平日日刊話題の本の情報をお届けします。
自己啓発、料理、動物、経済、趣味のコレクション、
一緒に本を楽しみましょ♪
2007年05月22日
ずっと前から気になっていた心霊探偵シリーズ。
かといって1から読むのもなあ、と思っていたのですが、
おもしろいよ、という声に押されて読んでみました。最新刊です。
主人公は斉藤八雲という青年。
左目が赤く、その目にはこの世のものではない霊の姿が見える。
普段は人目を気にして、黒いコンタクトレンズをつけている。
彼の理解者は、友人の晴香と、おじの斉藤一心。
特に一心は、容姿のせいで孤独であった八雲のよき保護者であり、
八雲にとっては大切な人間だった。
その一心を、美雪という女が殺すと予告する。
しかし、どうやって?
美雪は以前殺人事件を起こしており、
(以前の巻で起こった事件であるようです)
拘置所に拘禁されている。
それなのに、予告どおりに一心は何者かに刺されてしまった。
住職である一心が、普段の日課どおり座禅をしていたときに
刺されたのだ。
一命は取り留めたものの、
脳死という重い症状に悩み苦しむ八雲。
その時間、拘置所にいた美雪は喀血して倒れ、
医務室に運ばれている。
何とか美雪のアリバイを崩そうとする刑事たち。
八雲と晴香は、一心が入院している病院を探り始める。
実はその病院から、一心が刺される前に、
病院に出るという幽霊の謎を
探って欲しいという依頼をされていた。
病院に出る少女の幽霊と、刺された一心。
美雪の予告、崩せないアリバイ。
八雲を絶望に取り込もうとする、両目が赤い男。
これらの要素がからまりあって、
最後の最後まで謎が解けませんでした。私。
八雲というイレギュラーなヒーローを核に、
晴香、刑事の後藤と石井、新聞記者の真琴。
こんなチームが出来上がっていて、元来孤独で、
毒舌家の八雲が少しずつ心を開いていく様子が
物語の横糸になっている。
(縦糸は事件の謎解きね。)
特に晴香との関係が、もどかしくもありほほえましい。
八雲を大切に思う晴香と、
バカにしたような口でしか話せない八雲。
シリーズを続けるための要素がぎっしりつまった
エンターテイメント小説になっています。
最新刊しか読んでませんが、ぜんぜん問題ありませんでした。
一作でも楽しめる物語になっている。
最後は涙、涙。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 11:28|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年05月15日
読む人の年代、社会経験で評価が分かれる作品だと思う。
私としては今ひとつというところだった。
一言で言えば、容姿にめぐまれ、
芸能人になった女の子が、芸能界の荒波にもまれ、
セックススキャンダルで消えていく。
こんなお話。
年下の恋人に別れ話を持ち出された幹子だが、
避妊具に細工をして妊娠する。
フランス人とのハーフであるトーマとは、
それで結婚をすることができた。
やがて生まれた夕子は容姿端麗で、
キッズモデルとして芸能生活をスタートさせる。
スターチーズというチーズの会社が、
夕子をCMモデルに起用したいと申し出てきた。
半永久的な契約で、
毎年夕子をモデルにしてCMを撮るというもの。
成長の過程がCMとして流され、人気の出た夕子は、
あるプロダクションに所属することになり、
本格的な芸能活動を始める。
レースクィーンのチームに参加したり、
ドラマに出たり、多忙な生活を始める夕子。
なんとか高校に合格したものの、
授業中にはほとんど寝ていて友達もいない。
学校生活を写真に撮られてネットにアップされたり、
人々の悪意にさらされることが、夕子にはつらいことだった。
そんな中、あるダンスユニットの少年と恋に落ちる夕子。
その頃、夕子は大学受験のために芸能活動を休止しているが、
勉強などそっちのけで初めての恋にのめりこむ。
恋人は、夕子が相手に対するほどは夕子のことを思っていない。
ある日、恋人はホテルの部屋に友人の男を連れてくる。
その男がビデオカメラを回す前で、恋人と関係する夕子。
その画像がインターネットに流れ、事務所からは叱責され、
仕事が来なくなる。恋人も彼女から離れてしまった…。
と、こんなラストです。
恋人に裏切られてかわいそう!と思えるか、
自業自得と思うか、この辺で小説の評価は変わってくるかなあ。
三十路の私としては、アホか、切腹申し付ける!で終わりだな。
両親の愛情が冷めていく過程、ネット上での悪口など、
それなりに「ネタ」はちょこちょこ埋められてるんだけど、
いまいち主人公が生きておらず、感情移入がしづらい。
すべての悲劇がありがちすぎるのも悲しい。
一生懸命書いた、ということはよくわかる。
努力賞、というところかな。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 10:29|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年04月27日
主人公ゼムは、18の民族の混血で、自由を愛し、
ヨットで生活している。
職業は建築家。ニューヨークに事務所を持っている。
彼のいとこ、カウフマン派証券会社勤務。
巨大なエネルギー商社の会計に疑問を抱き、調査を進める。
ゼムの顧客にウラディミールというロシア人富豪がいる。
アメリカの政界にもつながりのあるウラディミールは、
9月11日には外に出ないようにゼムに忠告した。
そして、その日、ニューヨークで同時多発テロが起こった。
それを知っていた人間がいる。
そのことから、カウフマンは
大掛かりな株の取引が恣意的に行われ、
テロで儲けた人間がいることを知った。
そして、カウフマンは同僚に殺害される。
テロ以来、アメリカはおかしな方向に向かい始めた。
フォスター大統領はイラクに戦争をしかけ、
たくさんの貧しい若者が生活のために軍隊に入った。
ゼムの知り合いの黒人少年、ジョージもそうだ。
愛国者法が制定され、確たる証拠がなくても
逮捕ができるようになってしまった社会に、
ゼムは友人たちと抗議を始める。
劇作家のナタリー、写真家のジャック。
だが、警察は彼らを不当に拘禁する。
そんな中、ゼムはウラディミールの美しい妻、
ソーニャと恋に落ちる。
ニューヨークはその後、自由の女神が爆破され、
ラジコンの飛行機が白い粉をまいた。
それは「ニューヨーク地下共和国」なる
テロ組織によるものであった。
地下を捜索していた警察によって、原子爆弾が発見される。
それは、ウラディミールがかつて、スターリンの命令によって
アメリカに持ち込んだものであった。
真実が語られないまま、ゼムは警察の手によって…。
とまあ、こんな話です。
え?まとまってない?
そう、アクションや面白そうなネタがてんこ盛りなんだけど、
最後までまとまりがなく、
ばらばらのまま終わってしまった小説でした。
梁石日は、こんなこと私ごときが言うのもなんだけど、
文章がうまくない。
文末が「だった」「した」など「た」で終わることが多すぎて、
読んでいてどうしようもなく退屈なのだ。
台詞が長すぎるのも難。
それが、血と骨とか夜を賭けてみたいな、
ストーリーに迫力があるものだと
その淡々とした語りが生きてくる。
でも、今回みたいな創作モノになると、
一気に世界が瓦解していくからつらい。
そう思うのは私だけでしょうか?
タイトルからしておもしろそうで、かなり期待したのになあ。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 12:01|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年04月16日
三浦しをんという作家さんは、
とてもおもしろい。
直木賞作家なんだけど、文学者というより
字を書く漫画家みたいだ。
ちょっと主流をはずれたような漫画にも詳しいみたいだし。
そんな三浦しをんさんの、直木賞受賞作を
やっとですが読みましたので、ご紹介させてください。
ああ、これ、もっと早く読めばよかった。
漫画大好きの私の感性にはぴったり、おもしろかったです。
架空の町、まほろ市が舞台。
東京と神奈川の県境にあり、主人公いわく「まるで国境の町」。
そんなまほろ市で、多田は便利屋を営んでいる。
そこにひょんなことから、
高校時代の同級生行天が転がり込んでくる。
高校時代は無口で親しい友人もいなかった行天。
その行天に、多田は負い目があった。
彼は小指を切断する事故にあったことがあるが、
その原因が多田にあったのだ。
行天の性格の破綻ぶりがいい。
「犯罪が目の前で行われたらどうする?」
「無視する」
一文無し、アルコール漬け、衝動的に暴力を振るう。
暴力を振るうのは、女性に危害を加える男にだけなんだけど、
その無神経ぶりが徹底してる。
そんな二人がいろいろな依頼を受け、
トラブルに巻き込まれながらすごす一年のお話。
塾帰りの小学生を送り迎えする仕事をする二人。
深夜にまで帰らない両親と、愛情に飢えた小学生。
子供に向かって、多田はこう言う。
「多分、両親からは
お前が求めている愛情を得られることはない。
でも、お前が大人になって、家庭を築くことはできる。」
冷たい現実が夢みたいなハッピーエンドになることはない。
でも、それなりに胸にぐっとくるエピソードがつづられている。
多田は子供を亡くし、結婚生活を破綻させた。
行天は親から虐待を受けたらしい過去がほのめかされている。
そんな二人が、少しずつ自分の傷に向き合うという物語だ。
売春婦のルルとハイシー、麻薬の売人星など、
個性的な登場人物もいい。
文句なく、理屈なしで楽しめるエンターテイメント小説。
これはおすすめです。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 14:18|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年04月12日
雑種の犬、
ミスター・ボーンズの目を通して語られる物語。
ボーンズの主人、ウィリーは、ジャンキーでホームレス。
職業は詩人。
彼の両親は、ナチスのホロコーストを生き残った
ユダヤ人夫婦だ。
重苦しい家庭に違和感を感じて育ったウィリー。
ヒッピー全盛のアメリカで、
大きくなったウィリーも麻薬や放浪にのめりこむ。
そんな主人と一緒に各地を放浪するミスター・ボーンズ。
主人の言葉をきき、よき理解者であろうとするボーンズ。
やがてウィリーの母が亡くなり、
ホームレスになってしまったウィリー。
保険金が入ったのだけど、
善行のためにあっという間に使い果たしてしまったのだ。
やがて体を壊し、死期を悟ったウィリーは、
高校時代の恩師をたずねてボルチモアを訪れる。
しかし、恩師に会うこともできず、路上で倒れこんでしまう。
寒い中でじっと身を寄せ合い、主人の支離滅裂ともとれる
言葉にじっと耳を傾ける犬の姿がなんとも哀れで、
いじらしく、そしておかしい。
人間たちがウィリーを保護しようとやってきたとき、
ボーンズは主人のもとを離れて逃げ出します。
人間は病院に保護されるけど、
犬が連れて行かれるのは保健所だから。
ウィリーが、ティンブクトゥに行ってしまったことを悟る
ボーンズ。
ティンブクトゥ。
それは、ウィリーがずっと口にしていた、
死後に行くことのできる楽園のことだ。
いろいろな苦難に会い、
夢の中に出てくるウィリーと一生懸命話をするボーンズ。
夢の中で、ウィリーが、
ティンブクトゥに招いてくれているのを確信し、
ボーンズは…。
途中、投げ出したくなった作品。
ウィリーの言葉が支離滅裂で、私はこういうの苦手なんだ。
ライ麦畑でつかまえて、なんかが好きな人には
たまらないかもしれないけど。
でも、犬のボーンズが、彼のろくでなしの主人を愛し、
慕う姿に、何度か涙が浮かぶのをこらえられませんでした。
ウィリーの社会不適合ぶりも、
なんともいとおしく感じられるほど、
ボーンズの目線が優しい。
こんな風に愛されてみたい。とっても優しい優しい物語。
犬好きな方はぜひどうぞ。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 14:28|
Comment(1)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
これは!
久しぶりに、どっしりした骨太の小説を読めた
満足感でいっぱい。
親が興した会社、赤松運送という
小さな運送会社を経営している赤松という男性が主人公。
ある日、自社のトラックが事故を起こしたという連絡を受ける。
タイヤが外れて、通行中の女性にあたり、
死亡してしまったという事故。
整備不良ということになると、社員の中から逮捕者が出る。
だが、ホープ自動車製のそのトラックの整備には問題なく、
十分な証拠が得られないまま、警察は捜査を打ち切った。
しかし、取引先からは仕事を引き上げられ、
資金繰りが怪しくなってしまう。
長年の付き合いであった東京ホープ銀行は、
融資に応じてくれない。
そう、ホープというのが、三菱のことなんですね。
ホープ自動車は三菱自動車。
ホープ銀行は(かつての)三菱銀行。
さて、主役になるのは赤松だけではなく、
ホープ自動車のカスタマーサービスの部署に勤める
沢田という人間にも焦点が当てられる。
赤松は、自社の整備に不備がないことを知ると、
トラックそのものの欠陥を疑い始める。
問い合わせに応じうるのが沢田だ。
たかだか零細企業ごときの
「クレーマー」に付き合っていられるか。
そうあしらっているものの、
だんだんとホープ自動車の上層部が
今回の事故に関して何かを隠しているのに気づく。
以前にもリコール隠しが発覚し、
多大な損害をこうむったはずなのに、
会社は何も学んでいないのか?沢田は自問する。
実際にあった事件がモチーフになっているので、
ホープ自動車が最後に告発されるのはわかっているんだけど、
赤松に次々と襲いかかってくる苦難に、
読んでいるほうも「負けるな!がんばれ!」
と力が入ってしまう。
銀行の貸しはがし、マスコミの告発に期待するものの、
ホープからの広告を載せている雑誌は真実を書けず、
子供は学校でいじめの対象になってしまう…。
零細企業の社長の意地もさることながら、
迷いながら、自己の保身も社内の政治も考えながら、
苦悩する沢田の姿もいい。
また、消費者をないがしろにし、
社内政治ばかりに気を配る財閥系企業の社員たちにも、
胃がぎりぎりする思いがする。
最後、とうとう赤松がホープ自動車のトラックの欠陥になる
証拠を見つける。
よかった、よかった、よくがんばったよ!!
社会派小説であり、経済小説であり、さらに最後にぐぐっと
カタルシスが味わえるエンターテイメントでもある。
時間をたっぷりかけて読んで損のない一冊。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 14:21|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年03月17日
人気小説、バッテリーの最新作。
最近映画化されているので、
ご覧になった方もいらっしゃると思います。
舞台は地方都市。(岡山県の小さな町だと思います)
転校してきた天才ピッチャーの巧と、
彼のボールを受け続ける地元の少年豪。
二人の不器用ながらも、
一途に野球にかける姿を描いたバッテリー。
野球の描写は今ひとつ、という評価もありますが、
少年の成長物語として、人気のある作品です。
ラスト・イニングは、巧と豪ではなく、
彼らのライバルたちのお話。
中学最後に、巧・豪のひきいるチームを試合をした
横手第二の選手たちは、
それぞれ高校に入って新しい生活を始めていました。
巧みの投げるボールに魅せられた秀吾は、
名門校への推薦を断って、地元の高校へ進学。
彼ともう一度対戦できることを目標に練習に励んでいる。
秀吾と幼馴染で、彼の野球の理解者であるはずだった瑞垣は、
野球をやめ、進学校で勉強にうちこんでいた。
野球はやめた。
たかだか部活動じゃないか。
そうやって毎日をやり過ごす瑞垣のところへ、
かつてのライバル海音寺から電話がかかってくる。
瑞垣は何かから逃げている。
野球からか、秀吾からか。
最後の試合で、横手第二は
巧と豪のバッテリーを打ち崩すことができなかった。
瑞垣がずっと信じていた秀吾は、巧とは違う。
巧ほどの傲慢さがなく、優しすぎる。
自分は、そんな秀吾と一緒に野球をしながら、
心の底でいつか秀吾がぼろぼろに敗れるところを
見たいと思っていた。
豪が巧を信じているその強さが自分にはなかった。
最後の試合の様子が、何度も回想として語られ、
瑞垣の、秀吾と野球への葛藤が描かれる。
だが、海音寺が瑞垣の妹と親しくなったことから、
瑞垣のぐるぐる回る思考に突破口が開かれる。
秀吾に会いに行く瑞垣。
そして、卒業した中学校の
後輩バッテリーの指導を引き受けることになる…。
ストーリーとしてはこんな感じでした。
私はこのバッテリーシリーズを読んでいると、
どうしようもなく苦しくなるんだなあ。
ここに出てくる子たち、あんまりにもきれいすぎるんだ。
同性の友人、チームメイトへの感情が、
恋愛にも似た重さを持っていて、どうにも読むのがつらい。
そして、その世界に酔うほど私は若くないだなあ。
それでも、少年たちの一途さ、不器用さには心を動かされる。
人気シリーズになるの、わかる気がします。
部活動に打ち込んでいた方、もう一度あの頃の切なさを
思い出したい方にはオススメのシリーズです。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 22:42|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年02月27日
選考委員が絶賛した第136回芥川賞受賞作、だそうだ。
20歳の知寿は母と二人暮し。
その母が仕事で中国に赴任することになる。
東京に住みたいという知寿に、母はある女性を紹介した。
70歳になるそのおばあさんは、遠縁の親戚で、
いろいろと女の子を同居させてあげていたそうだ。
春のある日、知寿はそのおばあさんの家を訪れる。
それからの1年を描いた作品。
知寿の面倒を特に見るでもなく、
どちらかというと放任主義のおばあさん。
おばあさんの料理が薄味なのが物足りないが、
平穏に日々は過ぎていく。
おばあさんにはホースケさんという、
同じくらいの年齢のボーイフレンドがいる。
おばあさんが化粧したりする様子を意地悪く見る知寿。
ときどきわざと薄着をして、若さを見せ付けたりもする。
知寿には彼がいたが、浮気現場に遭遇してしまい、
あっさりと別れる。
駅のキオスクで働き始めた知寿。
そこで働いている藤田君と再び恋に落ちる。
夏休みに帰国した母との再会。
ホースケさんとおばあさんとすごす、淡々とした日々。
やがて、駅にイトちゃんという
アルバイトの女の子が現れたことで、
知寿の日常に変化がおきる。
誰にでも明るく接するイトちゃんは、
藤田君と知寿と一緒に行動することが多くなった。
ある日、いきなり別れを告げられる知寿。
駅のアルバイトをやめ、新しく始めた事務のアルバイト先から
正社員にならないかという声がかかり、
社員寮に入ることになった。
再びめぐってきた春に、知寿はおばあさんの家を出て行く。
こんな感じのお話でした。
うーん。
これは面白いのだろうか。
知寿の、小さなものを盗んで(たばことか、ボールペンなど)
靴箱にしまいこむ性格。
細やかで、きれいな描写。
おばあさんが、女性として鮮やかに描かれる様子。
全体的に繊細。
だけど、知寿の自己評価の低さ、
生きる気力のなさにちょっと辟易しました。
これが今の若い子の生き方なのか?
それに、登場人物みんなに現実感がないんだよなあ。
みんな植物みたい。
おばあさん、ホースケさん、藤田君、いろいろ出てくるのに
タイトルが「ひとり日和」というのもどうなのよ?
セックスも安易、別れるのも安易。
かといって、選考委員の慎太郎先生が書いた奔放さもない。
もっとココロゆさぶられる小説に会いたいぜ!!
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 13:00|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
主人公の杉子は11歳。小学校に通う女の子だ。
父は「何の仕事をしているのかわからない」人。母は詩人。
そんな両親と、両親が集めた本から杉子は言葉を覚えた。
学校にいるほかの子供と、自分の言葉が違う。
私の言葉は彼女たちに通じない。
そんな風に感じる杉子は、休み時間は本を読んですごし、
「教室移動ですら集団でしかできない」女の子たちに
さめた視線を送っている。
こんな始まり方のお話です。
私がこの本を最初に読んだのは、
まだ小学生くらいだったと思う。
当時、あまり理解できなかったんだけど、
とっても印象に残ってた。
それが文庫で再販され、本屋に並んでいたときは即買いでした。
集団にうまく溶け込める人というのが、
私はうらやましくてしょうがない。
大人になって、それなりにこなしているつもりだけど、
やっぱりどこかひやりとする。
そんな気持ちを、この小説はうまくすくいとってくれます。
さて、孤高の存在でいたかった杉子に、
いじめられっこのまりかちゃんが
友達になろうとして近寄ってきます。
一人でいると変な目で見られてしまうから。
そんな理由だけで近寄ってくる彼女を疎ましく思う杉子。
でもさ、一人でいることが、
集団からはみ出しているということと同じである学校生活で、
杉子にこびるまりかちゃんの気持ち、
私わかるなあ。
学校生活にうんざりしている杉子ですが、
新しくきた音楽の先生に次第に心を開いていきます。
彼女も、杉子と同じ、
集団から少しはみ出した個性を持っていたから。
杉子には兄と弟がいます。
兄も弟も、学校生活にはなじめない。
弟は空手を習って、理不尽と戦っていきますが、
兄は学校を中退してしまう。
そんな兄弟を持つ母親は、自分もかつて、
集団になじめなかった人間の一人であり、
子供たちがその苦労をしていることに心をいためています。
個性的な両親を持つということは、幸せなことかもしれない。
山田詠美風にいえば、「人間として上等」な
子供たちかもしれない。
けれど作者は、孤独でよしとしていた杉子も、
実は心の奥底では「普通の子供がうらやましい」と
感じている様子を描き出します。
頭がよくて、ちょっと大人びている子。
こんな杉子の孤独、悩みをきれいに描き出してます。
音楽の先生が、杉子の母親に相談に来る場面がいい。
子供を授かった先生だが、
自分のような人間が子供を産むことが怖い、
と悩みを打ち明けます。
それに対し、母も、杉子の兄を産んだとき、
同じ気持ちであったことを話します。
私の言葉で話しをしてあげようと誓ったこと、
強い子になって欲しいと願ったこと。
どこであれ、集団というのはある意味閉鎖的で、
異質なものを受け付けない。
異質であることを自覚し、どこかで孤独をかみしめていた
かつての子供、そして現在もそうである大人の方に。
これは心からオススメできる一冊です。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 11:24|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年02月17日
第133回芥川賞受賞作。
主人公は27歳。タクシーの運転手をしている。
施設で育ち、今はアパートに住んでいて、
白湯子という女性と同棲している。
恋愛感情があるわけではなく、
白湯子が、以前勤めていた会社をやめたときに
転がり込んできたのだ。
肉体関係はあるが、白湯子は行為で感じることがない。
子供を死産して以来、不感症になったのだそうだ。
過去に、親戚から凄惨な虐待を受け、
山の中に埋められた主人公は、
白湯子とお互いに何も生み出さない関係を続けている。
冒頭は、主人公が若者に殴られるシーンから。
自分から挑発するようなことを言い、なぜだか殴られたがる彼。
他にもコーヒー缶を高いところから落とし、
潰れる様を見たがるなど、屈折した感情の表現が続く。
転換点となるのが、白湯子の怪我。
自暴自棄になっている白湯子は、日々飲み歩いているが、
そんな中、入院するほどの事故にあってしまう。
保険もない、お金がない彼女のために、
主人公は施設の職員に会いに行く。
白湯子のためにも、タクシーに乗る彼だが、
ある日タクシー強盗に遭遇する。
暴力を振るわれ、殺されるような思いをして、
恐怖を追い求めていた自分と、
その恐怖を乗り越えたい欲求がある自分に気が付く彼。
必死に生きるために逃げ出すが、
スピードを上げた車ごと、ガードレールに突っ込んでしまう。
事故から生き残り、やや光が見えたか、というエンディング。
それにしてもずーっと重い、暗い小説でした。
子供の頃受けた傷のため、人とうまく関係を結べない主人公。
母親を憎悪し、かつ自分にもその血が流れていることを
認められない白湯子。
お互いがお互いを「ましな人」と思ってるのがなんか切ない。
ただ、白湯子っていう名前はどうかな。
そんな名前を子供につける親がいるだろうか。
そこのところがちょっと気になったけど。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 00:46|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年02月08日
中国の春秋戦国時代、秦による中国全土統一前のこと。
当時、中国にはいろんな思想家集団がいたそうです。
有名なところでは、孔子の儒家。孫子もこの時代の人らしい。
その中で異彩を放っていたのが墨家。
大国に攻められた城に入り、城を守る「戦闘職人」がいた、
というのが他の集団にはない特徴です。
土木、武器の考案から作成、用兵、食料の管理。
さまざまな技能を持つ人間たちが、
ひたすらにその城を守りぬいたそうです。
さて、ストーリーを。
大国趙に攻められた、小さな梁の国。
その城を守るために、墨家から革離という男が派遣されます。
不審がられる革離ですが、王を説き伏せて、
城中の全権を委託されることになります。
村人は全員、男も女も戦うべし。
小さい集団に分け、連帯責任を負わせる。
男と女は会ってはいけない。
戦闘中は、男女の接触は禁止する。
厳しい規律を与え、革離は着々と防御の備えを進めます。
壁を、武器を作り、素人である村人を指導し、
超人的な働きぶりの革離。
戦争は作業である、という徹底した職人ぶりが、
なんとも言えずクール。
やがて、趙兵が進撃してきますが、難なく撃破。
城壁に群がる兵だけでなく、
地面を掘り進んできた敵に対しても、
墨家には対応できるノウハウがあった。
こちらからは3本のトンネルを掘り、
敵の3倍の兵力を投入することで退けたのだ。
強い!強すぎる墨家。
しかし、一方で、強い指導力を発揮する革離に、
王の息子、梁適が、不信感を募らせている。
その頃、趙の軍隊には退却命令が出ていた。
将軍の港は、梁の捕虜から
墨家が守りを指揮していることを聞き出します。
墨家が相手なら、この苦戦も仕方がない。
それでは、今一度攻めてみて、だめであったら退却しよう。
港は捕虜を城に戻し、最後の出撃を始める。
梁の城では、戻ってきた捕虜を、革離が処刑します。
その捕虜とは、梁適の最愛の女性だった。
梁適の怒りが頂点に達し、その矢が放たれた先には…。
戦闘シーンも迫力がありますが、
まず、墨家という集団の魅力に取り付かれてしまう。
薄い本ですが、読み応えは十分。
映画とあわせていかがでしょうか?
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 12:52|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年02月02日
ヒナコは商社に勤めるOL。
くだらない男性社員の補助の仕事をしている。
夜遊びにも飽きた。ワーキングホリデーで、
いつかオーストラリアに行ってみたいという夢をかなえるために、
キャバクラで働くことにする。
そこにやってきたリュウイチという、
お金持ちでスマートな男性と恋に落ちるヒナコ。
だが、彼はやくざの跡取り息子で、抗争に巻き込まれた彼は、
ヒナコの前で射殺されてしまう。
傷ついたヒナコはデリバリーヘルス嬢として働き始めた。
ある日、職場の男性社員が客として現れ、ヒナコを脅迫する。
ヒナコはリュウイチの一件で知り合った
キシモトというやくざの男性に助けを求めた。
脅迫していた男は、キシモトの組の人間とも関係を持っていた。
やくざに追われることになったヒナコ。
上の人間に逆らったてヒナコを助けたため、破門されたキシモト。
ヒナコの男友達ニッキーとキシモトをつれ、
3人でオーストラリアへ旅立つ。
オーストラリアで、デリバリーヘルスの元締めとしての
仕事をはじめるヒナコ。
お金に困っている日本人の女の子もたくさんいて、経営は上々。
ある日、ハリーというフランス人男性が客として現れる。
彼は麻薬の取引に絡んでおり、
ヒナコを税関の職員への賄賂にした上に、
日本のやくざにも連絡を取っていた。
オーストラリアまでヒナコを追ってきたやくざと対決するヒナコ。
ヒナコは、リュウイチの母の助けを借りて、
見事にやくざを撃退する。
リュウイチの母は、ヒナコをリュウイチの代わりに
組長にしようとするが、ヒナコは日本に帰りたくない理由があった。
年下で、ただの男友達だと思っていたニッキーとの間に、
愛情が生まれ、彼と生きていこうと思っていたから…。
まあ、こんな感じの小説でした。
一気に読める、ジェットコースター的な展開で楽しめます。
デリヘル、売春、やくざなどなど、
いろいろ刺激的な要素もちりばめられている。
表紙のイラストと、タイトルのインパクトで買ったんですが、
はちゃめちゃな展開に読んでて飽きなかった。
ヒナコの生命力と行動力がいい。
ただ、あんまり余韻が残らないのが残念。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 12:36|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年01月30日
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこという個性派女優3人で
映画化された小説。
武道家の家に生まれたサチエ。母が亡くなった後、
武道の稽古よりも、
食べ物にかかわることが好きな自分に気が付く。
食物を勉強する学校を出て、食品会社に就職したが、
濃い味付けや奇抜な食べ物の研究には今ひとつ熱心になれない。
そんなある日、サチエは会社を辞め、
フィンランドへ行くことにします。
以前、家の道場に来たことのあるフィンランド人と、
思いがけずあたった宝くじのおかげで、夢だった食堂を開くことに。
ヘルシンキの街の片隅で、
こじんまりとした食堂を開く彼女ですが、
街の人たちは東洋人の「子供」が働いている食堂を
遠巻きに眺めるばかり。
やってきたのは日本が大好きな青年、トンミ君。
日本のアニメが大好きで、
ガッチャマンの歌詞を教えてほしいとサチエに頼みます。
街に出たサチエは、そこで日本人の女性に出会う。
勤めていた会社が廃業したため、
ぼんやりとフィンランドに来たミドリ。
ガッチャマンの歌詞を教えたミドリは、
サチエと一緒にかもめ食堂で働くことにします。
店には少しずつお客さんが増えてくる。
派手な宣伝をしていなくても、
徐々にお客さんが通ってくれるようになった。
そこに、飛行機で荷物をなくしてしまったという
マサコという日本人女性が。
マサコは親の介護を終え、自分の時間が有り余ってしまって
フィンランドへ来たのだ。
マサコもいつの間にか、かもめ食堂で働き始める。
まったく売れないおにぎりをメニューに出したり、
夫に捨てられた女性がやってきたり、
強盗に襲われて、サチエが投げ飛ばして撃退したり、
小さな事件が起こりつつも淡々と、かもめ食堂は営業を続けます。
なんだかなあ。とっても力が抜ける小説。
ふんわりふんわりしたい方、ぜひどうぞ。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 11:40|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年01月24日
もったいない!もったいなすぎる小説。
厳選素材をふんだんに使って作られた
スナック菓子という感を受ける。
舞台は近未来の東京。
温暖化が進む世界で、日本政府は気温を下げるために
地上を熱帯雨林にすることにした。
ジャングルの植物に埋め尽くされる地上。
雨が降り、疫病が蔓延する地上は、人間が住むには不快すぎる。
そのため、選ばれた市民は空中都市アトラスに移住している。
どんどん建設が進むアトラス。
だがしかし、アトラスに住むには相当の資産か、
政府のくじに当たることが必要。
見捨てられた人たちは地上に残り、
メタルエイジというゲリラを組織した。
メタルエイジの首領は、うら若き女子高生北条国子。
ブーメランを武器にして、不思議な力を操る女の子だ。
国子には親がおらず、彼女を育てたのはオカマのモモコさん。
もと柔道チャンピオンである彼は、美しく、下品で、
国子の父であり母である。
そんな世界を支配しているのは炭素経済だ。
国家は、吐き出す炭素の量を国連によって決められていて、
その炭素の量をデリバティブ取引によって売買するのだ。
新しい経済の担い手はカーボニストと呼ばれ、
アトラスに住むのはこのカーボニストたちが主。
アトラスに住む中学生の香凜は、
炭素を操るメデューサというプログラムを立ち上げ、
世界の経済を支配しようとする。
女性のマッドドクター、
政府軍でありながら国子に肩入れする青年、
香凜の仲間でありながら、
メデューサを暴走させる謎のカーボニスト・タルシャン、
牛車に乗って闇を移動する少女、美那。
ああ、こんなに面白い舞台設定、
テーマなのになんでこんなに読むのがつらいのか。
人間がアトラスランクなるものに分けられ、
現代の格差社会をほうふつとさせる。
炭素が経済の主流になるなんて面白いじゃない。
また、温暖化というテーマもいい。
しかし。
私にはとてもくどい、という感じがありました。
モモコさんと国子のかけあい漫才も面白いんだけど、くどいんだ。
また、暴力シーンも、必要と思えない箇所が多い。
全体的に、同人誌書いてる人の文章みたいなんだ。
キャラクターの力に頼りすぎ、というか。
最終的に、国子は、メタルエイジを率いてアトラスに向かう。
現代の科学の粋のようなアトラスを支配しているのは、
古代の大地の秘密だった。
国子こそがその本当の支配者であった…みたいな感じの内容
です。
おもしろい。
おもしろいけど長すぎる。
ストーリー展開がすっきりしないのが難。
アニメ映画なんかになるといいと思うんだけど。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 12:11|
Comment(0)
|
TrackBack(1)
|
話題の小説系
|

|
だんなが筑豊出身なので、とても楽しく読めました。
出てくる風景とか、方言とか、あれもこれもリアルに思い浮かぶ。
リリー・フランキー氏の自伝的小説。
炭鉱の町、福岡県筑豊地方での
少年時代からの思い出が描かれています。
麻雀でたとえると、
「役満(一番点数の高いあがりかた)にしか興味がない」。
地味なことがきらいなオトン。
(この辺、非常に筑豊の人らしいと思う私)
就職してもまともに続かず、
ぶらぶらしているオトンと結婚したオカン。
その子供としてリリー氏は生まれます。
夫婦の関係はうなくいかず、オカンは子供をつれて親戚の家へ。
オカンは結局一人で子供を育てます。
貧乏だけど、服や布団はつねにいいものを子供に与える母。
明るく、花札が得意で、料理が大好き。
このお母さんの個性が、物語全般に明るく輝いています。
やがて高校生になり、リリー氏は福岡を離れます。
その後、東京の通うことになり、
母と子はずっと離れて暮らすことになりました。
東京に出てきたものの、まともに勉強もせず、就職もせず、
その日暮らしのリリー氏。
老いた母親に仕送りをせびる情けない青年期。
いつまでも甘えていた母が、
がんになったという知らせを受けます。
一回目の手術は成功。
普段どおり暮らし始めたものの、住む家もなく、
親戚の家に間借りしている母を見かねて、
リリー氏は東京に母を呼びます。
小さな荷物ひとつでやって来た母は、
たちまちそのバイタリティで東京の生活になじんでいきます。
このお母さんってほんとすごいんだ。
「みんなおなかがすいている。おなかいっぱいになれば幸せ」
という哲学の元、
リリー氏の近くに集まってくる人たちに
いっぱいいっぱいご飯を作って出す。
自慢のぬかづけ、豚汁、カレーライス。
リリー氏の自宅件仕事場には、いつも人が出入りしていて
オカンのご飯を食べていたそうです。
若い人と一緒にゲームして、ボランティアにも出かけ、
お酒が大好きなオカン。
そんなオカンですが、がんが今度は胃に転移していました…。
母親って、こんなにも子供に全てを与えることができるのか。
東京でろくに仕事もしない子供に仕送りして、
年金も払えなかった母。
毎日毎日ご飯を作り、死ぬ間際まで子供を心配する母。
みんなが泣くっていうから、絶対泣かずにいようと思ったけど
だめだった。
いまさらなんて言わずに、ぜひ、読んでいただきたい一冊。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 12:08|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年01月18日
舞台はスウェーデンの最北端の村、パヤラ村。
主人公の住んでいる地域は女性器の名前で呼ばれている。
それは、たくさん子供たちを生み育てている
女性たちをたたえるものだ。
下品で、強くて、個性の強い人たちに囲まれて育つ
少年の自伝的小説。
いくつものエピソードをつづっていく形になっています。
主人公はパヤラ村で生まれ、ニイラという友達と一緒に育った。
アルコール中毒の、暴力を振るう父を持つニイラの登場は、
鼻くそを食べるという強烈なもの。
ニイラと一緒に、地球の果て、中国へ行こうとする話。
小遣い欲しさにねずみの尻尾を集める話。
ニイラの祖母が死んだときの、親戚たちの醜い争い。
夏の結婚式。
ちょっと大人で、ませていて、おしゃれな女の子たち。
彼女たちにかまってもらいたくて、意地悪をして、
かえって嫌われてしまう幼い日。
子供のころの、今思い返せばこっけいで、
懐かしい気持ちを思い出すエピソードがたくさんです。
そんな少年期にさんぜんと輝いたのは、
一枚のレコードがもたらした音楽でした。
英語が読めなくて、
「ロスクンロール・ミュージッス」なんて
読んでしまったそれは、ビートルズのロックアルバム。
田舎の町ではラジオを聴くのも大変で、
ビートルズ聴きたさのあまり庭にアンテナをたてたりする。
なんというかね。
少年たちはいつも殴り合いをしていて、
主人公の父親は読書は毒だと思ってる。
男たちは密造酒を飲んで酔っ払い、時には無茶な飲み比べをする。
そんな環境の中、ビートルズの運んできた文化に
感電してしまう少年たちの気持ちが、
とてもとてもよく描かれている。
二人の少年は、へたくそなバンドを作ります。
そしてだんだん女性への興味も生まれるが、
女の子たちに常に上手をとられてばかり。
スウェーデンではベストセラーになった小説。
誰にも覚えがあることだもんなあ。
内容もさることながら、
日本人にはパヤラ村の独特の風習が背景にあるのが
とても新鮮です。
塩気の強いトナカイの干し肉をコーヒーに浸し、
さらにチーズを加え、唇に白砂糖をはさみ、
受け皿にそそいだコーヒーをすする。
結婚式のエピソードで紹介されるこの食事風景。
なんかおもしろいなあ!
今は観光地となりつつあるらしい
(もちろんこの本の影響で)
パヤラ村。
一度行ってみたくなること間違いなし。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 12:34|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2007年01月13日
話題のがばいばあちゃんの本。
漫才師、島田洋七氏の自伝小説です。
おばあちゃんとの思い出より、
島田氏の青春時代に重きが置かれて書かれています。
話題になってからあわててまとめた感が、ちょっとあるかなあ。
戦後、佐賀県に住む祖母のうちに預けられた島田氏。
母親は広島で働いていて、
小さな子供の面倒をみることができなかったようです。
はじめてついた家は、トタンと茅の屋根。
そこでいきなり、釜でご飯を炊く方法を教えられます。
それが小さな島田少年の日課になりました。
貧乏でも明るい貧乏だと笑うばあちゃん。
ご飯を食べずに寝たのでおなかがすいたというと、
「夢や!」と一喝するばあちゃん。
がばいというのは、佐賀の方言で「すごい」という意味だそうです。
川の水を汲んで風呂をたき、流れてきた野菜や果物を拾って
ご飯にする。
川はスーパーマーケットや!とばあちゃんは明るい。
何も流れてこない日は、「スーパーがお休みや」。
一年に一回、夏だけ会える母親との楽しみは
広島球場での野球観戦。
島田少年は、小学校から野球を始めます。
やがて、推薦で広島の野球名門校に進学するものの、
怪我で断念せざるを得なくなる。
落胆する島田氏に、おばあちゃんは電話越しにこう言う。
「仕事は一万もある。
他の仕事をしたらええ。
これからは新しい夢をみたらええ。
たくさん夢を見て、なくなるかもしれんけど、
夢を見続けるのが人生だ」。
その言葉で島田氏は人生に絶望することなく、
新しい生活をはじめることができました。
八百屋に就職し、やがて夢を持って上京するまで、
楽しい口調で書かれた青春記。
現代では、お金がないとはいえ、
川で野菜を拾ったりすることはめったにないと思う。
それなのになぜ、こんな行き詰った空気が流れてるのかな。
貧しくてもたくさん子供がいた時代。
ちょっと子供がぐれちゃっても、
「たくさん子供がいるんだから多少故障してもしょうがない」
と笑って言えた時代。
故障すれば治せばいいだけさ。
格差なんて何のその。
貧乏なんて何のその。
ちょっと気持ちが晴れる一冊。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 11:18|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2006年12月28日
文句なし。
どこからも文句のつけようのない典型的なサクセスストーリー。
DVDにもなっています。原作に非常に忠実なので、
そちらでも十分に楽しめます。
主人公サンティアゴは、メキシコから不法入国して
アメリカで生活している。
メキシコ男らしい、支配的な父親の元、造園業の仕事をしている。
ハリウッドの高級住宅街の芝生を整えている彼らの生活は貧しい。
そんな中、彼の楽しみはサッカー。
仕事の合間をぬって、仲間たちと試合をしているところを、
もとサッカー選手のグレイに才能を見出される。
アルバイトをしてお金をため、
イギリスに行きたいと願うサンティアゴ。
だが、父は猛反対だ。
祖母の助けによって、夜中にこっそり彼はアメリカをあとにする。
単身、なけなしのお金を持ってイギリスに来たものの、
グレイがチームに持っているコネは強力ではない。
グレイの強引な交渉で、なんとか練習生になるサンティアゴ。
一度目のトライアルでは、
ロスでは経験したことのない雨と芝のせいで、
普段の実力を出せずに失敗した。
絶望するサンティアゴだが、
グレイは彼の才能をどうしてもあきらめきれなかった。
パーティにもぐりこみ、監督に直談判するグレイ。
なんとかもう一度、
一ヵ月後にトライアルを受ける約束を取り付ける。
次第に才能を発揮するサンティアゴ。
チームのスタープレイヤー、ガバンも、
彼の才能を評価していた。
「夢なんて見ても無駄だ」。
父親にそういわれて育ってきたサンティアゴ。
トラブルが起こるたびに、あきらめが彼を襲うが、
次第に強く、上を目指したいという気持ちに変わっていく。
周囲の助けのもと、彼はチームの一員になる。
私が一番ぐっときたのは、その父親が、
サンティアゴの試合を見に
サッカー中継をしているバーに向かうところ。
ヒスパニックが、イングランド人の集まるバーに現れるのは
違和感たっぷり。
でも、サンティアゴの活躍に、
思わず「俺の息子なんだ!」と誇らしげに叫ぶ父。
家族の前では、決してサンティアゴを許す様子を見せない
不器用な父親の愛情に涙です。
貧しいヒスパニックの少年が、
「緑の芝生と、両端にゴールがある場所」
を自分のホーム(家)に変える、感動のサクセスストーリー。
いや、よかったですよ。ほんと。
いやな人間が一人もいないのもまた見事。
これ、3部作の第1部なんだそうです。
続きが楽しみです。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 18:35|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2006年12月20日
映画、7月24日通りのクリスマスの原作。
映画とはちょっと違う内容でした。
本田小百合は、平凡で、ちょっと空想好きのOL。
ポルトガルに惹かれていて、会社ではずっとガイドブックをみている。
でも、実際に旅行しようと思っているわけではないのだ。
小百合のひそかな楽しみは、自分が住んでいる街、
長崎をポルトガルのリスボンにたとえること。
見慣れたバス通勤も、
リスボンの風景を空想しながら楽しく通っている。
小百合には弟がいる。
格好よくて、街では目立つ存在だ。
弟をほめられることが、ちょっとした優越感でもある。
会社の安藤さんは、小百合をときどき夕食に誘う。
安藤さんの奥さんは、小百合の高校時代の同級生なのだ。
結婚生活の退屈を、小百合の訪問で紛らわしている。
奥さんが一番輝いていたのは高校時代。
高校で一番もてる聡史とつき合っていた頃が、一番楽しかった。
その頃の思い出話を延々と聞く小百合。
いい人なんだ。
そんな平凡な日常に起こる二つの、ちょっとした事件。
同窓会で出会い、再燃した聡史と安藤の妻の関係。
弟にできた、地味な彼女。
相談にのるうちに、聡史とつき合うことになった小百合。
そして、弟の彼女が妊娠してしまう。
地味な自分。
情熱的な恋愛をしたことなんてない自分。
どこかで「分をわきまえている」自分。
弟の彼女を、小百合が認められないのは、
同じカテゴリーにいるはずの地味な女と、
輝いている人のカテゴリーにいる弟が並んでいるせい。
彼女も言う。「間違ったことはしないつもりだった。でも。」
そして週末、小百合は聡史のいる東京に出発する。
弟の彼女からかかってきた電話に、こう答えて。
「私も、間違ったこと、してみる。」
映画では、地味な女性がおしゃれに変身する話みたいだったけど、
小説はちょっと違う。
楽しいコメディというより、しっとりした恋愛小説でした。
その点、実は期待はずれだったんだけど、
読んでるうちにすっかり小百合に肩入れしちゃいました。
恋愛って、がつがつ探している人もいるけど、
大多数は、ひっそり、
ちょっと空想なんかもしながら待ってたりするんじゃないかな。
心はいつも女の子。
そんな私のオススメの一冊です(笑)
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 09:19|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
2006年12月01日
賛否両論ある一冊。
私がこの本を手に取ったきっかけは、
本屋さんでのちょっとした出来事でした。
高校生の女の子たちの一群が入ってきて、
「読書感想文書いた?」「まだあ」なんて会話。
懐かしいなあ、なんて思ってたところ、
そのうちの一人が「あおぞらは?」って。
その内容をちょっとばかり知ってたので、びっくりしました。
こんな本の感想を書かれても、先生も驚くだろうなあ、って。
女子高生中心、なんでしょうか。
よく売れているこの本。
星野夏という女子高生の手記という形をとっています。
(じゃあ小説じゃないか…)
信頼していた先輩に裏切られ、中学生でレイプされてしまった夏。
彼女をおもちゃのように扱う男の子たちに絶望し、
援助交際、下着売り、リストカットなどの自傷行為を繰り返します。
心配する家族に話せるわけもなく、
死んだような毎日を送っています。
高校に入り、彼女はこぅちゃんという男性と知り合います。
男性に対する恐怖心は消えなかったけど、
誠実に接してくれるこぅちゃんに、次第に心を開く彼女。
思い切って過去を告白したところ、
こぅちゃんは彼女をいたわり、
変わることのない愛情を注いでくれる。
そんなこぅちゃんが、バイクで事故にあってしまう。
治る見込みのない彼のために鶴を折り始める夏。
彼女の必死さに打たれ、クラスメイトからも鶴が集まった。
祈りの甲斐もなく、こぅちゃんは死んでしまう。
再び絶望する彼女に、
クラスメイトは今度は「がんばって生きて」という
メッセージの入った鶴を夏に渡してくれた。
周囲に支えられて生きている、と今は思える。
「みんなひとりじゃないんです。
それをあたしは教えてもらいました。
この原稿から、少しでもそれが伝われば本当にうれしいです。」
夏さん本人の言葉だ。
はっきり言って、文章は稚拙。
思考も幼い。嫌いな人には嫌いな文章だと思う。
私も、正直に言うと受け付けない部分が多い。
自分に高校生の子供がいたら、
あまり読んでほしくはない一冊。
内容がつらすぎることがひとつ。
非常に「きつい」体験ではあるけど、
文学として浅いというのがひとつ。
でも、こぅちゃんが死ぬところでは号泣してしまって、
だんなに驚かれてしまいました。
あなたのメールボックスに、このブログが届きます。
平日日刊。
メルマガだけの「前フリ」も好評です♪
posted by momo at 09:13|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
話題の小説系
|

|
記事検索
新着記事
カテゴリ