をはさんで10代の前半まで中国で過ごした。

日本人として差別された過去も持つ。
日本に戻ってきて、現在大学で教鞭をとっている。

その著者が、多数の中国人留学生と接しながら、
彼らがどんなことを考えているか、
ひいては中国という国が現在どのような状態にあるかを考察している。

タイトルにある動漫とはアニメのこと。中国の若者は、
ほとんどが日本のアニメに接しており、熱狂的なファンも多い。

その流行の「立役者」となったのが海賊版である。
版権使用料等を支払わなくてよい海賊版の漫画、
DVDが大量に流通したため、
一般人でも簡単に日本のアニメに触れることができた。

政府は最初、「たかだか漫画、アニメ」には注意を払わなかった。

しかし、中国の若者は
「中国のアニメは古臭く、党に忠誠を誓わせる内容のものばかり」(本当にこういう発言がされている)と、
日本のアニメに傾倒していく。

それは、民衆が求めるものを自分で選ぶという、
いわば民主化の兆しともいえるものであった。

中国は民主化の動きを抑え、また若者に反日教育を施している。

反日教育について、
日本では天安門の再発を防ぐためという分析がされているが、
実際は江沢民氏の個人的な思想によるものでは
ないかと著者は言っている。

中国を「侵略」したのは日本だけではない。

しかし、日本と戦ったという共産党の正当性を高めるためには
日本が敵になる必要性があるのだ。

それに反発するのが台湾系華僑である。
国民党に気持ちを寄せている彼らは、
共産党の宣伝には反発を覚えている。
実際に日本軍と戦ったのは国民党だからだ。

ここで少し話は変わるが、2005年に中国本土で大規模な反日行動があった。
若者が中心になった行動だが、
これにはサンフランシスコの華僑の動きが影響している。

華僑たちは、サンフランシスコで国民党の働きを知るために
抗日について学び始める。
そして、日本軍のかつて行った残虐行為の記録に触れる。

反対の署名をネットで呼びかけたところ、
中国本土の若者たちがその動きに呼応したというのだ。

党により、愛国教育を受けていた若者たちの意識が反日に変わるのは簡単だった。

うう。頭痛い。

だが、中国の若者は日本人が、
「本当は残虐な人たちではない」ことにうすうす気がついている。
スラムダンクの、セーラームーンの登場人物は皆
正義と平和を愛していたではないか…。

その矛盾に、彼らは必死で目をつむっている。
日本軍、鬼のような日本人を憎む心と、
動漫の中に見られる日本に魅せられる気持ちを同時に持つ、
ダブルスタンダートが彼らの中にはある。

ネットには「日本のアニメが好きな私は売国奴でしょうか」という、
真摯とも言っていい問いかけが見られるという。

著者の視点がやや中国よりなのは仕方がないだろう。
だからこそ、ここまで近しい情報に接することができたのだ。

中国人留学生と接する方、中国でお仕事をされている方、
これは必読かもしれませんよ。






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posted by momo at 15:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 世間話、時事ネタ系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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