私だってそうそう暇ではないわけだ。
こういう小説は勘弁してほしい。
続きが気になって本が手放せない。
最初に注意書きをしておいてほしかった。
と、思ってよく見たらありました。注意書き。
「警告 この先では、不穏当かつ非倫理的な出来事が発生し得ます。
それでも良いという方のみ、この先にお進みください」
なぬー!そんなこと書かれたらよけいに気になるじゃないか!
しかも、この警告はこんな条件のアルバイトに
つけられたものだったのだ。
「年齢性別不問。一週間の短期バイト。
拘束時間は24時間。時給は1120百円」
1120円ではない。1120百円。分かりやすく書くと11万2千円である。
大学生である結城は車が欲しかった。
コンビニでバイト雑誌を立ち読みしていたところ、
絶世の美女に声をかけられた。
浮世離れした彼女と雑誌をめくり、このバイトを見つける。
彼女は最初からこれを探していたみたいだ。
怪しいことこの上ないが、結城は思い切って応募してみたところ、
見事採用。当日モニターとして集まったのは12人。
例の彼女も参加していた。
彼らを採用した者は言う。
「違法行為があっても<機構>が全責任を負う。
犯人と探偵にはボーナスが出る」と。
連れて行かれたのは人里離れた洋館の地下。
食堂、娯楽室、個室、そして霊安室がある。
食堂には12体のインディアンの置物が。
個室に入ると、その部屋の主しか開けられない箱があった。
結城がそれを開けると火かき棒が入っている。
「ミステリー小説『まだらの紐』に登場した火かき棒は、
殴殺の武器になる」というメモも添えられていた。
どうやら12人はそれぞれ
ミステリーにちなんだ武器を手に入れたらしい。
何かの犯行を(多分この場合は殺人を)行えばボーナスが出る。
しかし、黙って過ごしていても相当の金にはなる。
何も起きるはずはない。
そう考える結城たちだが、
参加者の一人が死体で発見され、事態は急転直下…。
ミステリーなのであんまり書けないんですが、おもしろいです。
誰が犯人なのか、機構の目的は何なのか。
クローズドサークルという手法の、
ミステリーの古典的構成ではある。
わかっていてもぐいぐい引きこまれていく。
12人の人間が、少人数ながら派閥を作っていくさま。
誰がどんな武器を持っているのかわからない不気味さ。
また、その武器が微妙に殺傷能力が低いという絶妙さ。
こういうことも上手だけど、読者が読みながら指摘しそうな事柄を
登場人物に言わせてしまうのがすごい。
犯行を犯さなくても金は十分。クローズドサークルだという指摘。
こういうことをされると、
登場人物の視点と自分の考えが近いので、
これまたのめりこんでしまう。
ぞくぞくしっぱなし。ミステリーファンだけでなく、
秀逸な小説をお探しの方にこれは絶対にオススメ!
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