隅田川沿いに建つ鈴木さんの家。
建築費0円。材料はタダ。工事費(?)も自分で建てたのでタダ。
木で骨組みを作りすだれ、
段ボール、耐火シートで屋根を作る。
そして全体にブルーシートをかければ出来上がり。
家の中にはテレビ、CDラジカセ、炊飯器、コンロ、ストーブがある。
自転車は二台所有。折りたたみ式のちゃぶ台が食卓になる。
家の材料も、家具も、全部鈴木さんは拾ってきたそうだ。
東京には使えるものがたくさん落ちているらしい。
もっとも、自転車だけは別で、
海外赴任するという会社員の男性がくれたものだ。
盗難品でない証明として、
譲渡証明書もきちんと作成してくれたという。
建築を学んだ著者が、東京の、
いわゆるホームレスの家をレポーとしている本書。
しかしホームレスって一体なんだ?
鈴木さんは家を持っていると認識している。
家の中の電化製品はバッテリーで動かす。
車のバッテリーを使っているのだが、
これらはガソリンスタンドで使用済みのものをもらってくる。
車のバッテリーとしては不十分でも、
家電を動かすのには十分な電力が残っているのだとか。
都会であふれる「不要なモノ」が、
実はまだまだ実用に足るものであることに驚く。
と同時に、鈴木さんはきちんとガソリンスタンドと
交渉してもらってくるのであって、
ちょっとした助け合いの光景がそこにあることにも感心してしまう。
しかし、こんなに立派に建った家も、
一年に一度は解体しなければならない。
法律では、所有していない土地に家を建てることは許されない。
解体の日、家はばらばらになってしまう。
だが、役所の検査が終わるとまた鈴木さんは元通りに家を組み立て、
必要であれば改善を加える。
いわゆるリフォームも簡単である。
著者が0円ハウスに惹かれるのはこういったところだ。
人の身幅にあった住居。
いざとなれば取り壊し、移動し、自由な住まい。
都市における遊牧民生活のようだと考える。
著者が0円ハウスの話をすると、
「こういう生活がしてみたい。でもできない」
という感想が多いそうだ。
実は私もそうである。徹底的にものを持たない
(実際にはそうでもないけど)、ものに支配されない生活。
必要なものはそれに応じてどこかから調達できるという生活。
うらやましくも感じる。
といいつつやっぱり無理なんだけど、
いざとなればなんとかなっちゃうんだなという、
変に明るい気持ちになるのがこの本を読んでよかったことだ。
ただのレポートで終わらず、著者の建築感、
家に対する哲学も織り込まれており、読み応えがある。
何より開放感と晴れやかな楽しさが残るのがいい。
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