精神科産業医として働く著者が書いた、
働く人のうつ病についての本。
社員を守るための取り組みがよく書かれている。
著者は、精神をボールに例える。
空気が入ってまん丸な状態が健康。
そこに外部からのストレスが加わると、ボールの形が歪む。
同じストレスでも、耐性のある人は
跳ね返してボールを丸く元に戻せる。
だが、耐性が弱かったり、疲れていたりすると
ボールが弾力を失ってしまう。
跳ね返せなくなるのがうつの状態だという。
ストレスには指標がある。ストレスマグニチュードと呼ばれる。
いくつか例をあげてみよう。
・配偶者の死 100 ・生活状況の変化 25
・失業、雇用 73 ・上司とのトラブル 23
・結婚 50 ・経済状況の変化 38
他にもいろいろあるが、
時々自分のストレス状況を確認してみるといい。
100点を超えていたら無理せず休養したほうが良い。
会社でうつ病を発症させないためには、
中間管理職の方の働きが重要だと著者は言う。
普段から接している部下の生活に、
上記のような変化があったら気をつけてやってほしい。
うつを発症する前段階として、行動面での変化が現れる。
欠勤、遅刻、早退、仕事での単純ミス。こういった段階で、
心の病だと気づかずにいると、精神面での症状が本格化する。
「たるんでるな」と突き放さずに、
「どうかしたのか?」と声をかけてあげることが大切だ。
うつになりやすい人は自己効力感が低く、
自己統制傾向が強い人である。
自己効力感とは自信と考えるとわかりやすい。
自分に自信のない人は他人の評価が気になる。
そのため、過分な仕事を抱え込んだりする。
また、自己統制傾向とは「やればできる」という考えだ。
がんばればできると思い込んでいると、
これもまた自身を追い詰めていくことにつながる。
なるほどなあ。
この本の面白かったところは、
周りをうつ病にする人の存在が指摘されていることだ。
自己効力感が高く、自己統制傾向が強い上司は
「業績は自分の力で勝ち取るものだ!」と考えている。
その考えが強すぎると部下を疲弊させてしまう。
企業はこの手の上司には気をつけるべきだ。
また、最近では未熟な若者に現代型うつの症状が見られる。
彼らはストレス、挫折に慣れていない。
そこから逃げる際に気軽に(というと語弊があるけど)
うつの病名を使う。
だるい、起きられないといって病院に来、
自分からうつという病名を出してくるのだそうだ。
症状としては当てはまるので、
精神科医からはうつの診断が出される。
しかし、復職プログラムはすすまない。
こういう症例もあることを知っておいたほうがよさそうだ。
企業で働く人を守るための本。
労働環境が厳しくなる現代において、
管理職の方にはぜひおすすめしたい一冊。
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