2008年05月21日

被取締役新入社員





俺はとにかく冴えない男だ。
ガキの頃からいじめられっこだった。
大人になっても変わらず、仕事もうまくいかない。

そんな俺が一流の広告代理店の社員募集に応募した。
ただの社会見学のつもりだった。それがなんと、採用。

それも月給20万、年棒3000万という破格の扱いだ。

え?おかしいだろって?

俺の待遇は、表向きは一般社員。その実は被取締役、
とりしまられやくという役職。

広告代理店にはエリートが集まっている。
皆自信過剰で自己主張が強く、
いじめられ役が必要だと経営者は判断した。

つまり俺の仕事は皆のストレスのはけ口になること。
名前も、羽ヶ口信男に変えられた。

一週間に最低3度は遅刻し、叱られ、
皆にバカにされるのが俺の仕事。
いつものことだからへっちゃらだ。

だが、俺にいじわるをしない人間が二人いる。
好青年を絵に描いたような三木と、
沙紀ちゃんというかわいい女の子だ。

偽善者面したいやなやつらだ。

ま、他の人間が俺の悪口で結束を固めたみたいなのでいいとしよう。

社内を十分に不快にさせた俺は、
外の人間にも接するようになった。
俺の失敗を補うべく、部内の結束はさらに高まる。順調だ。

しかし運命ってのはわからないもので、
俺を気にいってくれるクライアントが現れた。
俺の適当で不器用な広告案が、なぜだか大ヒットしてしまう。

こりゃあまずい。被取締役としての仕事にならない。
いじめられるべき人間が、
いつの間にか引っ張りだこの広告プランナーになってしまうなんて。

またいじめられっこに戻るべき時に、俺は大きな仕事を回される。
それは、「いじめ撲滅キャンペーン」のCM制作だ。

悩んだ。だがいじめられてきた俺だからこそ、できる仕事がある。
役職を守るよりも、この仕事を成功させたい。
俺はそう考えた。

そんな俺に、好青年の三木があることを打ち明けた。
「俺も昔、いじめられっこだったんだよ」

三木の協力を得て俺が考えたのは
「いじめられっこだって世にはばかる」というコンセプト。

過去にいじめられていた人が、
世の中にはたくさん活躍している。
いじめを受けた過去は消せなくても、
それをばねにしてがんばっている人がいることを伝えたい。

このCMは大成功。
俺は生まれて初めて達成感というものを味わった。


TBS・講談社 第1回ドラマ原作大賞受賞作。

おかしくて、最後は思わず涙ぐんでしまう。
失敗、成功、自己の成長という構成はまさに王道。

ついでに沙紀ちゃんとのロマンスもこの小説の王道ぶり(?)に
拍車をかける。

もうめっちゃくちゃありがちなパターンなんだけど、
被取締役というのが面白いじゃありませんか。

読後感良し。
こういう小説につける文句はございません。







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2008年04月25日

12歳の文学





小学生限定で応募できる、12歳の文学。
その受賞作品集。

小説を書くなんて小難しい作業を小学生の子がやってしまうのだから、
その労力には素直に感心したい。

収められているのは9編。
大賞と、私が個人的に好きなものをご紹介したいと思います。

大賞受賞作品 ヘチマと僕と、そしてハヤ

ハヤというのは同じクラス、同じ班の友達。
人前でちんちんを出してふざけるような、ひょうきんな男の子。
まあ一人はいますね、こんな子。

物語は授業で(なのかな、とにかく一緒に)
ヘチマを植えるところから始まる。

ヘチマが成長にあわせて、
キャンプに行ったり好きな子の話をしたり、
いろいろなエピソードが展開していく。

ハヤは転校生だった。妹が重い病気で、
アメリカで手術を受けている間、
祖父母のもとに預けられていたのだ。
両親もアメリカに渡っている。

ある日、ハヤが再び転校していくことになった。
さよならも言わずに去ったハヤ。
妹の手術は失敗だったのだときいた。

最後、ハヤはもう一度主人公の学校に転校してくる。
再会の喜びで終わるのは後味がいい。

ひょうきんで明るい冒頭、転換というつくりはうまいが、
あざとさを感じるのは私だけか?
微妙に崩れた口語体も、わざととは思うが、
携帯小説を感じさせてちょっとなあ。

もう一遍。 ふしぎな町のまっかなもみじ

「しおや」から「たるみ」の目医者さんに行く途中、
主人公の乗った電車がふしぎな町にとまる。

そこで、主人公はたんぽぽの「はさみのりえんぴつ」に出会う。
「はさみのりえんぴつ」は、町に季節の絵の具を塗りたいと言う。

季節は秋。赤い色を塗りたいのに、赤色が足りない。
主人公の持っている赤がほしい。

主人公は、お気に入りのまっかなTシャツを着ている。
その赤をくれと言われて悩むが、承諾する主人公。

「はさみのりえんぴつ」に赤を吸収され、Tシャツは白くなった。
色を固定するために、二人は童謡の真っ赤な秋を歌う。

塩屋、垂水というのは神戸市に実際ある町の名前です。
そこを通る電車からの光景が、上手に描写されていて
素直に物語に入ることができる。

たんぽぽの名前もいい。何より文章が素直なんだな。

そういう意味でいい作品は他にもある。
お金持ちのれいこお嬢さん、通称れんこんとの交流を描いた桜街道。
(これは文句なしにおもしろかった。なぜれんこん?)
なぞの女の子との出会いを書いたバッタなど。

背伸びなんかせんでええんだよ。
どう書いたって自分の中にしか作品世界はない。
等身大の感情を素直に書き出すことは、
実はのたうちまわるほどしんどい。

そのしんどさが、小説を書く自虐的な愉しみだと思うんだけど、
どんなもんですかいの。

選者、あさのあつこ、伊藤たかみ、西原理恵子などの評、
受賞者のコメントも掲載されている。
選評は西原理恵子のものにほぼ同意。

装丁、紙の質などはとてもいい。きれいな本に仕上がっている。
最後に収められている作品には、
タレントの堀北真希主演さんの写真が
コラボレートされた挿画が使われている。
文句なくかわいい。

ちょっと辛口になりましたが、
それでも、こうやって何かを書こうという意欲のある若い人がいるのはうれしいし、頼もしい。
彼らの未来に期待!







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2008年04月22日

小袖日記





あたしは、不倫に破れて自暴自棄になっていた。
死んでやる!
深い絶望を感じたそのとき、目の前がぴかっと光って気を失った。

目が覚めるとそこにあったのはおかめ顔。
しかもあたし、十二単なんて着ちゃってるし、
ギネスに乗りそうなロングヘア。

どうやら平安時代にタイムスリップしてしまったみたい!
高校の頃読んだ源氏物語を思い出して、
なんとかやり過ごすしかない。

だけどあたし、源氏物語きらいだったのよね。
光源氏なんて、子供を自分好みの女に仕立て上げるロリコン色魔野郎じゃない。
そんな話、どこがいいんだか。そう思ってたはずなのに、
なんとこの世界では、あたし、源氏物語の作者なのよね。

いや、作者というのはちょっと違う。書いているのは香子さま。
彰子さまというお姫様の家庭教師をされている方。
あたしは、その香子さまにネタを提供する、
いわばブレーンってところ。

こんなお話。「あたし」の一人称で、
現代女性の目を通して源氏物語の裏側をさぐるというものだ。
有名な夕顔、葵の上、末摘花のお話の、現代版パロディ解釈といったところ。

今回は末摘花のエピソードを。

末摘花といえば、鼻の赤い、ユニークな顔立ちが有名。
ところが、あたしが実際に会ってみた末摘花は華奢で色白、
かわいらしい少女だった。

貧乏で恥ずかしがりや。
その彼女には位の高い男性が言い寄っている。

この時代、男性の経済的援助がなければ女性は生きていくことができない。
それならば、恥ずかしがりやの姫君のかわりに、
あたし、人肌脱いじゃおう。

奮闘するあたしだが、末摘花には他に愛する人がいた。
それは、そばで控えている葛野という女性である。
そう、少女は、男性と契りを結びたいとなど思っていなかったのだ。

しかしそれでは彼女の生活はどうなる?

一計を案じたあたしは、少女に入れ知恵をする。

男性が訪れた夜、色白の彼女の花を冷やして赤くし、
そのおかしな顔を見せた。
不器量な女性にびっくりしたものの、憐れに思った男性は
末永く彼女の面倒を見てやることにした。

そうして、末摘花のお話は、
香子さまの手によってユーモラスに仕立て上げられたのだ。

さまざまな恋愛に直面し、「あたし」自身も成長する物語。

ラスト、現代に戻ったあたしは思う。
死んでやるなんて間違ってる。人は死ぬのだ。
気を失っていた間、案じてくれた人たちのためにも、
死がやってくるまであたしは生きる。

文体が口語調なので気楽に読める。
「あたし」のバイタリティに元気をもらえる一冊。







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2008年04月15日

MM9・山本弘




結論から言うと、
私はあんまり好きじゃなかった。
だけど普段本を全く読まない夫が熱中し、
転げまわって喜んでいる。そういう本、なのか。

MMとは怪獣の規模を著す単位である。
読み方はモンスター・マグニチュード。
怪獣のサイズから予想される災害の脅威度を数字化したものだ。

世界各国には怪獣が頻繁に現れる。そういう設定の世界。
日本で怪獣に対応するのは気象庁特異生物対策部、略して気特対。

いまどきの若者風だが、実は仕事熱心な涼。
ちょっとどじな女の子、さくら。
美人科学者の悠里。
仕事のストレスで胃が痛い、最高責任者の久里浜。
彼らが気特対のメンバーである。

なんかパトレイバーみたいだな。

暴走するエビの群。放射能を浴び、
アフリカから飛んできたコウモリの変種。
巨大な女児の怪獣。
気特対は怪獣から日本を守るべく日々奔走している。

しかし、この小説の世界では、
怪獣が現れるのは日常の普通の出来事である。
怪獣の規模、発生場所が一般市民には警報として知らされるが、
予報が間違っていたら非難されることもある。
パトレイバーみたいなんだよなあ。

さて、5編収められている小説だが、
最終話がクライマックスになる。

日本に、九つの頭を持つ竜の怪獣が現れた。
規模はMM9。かつて存在しなかった大きさだ。

これは日本古来から伝わる神話の竜、ヤマタノオロチではないか。
色めく気特対。

その気特対のオフィスに、ある団体が乱入し、鎮圧しようとする。
それは、科学者悠里の知己だった男だ。

彼は自分の正体を妖怪だと告白した。

妖怪はかつて存在していた。いまもしている。
しかし、それは伝説や昔話としてなかったものにされている。

怪獣だってそうだ。
いつか、テレビの連続ドラマだと思われてしまうかもしれない。
存在を忘れられることは苦痛だ、そうだろう。
怪獣が存在しないものなら、気特対だって…。

神話の中で、ヤマタノオロチを制するのは巨人、
それも女性である。
そうだ、つい先日出現したではないか。
人間の女児の容姿をもった怪獣が…。

皆さん、お忘れではないですか?
さっきさらっと書いてしまいましたが、
巨大な女児の怪獣、彼女こそがヤマタノオロチと対決できる
神話の女性だったのです。

著者はと学会の方。
「物理法則に従えば、そもそも体重100トンを超える生物が
地上で直立歩行できるわけがないのである。
しかし、この重大な謎をいまだ生物学者は解き明かしてない」
なんて文章もある。

科学なんて関係ねえ!怪獣が存在する、それが現実!
お好きな方はぜひどうぞ。





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2008年04月07日

悪人/吉田修一




福岡県と長崎県を結ぶ県道263号線には、
三瀬峠という峠がある。
そこで、若い女性の死体が発見された。
女性の名前は石橋佳乃。
彼女を殺害したとして警察に逮捕されたのは、
長崎県の土木作業員、清水祐一であった。

だが、佳乃の同僚は、
佳乃が最後に会ったのは彼女の恋人、増尾圭吾だと証言した。

実際に、佳乃を殺したのは祐一である。
これは文頭でも述べられている。

しかし物語は、増尾という男を佳乃の殺害現場に置くことで、
どちらが本当に殺したのか、
中盤までよくわからない構成になっている。
ミステリーとしての要素が小説を盛り上げる。

と同時に、祐一と増尾という同世代の男性を対比しながら、
世の中の不条理、人間の強さと優しさ、孤独を
著者は書こうとしている。

佳乃と祐一は携帯電話の出会い系サイトで知り合った。
彼について、佳乃は生前、「
セックスだけが上手で、退屈な人」と言っていた。

一方増尾は資産家の息子である。佳乃は同僚に、
増尾と付き合っていたと言っていたが、事実はそうではない。
佳乃が一方的にメールを送るといっただけの関係であった。

祐一は、幼い頃母親に捨てられ、祖父母の家で暮らしている。
裕福な暮らしではない。無口で車だけが趣味という青年だ。

友人は祐一の性格を評してこう言う。

「祐一はグラウンドにもう何日も落ちたままのボールのようなもの。
子供に一日中使われて、転がって、
また翌日には他の誰かに蹴られて…。
でも、それが苦痛じゃないんですよ」

祐一は、佳乃を殺害した後、出会い系で光代という女性に出会う。
光代は30歳。結婚する予定もなく、
双子の妹と二人で暮らしている。

祐一と光代はお互いに強く惹かれあい、
光代のすすめで逃亡をくわだてた。

ラブホテルを泊まり歩きながら、
見えない明日にあがく二人だが、そんな生活が続くわけもなく、
警察の手に落ちてしまう。

逮捕されるとき、祐一は
「俺はお前が思っているような男じゃない」と、
光代の首に手をかけた…。

祐一は、増尾のような「勝ち組」の人間ではない。
ずっと人のために犠牲になるような生き方をしてきた若者だった。
一方増尾は、佳乃の死すら
友人との笑い話にして友人に話すような振る舞いをする。

一体、悪とは何なのか。それを問いかける作品である。

佳乃、祐一、増尾を中心にして、いろいろな人物が登場し、
事件を語る。一人一人の人生が丁寧に描かれているのもよい。

ずっしりと何かが残る。







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2008年03月20日

リリイの籠





やられた〜!
いやあ、女子高生を描いた短編集なんだけど、これはいい。

収録は7作品。その中で、
私の好きな2つのあらすじを簡単にご紹介します。

・忘れないでね
美奈の父親は転勤族のサラリーマン。
美奈も、転校を何度もくり返してきた。

転校生である美奈が学校で友達に選ぶのは、
ちょっと浮いている子ばかりだった。
友達のいない、一人でいる子。
そんな子なら近づくのが楽だからだ。

嫌われている子と友達になるけど、
いつも自分はその子たちを置き去りにして転校する。
逃げられるのだから、いやな子と一緒にいるのも
我慢しておけばいい。

でも、今回はちょっと失敗だと思っている。
もう父親が転勤することはないのに、
またいつものくせなのか、
クラスで嫌われている真琴と友達になってしまった。

大学受験だけが真琴から逃れられる道だと美奈は思う。
成績の悪い真琴と、同じ大学を受けたものの…。

別れ際に真琴が言う。
「美奈に話しかけてもらった時、あたしすんごく嬉しかったよ。
美奈が居てよかった」

・ゆうちゃんはレズ
ゆうちゃんは大粒のマシュマロのような女の子だった。

明子は後輩のゆうちゃんから告白される。
「あたし、先輩が女の子だからじゃなくて、
明子先輩だから好きなんです。
ただ一緒にいて嬉しくて、ちょっとどきどきして、
もっと話してみたいなって。

あんまり考えなくていいから、
あたしともう少し一緒にいてくれませんか?」

そして、明子はゆうちゃんとメールをしたり、勉強をしたりする。
頬に軽いキスも受ける。

しかし、大学の入学式を控えたある日、
ゆうちゃんはささいな事件をきっかけに明子に別れを告げた。

男性の教師に憧れる生徒が明子の友人として登場するのだが、
それがまた絶妙。

どう絶妙かというと、ゆうちゃんの先輩への恋心と、
「ゆうちゃんが自分を好きな気持ち」を
好きになってしまう明子の心理、
これがうまく友人の恋に重なって描写されているからだ。

まだ恋を知らない、恋に恋している未熟な年頃の心情が、
とても上手に書かれている。

うそやろ〜。こんな上手な作家さんがいたなんて。感動!

女の子の残酷さ、未熟さ、純粋さ、
そんなきらきらした感情が、たくさん描かれている短編集。

女子高生の方にもおすすめしたいが、
かつて女子高生だった大人の女性に読んでもらいたい。
そして、その女子高生に憧れ、
悩まされたかつての男子高校生にも。

要するに、みんな読んでみたらどうだい、ってことだ!




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2008年03月16日

乳と卵




第138回芥川賞受賞作品。
ストーリーはいたってシンプル。

主人公は大阪出身で、現在は東京で暮らしている。
一人暮らし。どうやら会社員らしい。

夏の暑い時期、主人公も休みなので多分盆の時期なんだろう。
姉の巻子とその子供、緑子が上京してくる。
主人公のアパートに泊まって、
巻子は豊胸手術を受けると言っている。

その母親に、娘の緑子は何か思うところがあるらしく、
ここのところ直接口を利くのを避けている。
用事があるとノートにペンで字を書いて母に示す。

文章が非常に特徴的。

「わたしは一瞬迷ったが、なあ、緑子は喋らへんだの、と訊くと、
緑子はちょっと間をおいて頷くので、
それは巻子に対しての何らかの抗議的な? 
すると<別に>と書き、続けて<そんなんちゃう>と書き、
喧嘩?と続ければ首を振って…」

ってな感じ。とにかく読点までが恐ろしく長く、
時々地の文に関西弁が入ってくる、
ちょっとばかり疲れる文章である。

まあいいや。とりあえず読みすすめると、
巻子がこれまたちょっと困ったお母さんで、
銭湯に行っては人の体を眺め回し、「私の胸、どう?」と妹に尋ね、
翌朝は一人で出かけてしまって戻ってこなくなったりする。
こいつにも疲れる。

娘の緑子は、主人公と花火を買って母親の帰りを待っている。
遅くなって戻ってきた母は、
離婚した元の夫に会ってきたとほろ酔い加減である。

緑子が感情を爆発させ、台所に捨ててあった
賞味期限切れの卵を自分にぶつけて割り、卵まみれで叫ぶ。

「む、胸をおっきくして、お母さんは、何がいいの
私を産んで胸がなくなってもうたなら、しゃないでしょう
あたしは、お母さんが心配、お母さんが、大事」

豊胸手術を受けた人間が、自殺しているというデータを
いつの間にか手にしていた緑子は、母を心配していたのだ。

巻子も卵を手にとって、自分の体にぶつける。
お母さん、ほんまのこと言うて、という娘に泣きながら応える。

「緑子、ほんまのことってね、あると思うでしょ
でも緑子な、ほんまのことなんてな、ないこともあるねんで」

巻子。場末のホステスで、生活はぎりぎり。
深く物事を考えている風でもなく、
娘の教育に熱心というわけでもない。
だが、この親子の間の感情の揺れに、心を動かされる。

文章が独特だし、主人公の生理のことなど、
かなりリアルで男性にとっては
グロテスクに思えるだろう描写もある。
しかし、私はこの作品が好きだ、と思った。

胸がふくらんでいく。生理が始まる。女になっていく不安と、
母の豊胸手術。
思春期の女の子の心の揺れが、私には覚えのあることで、
読み進むうちに緑子が愛しく思えてくるのだ。

最後には、へんてこな文章が気にならなくなっている。
読んでいる今はまだ寒い三月なのに、
じっとりと汗ばんでくる気がするから不思議。






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2008年03月04日

ブルーバレンタイン・新堂 冬樹




今日はまず、本の表紙を見ていただきたい。
価格は1000円、文章は横書き。
話題のケータイ小説を、
新堂冬樹が書いてみましたということらしい。

楽しかったでしょうね、こういう企画。
いや、私も読んでて楽しかったです。

とはいえ、中は絵文字もなく行間もつまっていて、
一般的な携帯小説とはちがう。文章も三人称で語られている。

どうせだったらぐだぐだ女の子の一人称で、
「殺人マシーンのあたしが恋をしてしまった…。
相手は…やっぱり殺し屋のヘリオス!キャハ!」
くらいのノリでもよかったのに。なーんてね。

さて、内容はというと、さっき書いたとおりのものだ。

主人公のアリサは、5歳のときに家族を皆殺しにされた。
家族を殺したのは、青い蝶のペンダントをした男。

天涯孤独になったアリサを引き取ったのが小野寺という男だ。
彼は殺し屋、アサシンを養成し、
殺しの仕事を引き受けるというビジネスをしている。

過酷な訓練を積んだアリサは、優秀な殺し屋として成長した。
コードネームはバレンタイン。

ある日、小野寺はかつて小野寺と一緒に仕事をしていた
門馬という男を殺すことをアリサに命じる。

門馬はアリサの家族を殺した黒幕なのだという。

復讐心に燃えるアリサ。
しかし、門馬には四天王という腕利きの殺し屋がいる。
アリサはヘリオスという男とチームを組んで門馬に向かっていく。

ヘリオスは殺し屋には見えない男だった。
アリサにも、「女のコは素直じゃないともてないぞ!」
などという軽口をきく。

しかしその腕は一流で、
次第にアリサはヘリオスに心を開いていく。

この辺の過程がまた、
「あるある!どこかで見た見た!」というお決まりのパターン。

「こんな気持ち、感じたことがなかった」
「殺し屋として生きてきて、初めてのやすらぎ」みたいな描写が
最高に快い。お好きな方はぜひどうぞ。

四天王との戦いもなかなかハード。
ゴルゴ、ガゼル、スパイダー、ゼウスという名前の四天王。

それを弱い順に倒していく、
つまりだんだん難易度が増していく少年ジャンプの漫画的展開で、
これまたお好きな方にはたまらない構成になっている。

敵の奇襲を受け、謎の少年に助けてもらいながら
門馬に肉迫する二人。
しかし、二人の前に立つゼウスは人の心を持たない、
生まれつきの殺し屋だった。

ゼウスとの戦いで、致命的な傷を負うヘリオス。
死が迫る瞬間、ヘリオスはアリサに二つの大きな告白をする。

アリサに恋をしてしまったということ。
そして、アリサの家族を殺した青い蝶のペンダントの男の正体…。

ラスト、たった二つしか残っていない銃弾で、
アリサは小野寺に立ち向かっていく。死の覚悟をして。

いつの間にか門馬は殺しの対象からははずれてしまっているが、
それはまあいいや。

ちょっとちゃかして書いちゃったけど、面白かったです。
アクションシーンも充実してるし、
トラウマを負った二人が打ち解けてゆくシーンも
ありきたりだけどいい。

新堂ファンならとりあえず手にとってみたい一冊。




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夜想・貫井 徳郎




交通事故で妻子を失った雪藤は、
いまだその痛みから立ち直れずにいる。
仕事場でもミスを連発してばかりだ。

そんなある日、雪藤は不思議な女性に出会う。
落とした定期入れを拾ってくれた天美遥。
彼女は雪藤のことを何も知らないはずなのに、
あなたがかわいそう、と言って泣いていた。

数日後、遥の働く喫茶店を訪ねた雪藤は、
遥が不思議な力を持っていることを知る。
人の物に触っただけで、
持ち主が何を考えているのかがわかるというのだ。

共感を寄せてくれた遥に信頼を抱く雪藤。
同僚の女性を通して知り合った雑誌の編集者と、
彼女を会わせることにする。

遥は両親を亡くしていた。医師だった父の志を継いで、
人の役に立つことがしたいと考えていた遥。
金儲けなどには興味がないが、マスコミを通じて訪れる人に、
遥は真摯に対応する。

遥の能力は本物だった。やがてたくさんの人が集まり、
彼女を支たいという人が自然に集団を作り始めた。

宗教などではない。雪藤はそう思うが、
だんだんと宗教団体の趣を帯びてくる遥の支持者たち。

会の運営には経費がかかる。持ち寄りで済むはずもなく、
訪れる人からお金をとる、
また、スポンサーを得ることなどもしながら
だんだんと会はまとまっていく。

会社をやめ、「コフリット」という名前のついた
集団のまとめ役になる雪藤。
彼の他に、笠置という男もいつの間にか
コフリットにやってきて、重要な発言をするようになった。
雪藤は、如才ない笠置に信頼を置くことができない。

美しい遥の容姿だけに惹かれてやってくる人間。
会を大きくするために間違った手段に走る若者たち。
そんな人間が、雪藤は許せない。

雪藤にとって遥は、自分を救ってくれた神であった。
純粋な思いは結果、
まわりの誰に対しても不信感を抱くことにつながっていく。
孤立する雪藤。

そして最後は一気に破綻へなだれ込んでいく。
破綻劇の鍵を握る人物は、
最初から伏線が張られているのでこれは読んでのお楽しみ。

遥の失踪、雪藤の落胆。

しかし作者は、最後に優しい結論を用意してくれている。

人は弱いな。寂しいな。
そんなことを感じさせてくれる。読み応え十分。

感情を動かされたい、
小説の世界にどっぷりはまりたいという人がいたら、
最近では一番おすすめなのがこの小説。






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タグ:貫井 徳郎
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2008年02月15日

約束の地で・馳 星周




惜しくも受賞を逃したが、
前回の直木賞の候補作品だったそうだ。

北海道を舞台にした短編小説5編。それぞれ独立した作品だけど、
主人公が前の小説の登場人物と関わりがあるという設定なので、
最初の作品から読んでいくことをおすすめします。

・ちりちりと…

堀口誠はもう帰るまいと決めていたはずの故郷に戻って来た。
函館で事業を営んでいたが、共同経営者の友人に裏切られ、
破産しての帰郷だった。

自殺を思うが、父親が5千万近くの金を持っていることを
知人に聞かされる。

母と妹を亡くして以来、父は山奥の小屋で隠遁生活を送っている。
留守中に忍び込み、母と妹の墓に隠していた金を見つけるが、
戻ってきた父親に銃で撃たれてしまう。

・みゃあ、みゃあ、みゃあ

母親と二人暮しの美恵子。彼女は以前、堀口の父の愛人だった。
母は痴呆が始まっており、口汚く美恵子をののしる。

居酒屋で働く美恵子は、
以前から土屋という男に言い寄られていた。
笑顔が爽やかな土屋に惹かれた美恵子は、
ある日彼に体を預ける。

しかし、母の存在を知った土屋は、
美恵子と交際することはできないと言う。

交際を断られ、施設に入ることを拒否する母に疲れた美恵子は、
飼っていた猫を箱に入れて川に流す。

・世界の終わり

土屋智也。父の女癖が原因で、母と妹は出て行った。
犬のレオだけが心の支えである。

雅史という男に、半ば脅されて買わされたスクーターに乗って、
智也は町外れの開発予定地に出た。
そこでレオが骨を見つける。

骨を探すことに熱中する智也。夜中まで探していたところ、
警官に尋問され、ナイフで刺し殺してしまう。

智也は、骨を集めることで、世界の終わりがくると信じていた。

・雪は降る

知恵遅れの少年、智也にスクーターを売りつけたことを、
雅史は後ろめたく感じている。

しかしそのおかげで手に入れた車で、
憧れの先輩、美穂を函館まで送っていくチャンスに恵まれた。

どこか憂鬱そうな美穂。バッグに赤い色の何かがついている。

途中で入ったコンビニで、
雅史は美穂の弟が何者かに刺殺されたことを知る。

・青柳町こそかなしけれ

安衣子の夫、保はギャンブルが好きで
たびたび安衣子に暴力をふるう。

親友の恵理も同じような境遇で、
恵理は交換殺人を言い出すまでに追い詰められていた。

ある日、恵理の大事にしていた犬を、恵理の夫が殺してしまう。
彼を殺して、代わりに保を殺すから。
そう泣く恵理の言葉を聞いて、保は心を入れ替える。

犬の葬式の日、来なかった夫に激怒した保は、
彼をなぐって入院させてしまった。

犬を殺したことも、暴力をふるわれていることも、
恵理は警察には言わなかった…。

主人公たちは皆、人生に絶望している。
その苦しみとか、やるせなさとか、
作者はそういうことが書きたかったようだ。

どれを読んでもため息が出る作品ばかり。





ここからは勝手な感想です。馳ファンは回れ右?!


正直に言うと、人間の絶望と焦り、
あがきを描いた短編集というなら
鷺澤萌の「F」の方をおすすめしたい。

破産(ちりちりと)、老人介護(みゃあ、みゃあ、みゃあ)、
近親相姦(雪は降る)と、ありがちなんだよなあ。

おまけに、雅史と美穂の会話。違和感があるんだよなあ。
若い子は携帯の電源のことを「バッテリー」とは
言わないと思うのよこれまた…。

同じ、年老いた母を背負う娘の話にしても、
車で京都まで墓参りに連れて行ったらすべてうそだった、
という話が鷺澤Fにはある。
最後のどんでん返しが、あちらの方が鮮やかな気がする。
すみません。生意気で。

ただ、不夜城以来、多分だけど馳氏に寄せられてる期待、
暴力とアンダーグラウンド満載の作品をどうぞ!ってなところから、
別の境地に行こうとしている感じはする。




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2008年02月14日

鹿男あをによし




いいじゃないか、いいじゃないか!
描写よし、不思議あり、多少展開が読めるものの、
ストーリーよし、文句なし!

新進気鋭の若手作家、万城目学の「鹿男あをによし」。
ドラマになっているそうですね。

理系の大学院生の主人公は、同僚の昇進を阻むミスをしてしまった。
教授の命令により、奈良の女子高で教員として働くことになる。
期間は9月から12月まで、二学期の間だけだ。

就任一日目、堀田という女子生徒が遅刻をしてくる。
「鹿に乗って通学しているが、駅で駐禁をとられてしまった」
と言われ、真に受けてしまう。

からかわれたことに気がついた主人公は、
生活指導の教諭に訴えるが、
それを堀田は密告だとばかりに反抗を始める。

クラスの生徒が皆敵に回る中、ある日主人公は
鹿が自分に話しかけてくるという体験をする。

鹿は言う。
お前は鹿の「運び番」に選ばれた。
サンカクを手に入れろ。
サンカクは狐の「使い番」が持ってくる。

何がなにやらわからず、悩む主人公に
学校では新しい仕事が与えられた。
剣道部の顧問をやれというのだ。

断ることもできず、顧問として参加した会議で、
次の大会の優勝者に送られるプレートが三角であることに驚く。
しかもその会議の場所は「狐のは」という名前の料亭。

三角の優勝プレートを手に入れるべく、
剣道の達人であった掘田を部に迎え、大会へ臨む主人公。

剣道大会の描写は秀逸。立派なアクションシーンといって
差し支えない、と私は思う。

躍動感あり、お決まりのピンチもあり、
はらはらどきどき、最後はスカッという文句なしの展開。

そうして手に入れた三角のプレートだが、鹿は違うと言う。
そしてその日から、主人公の顔が鹿に変化していく。

鹿の言うサンカクとは、
卑弥呼が持っていた三角縁神獣鏡という宝物だった。
それを手に入れなければ、富士山が大地震を起こし日本は壊滅する。

邪魔をする鼠の使い、謎の狐の使者。
堀田まで鹿に変わってしまったこのピンチを、
主人公はどうするのか…。

かりんとうが好きな同僚の教師、
奈良の町の風景、
ポッキーが好きという鹿。
全体的にユーモラスなのもいい。

万城目ワールドにひたっているのが楽しい。愛すべき小説。




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人のセックスを笑うな




美術の専門学校に通っているオレは、
先生のユリと付き合ったがふられた。

はい。あらすじおしまい。

ああ、困ったな。今日は書くことがないや。困ったな。

映画化したこと、タイトルと著者の名前が印象的なことがあって
読んでみたけどなんだこりゃ。

文字は大きく行間ばかりでスカスカ。
専門学校生と39歳の女のセックスが書かれているが、
たいして盛り上がりもしない。エロくないんだ。

ユリも参加した飲み会の帰り、
「君のことが好きなんだよ」と言われたオレ。

絵のモデルになり、セックスもしてしまう。

ユリにはアトリエがあり、週の半分はそこで泊まっている。
夫のいる家には残りの半分しか戻らない。

焼きそばを作ったり、化粧の薄い顔を見てみたり、
ユリは肉が苦手だったり、
若い子にはない腹の丸みが好きだったり、
オレは次第に彼女に惹かれていく。

だが、セックスは上手ではないと思う。
(彼が上手か下手かは知らないが、描写が下手なのは確実)

家に行ったときにユリの夫に会うが、夫は別段何も言わず、
三人で食事をする。

最後、ユリは学校をやめ、夫とミャンマーに旅行に行く。
割り切れないオレ。切ない。こんな終わり方。

葛藤も、執着もない。あっさりしてることこの上ない。

言葉や台詞が印象的といえば印象的か。

ユリがニベアを塗らないのでかかとががさがさだとか、
夕日がきれいでまぐろの切り身みたいだとか、
電話なんて温度だ、とか。

かっこつけんでええからもっと人間を書け!!きちんと書け!!
愛も、恋も、欲も、性も、そんな生易しいもんじゃないぞ!!

非常に美しい画面の、まったく内容のない映画を見せられた気分。




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2008年01月22日

私の男




好き、嫌いが分かれそう。
今回の直木賞受賞作品。私は好き。

主人公は腐野花。くさりのはな、と読む。

冒頭は花の結婚式から。
エリートサラリーマンの美郎と結婚するのだ。

花の結婚式に出席する親族はただ一人。
父親の淳悟だけである。

遅刻してきた父にすがって泣く花。
ここで、花が震災の被害者であり、
家族を失った人間であることが明かされる。

当時9歳だった花を、27歳だった淳悟が引き取って育てたのだ。

美郎にとって、花は不思議な人物であった。
おっとりしたお坊ちゃんである美郎は女性に人気がある。

だが、花はそんなことを全く意に介さないようであった。
むしろ、偉大な父を持っている美郎に
同情しているようにすら見える。

花とデートを重ね、送っていった美郎は、
花をいつも迎えに来る淳悟に、
そして二人が住んでいるぼろぼろのアパートに、
淳悟の膝に顔をうずめて眠る花に、強烈な印象を受ける。

淳悟はもともと、北海道で海上保安官をしていた。
花が家族を失ったのは奥尻島を襲った地震と津波によるものだ。

美郎も父を海で失っており、厳しい母親に育てられたせいか、
親の愛情を知らない人間である。

父を失った折、親戚である花の実家で暮らしていたことがあり、
実は花の本当の父親は淳悟なのである。

淳悟に引き取られた花には、町の人の同情が寄せられた。
親を失い、仕事で何日も家を空ける海上保安官の家で
小さな女の子が暮らしているのだ。

中でも親切に声をかけてくれるのは、
町の名士である大塩さんである。好々爺で、人望も厚い。

大塩さんは、ある日、淳悟と花の秘密を知ってしまう。
年の差を越えて、養子縁組であるとはいえ
親子関係にある二人が、肉体を重ねていることを知るのだ。

別の親戚に預けようと、花を説得する大塩さん。
花は彼を、流氷の海に突き落とす…。

淳悟と花は東京に逃げ、追ってきた警察の男も殺害する。
都会の片隅でひっそりと生きる二人であるが、
花は結婚し、淳悟の元を離れる。

新婚旅行から戻った花は、
淳悟が亡くなったことを知らされる。


暗い、救いようのない内容。
読んでいて楽しい気分になることはない。
それは保証します。

淳悟のゆがんだ愛情を受け入れる花をグロテスクとも、
彼女と結婚してしまった男を不幸とも思えるし、
読みようによっては非常に不快を感じさせる内容でもある。

ただ、におい立つような文章がいい。描写がいい。

くらくらと、腐っていくような感じがなんとも言えない。
雨の日にひっそりと読みたい一冊。




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2008年01月16日

家日和




家庭をテーマにした短編6編。
どの主人公にも共感できる部分があり、
おかしくなり、切なくなる。

・サニーデイ
中学生の子供二人を持つ主婦。

不用品のいすを売ったことから、
インターネットのオークションに熱中するようになる。
熱が高じて夫の大事なステレオを出品するのだが…。


・ここが青山
勤めていた会社が倒産した男性。
妻が働きに出ることになったので主夫業をこなすことになる。

周りの人はみな同情し、励ましてくれるが、
子供の弁当作りは意外に奥深い。


・うちにおいでよ
妻が別居するといって家を出てしまった。

一人残された夫は、レコードプレイヤーを買い、
押入れにしまっていたミステリー小説を取り出してご満悦。

同僚もうらやむ男の城が完成したが…。


・グレープフルーツモンスター
DM用の宛名入力の内職をする妻。
新しく営業担当になった男は、今風の礼儀知らずの若者。

次第に彼の訪問を心待ちにするようになった妻の夢に、
怪物が現れるようになる。


・夫とカーテン
夫がまた会社を辞めてきた。転職して一年目だというのに。

妻はイラストレーターとして働いている。
やきもきしながらも、自分のイラストが高く評価されて驚く。

考えてみると、
自分がイラストの仕事で新境地を切り拓いてきたのは、
夫が無謀とも思える事業を始めたときばかりである。


・妻と玄米御飯
これが一番好き。

名のある文学賞を受賞した小説家。家計が突然豊かになった。
妻は仕事をやめ、「ロハス」に凝り始める。

唐揚げやとんかつの並んでいた食卓には
玄米ご飯が乗るようになり、子供たちも不平たらたら。

ヨガ、流木を使ったへんな工芸。
そんなものを皮肉な目で見ていた夫は、
ある日ロハスを風刺する小説を書き上げる。

編集者からは傑作と絶賛され、
自身もいい出来だと思っているが、
身の回りの人をモデルにしたことがありありとわかる。

迷った末、小説家はその小説をボツにすることを決意する。


どれも後味よく、きれいにまとまっている。
読んで損のない一冊。




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2008年01月13日

マンハント




リンカーン大統領の暗殺犯に主眼を置いて、
暗殺してからつかまるまでの12日間を克明に描いている。

文章が淡々としているので最初は読むのがつらいが、
読み進めるうちにどんどん引き込まれてしまう。

リンカーン大統領を暗殺したのは、
ジョン・ウィルクス・ブースという男。
容姿端麗で、高名な俳優だった男だ。

彼はマスコミにこんな手紙を送っている。

「多くの人々は、
わたしがこれからやろうとすることを非難するだろう。
しかし後世の人々はきっと正当に評価してくれる。
金貨よりも命よりもこの国を愛する。」

時は南北戦争が南部の敗北で集結した時代。
ブースは「白人のために作られたアメリカで、
黒人を解放しようとする」リンカーンを除くことこそが
正義だと感じていた。

綿密に暗殺の計画をたて、彼は劇場でリンカーンを襲撃する。
襲撃者に気づかないまま、リンカーンは頭部に銃弾を受けた。

リンカーンは即死ではなかった。だが、助かる見込みはない。
劇場の床で死なせるわけにはいかないと、
医師は必死でベッドを貸してくれる家を探す。

この間、大統領の頭をひざに抱え有名になった女優、
リンカーンに死の床を提供し、後に博物館になった下宿屋など、
おもしろいエピソードも多い。

襲撃の描写も非常に臨場感があり、
このあたりだけでも読む価値は十二分にある。

さて、ブースは大統領を襲撃し、
劇場から逃げ出すことには成功するが、
逃亡に関しては大雑把な計画しか立てていなかった。
おまけに、彼は片足を骨折するという災難に見舞われる。

知人の医師のところで手当てを受け、
メキシコに向かって南下していくブース。
ヘラルドというお調子者の若者が同行者だ。

メリーランド州で、ジョーンズという男の保護を受け、
マツ林に潜む二人。
俳優で都会の暮らしの長いブースにはつらい潜伏だった。

ようやくポトマック川を渡る手配をジョーンズがしてくれるが、
ボートは間違った岸に着く。

そんなことで時間をロスし、やっと到着したヴァージニア州で
南部軍兵士の若者に出会い、
ギャレット氏の農場で保護を受けるが…。

ネットも、もちろん電話もない時期なので、
情報の伝達と二人の逃亡のスピードの差がおもしろい。

最初に診察した医師は、リンカーンが暗殺されたことを知り、
二人を裏切ろうとする。

ジョーンズは知っていたものの、
南部人としての誇りを持って彼らのことは
老齢になるまで口にしなかった。

兵士の若者は騎兵隊に恐れをなして彼らの居場所を教え、
ギャレット家の息子たちは二人を納屋に閉じ込め、
火をかける手助けをする。

資料を丁寧に調べ、組み立てた
ミステリー仕立てのドキュメンタリー。

お時間のあるときにいかがでしょうか?

ハリソン・フォード主演で映画化も決定しているようです。



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2007年12月08日

小美代姐さん愛縁奇縁




美代子は大正14年、浅草で生まれた。
17歳で芸者になって、終戦直後に幼馴染の浩と結婚した。

一緒になったものの、
二人の家は適当な木材とトタン屋根を寄せ集めた
4畳半ほどの掘っ立て小屋。

おまけに美代子の両親も一緒なので、
若夫婦はなかなか二人きりになれない。

外で、あわただしく夫婦関係を結ぶ二人。
その甲斐あって(?)美代子は二人の子供に恵まれる。

夫浩の始めた商売は軌道に乗り、
夫の両親を呼び寄せて暮らし始めるが、
夫の母が強烈な嫁いびりを開始。

明るく受け流していた美代子だが、
我慢できなくて別で住んでいた実の両親の元へ帰った。

夫が間に入ってくれていったんは穏やかな生活に戻るものの、
夫の女遊びが次々と発覚。
恨むまもなく彼は癌で死んでしまう。

生計をたてるため、芸者に戻り小美代という名前で
お座敷に出る美代子。

色で売るような性格ではない。
子供がいることもあけっぴろげに話し、
それがかえって人気になるのであった。

ご縁があって会社社長という黄金山を旦那に迎える美代子。
旦那といっても本妻がいてのこと。

だが、本妻はさばさばした様子で嫉妬の色もない。
本妻から野菜やら漬物やらが送られてくる不思議な生活が始まる。

本妻がうれしそうなのも当然、黄金山はけちで嫉妬深くて、
美代子がお座敷に出るのも嫌がる。そのくせお手当ては雀の涙。

それでも美代子は、これも縁だからと
黄金山が亡くなるまで世話をする。

黄金山が亡くなった後、弁護士の恩田先生とご縁を結ぶ。
穏やかで優しい彼との生活は幸せなものだった。

恩田の本妻が亡くなったのを機に、二人は入籍する。
ホテルで結婚式もあげるのだが、
ホテル史上最高齢、88歳と68歳のカップルの結婚式は
なんだかくたびれるものだった。

脳梗塞で倒れた恩田の介護をし、彼の死も看取る美代子。

群ようこの描く女性は皆、どこかひょうひょうとして
運命を受け入れる。
といって苦しみや嘆きがそこにあるわけではなく、
「まあこんなものかしら。」という風に明るく流されていく。

美代子もそんな感じだ。あっけらかん、さばさばとしていて、
土地を売ったり買ったり、たくましく楽しそうに生きている。

有吉佐和子や橋田壽賀子が描くような
葛藤やねたみといったどろどろした感情がない分、
単調で深みがない小説になっているきらいもある。
と思う、私は。

それでもまあ、口当たりがよく、
読み終わるとこちらも「よっしゃ、楽しくやりますか。」と思える。
文章も非常にシンプルなので、
週末に読む癒しの一冊としてはおすすめ。





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2007年11月26日

でかした、ジーヴス!




「お前がいっそオウムだったら
よかったのにって思うときもある。
だったらお前にも少しは
正気があったってものじゃないかねえ。」

叔母のアガサにこんな言い方をされる若旦那のバーディ。
世間知らずでお人よし、行動派だけど少し抜けている。

そんな彼を補佐する執事のジーヴス。冷静沈着、頭脳明晰。
主人の服装から恋愛まで、的確かつ婉曲なアドバイスを与える。

こんなコンビが活躍する短編集。

私が一番好きなのは、二本目の「シッピーの劣等コンプレックス」。

場面はバーディがジーヴスを叱責している場面から始まる。
バーディが買ってきた花瓶を気にいらないジーヴスに、
主人の趣味に口を出すなときつく言い含めている。

さて、バーディにはシッピーという友人がいて、
彼は上流階級向けの雑誌の編集長をしている。

彼の目下の悩みは恋の行方と、
場違いな原稿を持ち込む執筆者である。

その執筆者は、シッピーの小学校時代の校長だ。
彼を見るたびにシッピーは
「くちゃくちゃ噛まれた吸い取り紙」みたいな気分になって、
その原稿を断ることができない。

そのシッピーを助けるために、
バーディは校長の威厳を失墜させる作戦を思いつく。

編集部に入ってくる校長の頭の上から小麦粉を落として、
粉まみれにしてやれば、
さすがのシッピーも校長に威厳を感じないだろう…。

しかし、作戦は失敗。校長は別のドアから入ってきてしまう。
うろたえるバーディ。
肝心のシッピーははつらつと見違えるようになっており、
校長の原稿掲載をきっぱりと却下する。

シッピーは恋が実ったことで自信を取り戻したのだ。

ジーヴスの策略で、シッピーはバーディの家に呼び出されていた。
そこで頭を殴られたところに恋の相手が登場。
倒れている彼を見た彼女は、抱いていた恋心を打ち明ける。

「シッピーを殴って、彼ははなはだしく気分を害しなかったか?」
そう問うバーディに、ジーヴスはあっさり答える。
「わたくしはあの方に、あなた様の新しい花瓶が
頭上に落下した旨、ご説明を申し上げました。」

そしてさらに言う。

「行為の信憑性を増すため、不本意ながら当該花瓶を
修復不可能なまでに破壊いたしてしまったものであります。」

見事、ジーヴスは問題を解決し、
気に食わない花瓶を割ったというわけだ。

最後はお約束どおり、
自分でしかけた小麦粉をバーディがかぶるというオチつき。

友人知人から困難を持ちかけられて奔走するバーディと、
それをもはやおちょくっていようにしか見えない
ジーヴスのフォローに何度も吹き出した。

文字の量も多く、じっくり読める。
イギリス流のユーモアたっぷり。

比喩が多く、ややまわりくどいと思われる文章なんだけど、
はまってしまうとこれがまたおかしくて仕方がない。

現実のわずらわしさを忘れられる一冊。

バーディがヒュー・グラント、
ジーヴスがアンソニー・ホプキンスで映画化を希望!



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2007年11月15日

聖灰の暗号




空は青く大地は緑 それなのに私は悲しい
鳥が飛び兎が跳ねる それなのに私は悲しい
生きた人が焼かれるのを見たからだ
煙として立ち昇る人の匂いをかいだからだ

須貝は歴史学を学んでおり、フランスに留学している。
現在は中世のキリスト教の一派、カタリ派について研究をしている。

カタリ派というのは、今から700年ほど前に
フランスのピレネーで信者を集めていた宗派だ。

キリストの復活を否定し、偶像を拝まない。
男女はともに平等に扱われ、中には女性の聖職者もいた。

聖職者は<良き人>と呼ばれ、カトリックの聖職者と違い、
家庭を持って日々の暮らしを営んでいた。
教会を建てず、金銭を持たず、
質素な暮らしの中でキリストの教えを守る宗派であった。

権威を守りたいカトリック教会としては、
そのカタリ派が目障りである。
異端として、その聖職者や信者の弾圧が行われた。

徹底した拷問のあげく、生きたまま火あぶりにする。
その様子を描いたのが冒頭の詩である。

さて、須貝のいる現代に話を戻します。

たまたまトゥルーズの私立図書館で
この詩が書かれた古文書を見つけた須貝は、
同時に見つけた地図を持ってピレネーに向かう。

目的はそこに隠されているはずの残りの手稿を探すことである。

この稿を残したのはマルティというカトリックの聖職者。
彼はピレネーの出身で、
そこで使われていたオキシタン語の通訳として
弾圧に加わっていたのだ。

しかしそのあまりの残虐さに、
後世にそれを残そうとしてこれを記した。
ピレネーの山に隠したのは、
カトリック教会の手で葬られることを恐れたからだ。

キリスト教の歴史において、
同じキリスト者であるカタリ派を
残酷な手段で殲滅したことは語られたくない暗部である。

精神科医のクリスティーヌ、
ピレネーでナイフ作りをしているエリックとともに
手稿に迫る須貝にも、教会の手が伸び…。

古文書にかかわった人間が死んだり、
クリスティーヌが誘拐されたり、
また、手稿探しそのものがミステリーの要素を含んだ小説。

だが、やや都合のよすぎる展開があり、
ミステリーとしては満点とは言いがたい。

この本で著者が語りたいのは、
歴史の中でひっそりと葬られたカタリ派の悲劇なのである。

ミステリーとしては物足りないが、
しかし、その弾圧の様子、
信仰を守ろうとする人たちの真摯な思いに十分に感動させられる。

帚木蓬生という作家は、
こういったひそかに封殺された悲劇を描き出すのがとてもうまい。

人の醜さをあぶりだす筆致に目をそむけたくなる作品が多いが、
それでも読みすすめずにいられない。

悲劇を掘り起こし、
陽の下に照らそうとする著者の優しさと強さを
同時に感じることができるからではないかと私は思っている。

上下巻で長い小説なんだけど、
お時間があればぜひ手にとっていただきたい本。




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2007年11月08日

水上のパッサカリア




大道寺勉。
四十代の男で一級整備士として働いている。
東京からこの翡翠湖のほとりに越してきたのが3年前。
同居していた内縁の妻、
菜津を五ヶ月前に自動車事故で亡くしている。

菜津は以前、焼肉屋のウエイトレスとして働いていた。
内気で、自信がなさげで、
いつも「勉さんに捨てられるかもしれない。私は馬鹿だから。
」と言うような女であった。

そそっかしくて、活字はきらい。映画が好き。
パソコンなんてできないので、妻の劣等感を刺激しないために、
勉はいつも菜津がいないときしかパソコンの電源を入れない。
菜津が亡くなったのは三十歳。

はあ、こんな女いるかよ、と思いつつ読み進める。
私はこんな卑屈な女と、そういう女が好きな男がきらいだ。

さて、妻の残した犬と暮らしている勉のもとに
かつての仲間が現れる。

勉は以前、始末屋という仕事をしていた。
非合法で、誰かの依頼を受け復讐をするという仕事だ。

彼らは、菜津の事故は仕組まれたものだと言う。

勉が最後に受けた依頼は和田という男を失脚させるというものだ。
和田は、実業界の大物服部の隠し子であった。
その服部が、彼らに復讐を仕掛けていると言う。

奈津の弔い合戦として、斯波、冴子、ヒデ、岡野たちと
服部に立ち向かうことになる。

斯波は勉の義理の親である。母と再婚したのだ。

斯波は弁護士でありながら裏社会に通じた男で、
十八歳になった勉をアメリカのサバイバルキャンプに
強制的に参加させ、前の父親の残した遺産を手に入れようとした。

この辺の設定、非常にあいまいである。

サバイバルキャンプなるものが、
ベトナム帰りの軍人の開いたキャンプであるらしいのはわかるが、
それが傭兵の訓練所なのか、
ただの不良の厚生施設なのか、よくわからない。

とりあえずそこで厳しい訓練を受けた勉は、
頭脳、体力ともに優れた人間になっていた。

そこで、服部への復讐、になるのだがこれがいまいち展開がなく、
冴子、岡野との仲間内のしがらみがえんえんと続く。

最後はどんでん返しのつもりなんだろう。
実は服部は奈津の事件には関係がなく、
斯波と冴子が勉のお金を狙った事件だった。
返り討ちにしておしまい。

こんなお話でした。

新人賞だそうなんだけど、
へえ、こんなのが受賞できるのかって感じ。

文章は無意味に長く、句点ばかりで読点がないので読みにくい。
はっきり言ってリアル鬼ごっこより読みにくい。

勉の超人ぶりも一昔のハードボイルド気取りなのが辛い。

帯で絶賛してたのでかなり期待したんですが。



さらに過激な本音の感想は…
http://haraguro-momo.seesaa.net/article/65269806.html

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2007年11月02日

リアル鬼ごっこ




最近の邦画ってどうよ?
題材選びが安易すぎないか?

というわけで、ネット上で大人気のリアル鬼ごっこ。
文芸社版が手に入りましたので、読んでみました。
これが映画化されるって、売れてればなんでもいいのかな。

ストーリーはこんな感じ。

西暦3000年の(多分)日本。
そこは独裁で、自己中心的な王様が治める王国である。

王様の姓は佐藤。
ある日、王国には佐藤姓の人間が500万人いると聞いた王様は
それを不快に思い、佐藤姓を絶滅させようとする。

改姓でもさせればいいのに、王様が選んだのは
佐藤姓の人間を粛清すること。
午後11時から12時までの間、
佐藤さんが捕まえられる鬼ごっこを王国で実施する。

佐藤さんを捕まえる鬼は、
佐藤センサーを備えたゴーグルを持っている。

ちなみにそれには王国中の佐藤データがつまっている。
鬼の数は100万人。2日程度で作らされた企業も大変だ。

主人公翼は陸上の選手で足が速い。
父親、親友、妹を失いながら最後まで生き残る。
そして、鬼ごっこの閉会式で王様を…。

うーん。こうやって書いたら面白い話みたいに見える、かな?

しかし、実際に読んでみると
その文章と設定の破綻ぶりに何度も頭を抱え、
苦笑、失笑、最後には爆笑となってしまう。

ネット上で大人気なのも、
そのめちゃくちゃさが理由であるようだ。

まず、西暦3000年。鬼ごっこはマスコミを通して発表されるが、
未来の日本はそんなことが許容される社会になっているのか?

また、殺されるとわかっていて逃げない佐藤さんも不思議。
1日のうち1時間。なぜ鬼ごっこに参加するのか?
山奥にでもいっていたらダメなのか?海外とか。

家で待っていて殺される佐藤さんには申し訳ないけど…。
(以下自主規制)

そして不可解かつ不気味な文章。

「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた。」
????

「 ランニング状態で足を止めた。」
走ってるの、止まってるの、どっち?

「翼は辺りをキョロキョロさせながら 」
無理だろう。

「翼は一枚皮がめくれたというか、たくましくなった。」
「翼は写真から強引に目を引き剥がした。 」
いてててててて!


私は30代で、もう年寄りの部類だからそうなのかもしれないけど、
本に対しては愛情とか、敬意みたいなものを勝手に抱いている。

結果的には間違いなるのかもしれないけど、
真実を描こうとした作家の努力が
そこにあるという幻想をいまだに持っている。

資本主義の世の中だから、
お金になればそれでいいのかもしれないけど、
本にする以上、もう少し文章に、内容に責任を持ってもらいたい。
最近出版される本に対して時々そう思う。

リアル鬼ごっこ。この本がどれだけ面白いか、
アマゾンのレビューを読んでいただくとすごくわかる。
上のリンクからどうぞ!




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posted by momo at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 話題の小説系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする